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仮想通貨取引に関する税金の申告として話題にあがる事が多いのは、「所得税」の確定申告でしょう。一般的に、確定申告が必要な人は、サラリーマンの副業の場合では年間利益が20万円超の人、その他の場合では年間利益が48万円超の人であると説明されています。

ただし、このルールはあくまでも「所得税」についての話であり、利益がこれらの水準以下であっても、住民税の申告手続きが必要な場合がありますので注意が必要です。

この記事では住民税の申告手続きが必要な人とはどんな人なのか、そしてその手続きの仕方について説明します。

仮想通貨の利益は住民税の課税対象になるのか

仮想通貨取引で得た利益は、住民税の課税対象になります。

仮想通貨取引による利益に対しては「所得税」も支払っているのに、なぜ「住民税」という別の税金もかかるのでしょうか?

その理由について述べるにあたって、「所得税」と「住民税」についておさらいしておきましょう。

「所得税」は個人の所得(利益)に対して課せられる国税(国の税金)です。国に対して支払う税金ですので、納付先は居住地を管轄する税務署となります。

一方で「住民税」は、地域の住民に対して課せられる地方税(地方自治体の税金)です。基本的に、お住まいの市区町村を通じて、市区町村および都道府県に対して納税することになります。

そして、「住民税」には課税対象者に対して均等に課税される「均等割」と、所得額の約10%が課税される「所得割」があり、これらの合計によって算出されますが、ここでいう所得額には仮想通貨取引で得た利益も含まれるのです。

このように、「所得税」と「住民税」はどちらも所得額に応じて金額が変動する税金ですが、国税と地方税という違いがあるため、別々に課税されているのです。

通常は「所得税」の確定申告を行った場合はその情報が税務署から市区町村へ連携され、自動的に「住民税」の申告も完了する仕組みが運用されています。

そのため、多くのケースでは「住民税」の申告を意識する必要はありません。  
      
しかし、注意すべきなのは「確定申告」が必要ないケースです。

次の項目で詳しく見ていきましょう。  
 

確定申告が必要な人とは?

仮想通貨取引で確定申告が必要な人は、原則としてサラリーマンの副業であれば仮想通貨取引を含む副業収入合計が20万円超の人であり、個人事業主・専業主婦・学生などの場合は仮想通貨取引を含む所得合計が48万円超の人です。

その他に高額給与所得者、医療控除を受ける人、ふるさと納税でワンストップ特例を使わない人など、仮想通貨取引以外の理由で確定申告が必要となる人もいます。

では、他に確定申告を行う理由がなく、雑所得が20万円(48万円)以下の場合、何もしなくていいかと言えばそうではなく、住民税の申告手続きが必要となる場合があります。

例えば、年末調整を行っているサラリーマンが仮想通貨取引で20万円以下の雑所得を得た場合、確定申告は免除されますが原則として住民税の申告は別途行う必要があります。

また、所得税と住民税では基礎控除額が違う点にも注意が必要です。

所得税の基礎控除額は48万円ですが、東京都の住民税の基礎控除額は43万円です(令和6年度)。  
つまり、個人事業主・専業主婦・学生などが仮想通貨取引で利益を得た場合、所得が48万円以下であれば確定申告は不要ですが、住民税の基礎控除額を超えている場合は住民税の申告が別途必要になります。(東京都における43万円超など)

このように注意が必要な住民税の申告ですが、確定申告が毎年2月にニュース等で報道されるのに対し、住民税の申告という言葉を聞くことはあまりありません。

なぜでしょうか?

なぜ住民税の申告は話題にならない?

前述したように、所得税の確定申告を行った場合、必要な情報が税務署から地方自治体に渡るため、納税者が住民税の申告手続きを行う必要はありません。     
従って自営業者や高額給与所得者等、確定申告の対象者は住民税の申告が不要です。

また、一般の給与所得者の場合、勤務先が市区町村に提出する給与支払報告書や年末調整により、自治体は必要な情報を入手するため、やはり納税者が申告手続きを行う必要はありません。

このような事情から、住民税の申告手続きを行う人自体が非常に限定的なため、手続き自体があまり知られていないと考えられます。    

しかし、もしあなたが「確定申告が必要にならない範囲で仮想通貨取引をしたい」と考えているのであれば、住民税の申告については特に注意しておく必要があるでしょう。
 

住民税の申告手続

そんな住民税の申告手続は、申告する年の1月1日時点で住んでいた市区町村から申告書を入手する事から始まります。自治体のウェブサイトから入手できるケースもあれば、役所を訪問する必要があるケースもあるでしょう。

申告を行う時期は、確定申告と同じで、翌年の3月15日までです。

これは東京都中野区のホームページに載っていた申告書ですが、申告書のフォーマットは市区町村によって異なります。中野区の申告書の場合、仮想通貨を含む雑所得を記載するのは、赤枠の部分です。 確定申告書と同様に1行に収入、必要経費、所得を記入する作りになっています。

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所得税の確定申告では、インターネット上の申告書作成コーナーからPCやスマホを使って作成できますが、住民税の申告の場合、インターネット対応している自治体はあまりないと思われるので、手書きで申告書を作成するケースが多いでしょう。
住民税の申告の要否は、自治体から連絡が来るわけではないので、申告が必要かもと思われる方は、各自治体の税務課に照会してみてください。

なお、申告書を作成する際には、仮想通貨取引を通じて得た雑所得の金額を正確に把握しておく必要があります。

仮想通貨取引の雑所得を把握するためには、1年間に行った全ての取引に対して税務上の損益計算を行う必要がありますが、取引履歴の収集や取得原価の計算、時価データに応じた日本円換算などが必要になるため、手作業で行うのは非常に手間がかかります。

仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、国内外120カ所以上の取引所などから取引履歴データを取り込めるほか、22,000銘柄以上の仮想通貨・法定通貨の時価情報も保有しています。

そのため、画面上の案内に沿って簡単な操作を行うだけで、申告書の雑所得として記載できる実現損益額を算出できるのです。

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