仮想通貨取引を行っている方であれば、確定申告に向けた複雑な所得計算に頭を抱えた経験がある方も多いのではないでしょうか。
こうした中、少しでも仮想通貨の所得計算をしやすくするため、簡易的な計算書エクセルが国税庁から公開されていますが、さまざまな取引をしている場合は留意が必要です。
そこで本記事では、国税庁の「暗号資産の計算書エクセル」の使い方について、活用シーンや留意点を紹介します。さらに、最後に仮想通貨取引の全ての側面を網羅し、計算ミスを避けるための効率的な自動化ツールも紹介しています。
仮想通貨の所得計算を簡素化し、安心して確定申告に臨みたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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国税庁が公開している暗号資産(仮想通貨)の「計算書エクセル」とは
国税庁では、納税者が仮想通貨取引による所得を計算しやすいように、簡易的な計算書として使用できる計算書エクセルが無料で公開されています。
エクセルファイルは「総平均法用」と「移動平均法用」の2種類が用意されていますので、ご自身が選択している評価方法に沿った方を使用するようにしましょう。
個人の場合は、自発的に「移動平均法」を選択しない限り、自動的に「総平均法」を選択したものとみなされます。特に届出を行っていない場合は、「総平均法用」の計算書を使用すると良いでしょう。
なお、仮想通貨の評価方法についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、興味のある方は併せてご覧ください。
暗号資産(仮想通貨)の「計算書エクセル」の使い方
それでは、国税庁の計算書エクセルの使い方について、「総平均法用」と「移動平均法用」の順に見ていきましょう。
なお、どちらにも共通する点として、計算書は保有している仮想通貨の銘柄(ビットコイン、イーサリアムなど)ごとに計算シートを分ける必要があります。取引所ごとではありませんので注意しましょう。
総平均法用
総平均法用の計算書のエクセルシートには、年間の取引内容について仮想通貨取引所から「年間取引報告書」が発行されている場合とそれ以外の場合に分けて記入する形式となっています。
「年間取引報告書」とは、1年間(1月~12月)にその取引所で行った取引を集計した書類のことで、主に国内仮想通貨取引所が利用者に対して発行している書類です。
年間を通じた仮想通貨の「購入数量」「購入金額(日本円)」「売却数量」「売却金額(日本円)」の集計値が掲載されて いますので、そのまま計算書エクセルの「2.年間取引報告書に関する事項」の欄に転記しましょう。
なお、「年間取引報告書」は必ずしも全ての仮想通貨取引所が発行しているとは限りません。国税庁の要請により国内取引所の多くは対応していますが、海外取引所では対応していないケースが一般的です。
このように「年間取引報告書」が無い取引については、「3.上記2以外の取引に関する事項」の欄に取引単位で記入します。
ここには売買や交換の取引のみでなく、仮想通貨での支払いによる利益認識や、ステーキング・レンディング等による取得など、損益認識すべき取引は全て記入する必要があります。
なお、仮想通貨取引において損益認識が発生するタイミングについては、こちらの記事でも詳しく解説していますので、確認したい場合は併せてご覧ください。
最後に、年始残高や必要経費などを入力することで所得金額が算出されます。
この金額に基づいて、確定申告書を作成することとなります。
移動平均法用
税務署に仮想通貨の評価方法の届出書を提出し、「移動平均法」を選択している場合は、移動平均法用の計算書エクセルを使用します。
移動平均法では全ての取引履歴を時系列順に計算する必要があるため、前述した「年間取引報告書」は使用できません。
そのため、仮想通貨取引所が「年間取引報告書」を発行しているか否かに関わらず、損益認識すべき全ての仮想通貨取引について、1行に1取引ずつ全て記入していきましょう。
最後に、年始残高や支払手数料などの経費を入力することで所得金額が算出されます。
年始残高は「2.取引に関する事項」の冒頭に記入欄がありますので、記入を忘れないようにしましょう。
暗号資産(仮想通貨)の「計算書エクセル」の魅力と活用シーン
納税者の利便性のために国税庁から公開されている「計算書エクセル」は、シンプルな作りではあるものの、仮想通貨の基本的な税金計算をサポートする便利なツールとして活用されています。
その魅力と主な活用シーンについて見ていきましょう。
魅力
● PCがあればダウンロードするだけで誰でも無料ですぐに使える
● 関数が組み込まれているため、手計算よりもミスが生じにくい
国税庁の計算書エクセルは、Excelを利用できる環境さえあればダウンロードして誰でも簡単に使うことができます。
必要な取引情報を入力するだけで所得が算出されるように関数が組み込まれており、一度計算書エクセルを見てみることで仮想通貨の所得計算に対する理解増進にも繋がることでしょう。
主な活用シーン
国税庁の計算書エクセルは、主に次のような条件に該当する人にとって手軽に活用できるツールと言えます。
● 年間取引報告書が出力される国内取引所をメインに利用している
● 年間の取引回数が少ない(数回~20回程度)
● 日本円 ⇔ 仮想通貨といった、基本的な売買取引が中心
上記のように仮想通貨取引をあまり頻繁に行っておらず、行う場合も日本円でビットコインを購入するといったシンプルな取引に限られている場合は、計算書エクセルを活用するだけで適切に所得を算出できることでしょう。
暗号資産(仮想通貨)の「計算書エクセル」の限界と注意点
シンプルで便利な「計算書エクセル」ですが、その機能には限界もあります。
● 金額は日本円で記載する必要があるため、自分で換算する必要がある
● 正しい知識がないと計算に抜け漏れが発生する恐れがある
● 取引回数や取引銘柄数、利用取引所が増えると計算が複雑になる
金額は日本円で記載する必要があるため、自分で換算する必要がある
計算書エクセルの金額は全て日本円で記入する必要があります。しかし、仮想通貨同士の交換や、海外取引所を利用する場合などは取引履歴に日本円換算額の情報が記載されていないため、取引額を自分で日本円に換算する必要があります。
また、MetaMaskなどの個人のウォレットを利用している場合は、自身で取引履歴を出力し、自身で取引ごとの日本円の価額を算定する必要があります。
全ての取引について個々の時点のレートを適用して換算するため、過去レートを遡って確認すること自体が手間のかかる作業であるうえ、取引回数が増えるほど作業負担は膨大なものとなります。
正しい知識がないと計算に抜け漏れが発生する恐れがある
また、計算書エクセルへの転記はあくまでも手作業であるため、税金が発生する取引に対する知識がないと、必要な情報の入力が漏れてしまう可能性もあるでしょう。
取引回数や取引銘柄数、利用取引所が増えると計算が複雑になる
そもそも、国税庁の計算書エクセルは簡易的な作りとなっており、取引は全て自分で手入力する必要があります。しかし、仮想通貨取引を日常的に行っている投資家の場合、年間の取引件数は10件や20件には収まらないケースが多いことでしょう。
さらに自動売買やマイニング・ステーキングなどのように機械的に生成される取引も行っている場合には、年間の取引件数も大幅に増加することになります。
取引所やウォレットごとに全ての膨大な取引履歴を収集し、取引銘柄ごとに振り分け、個別に時価換算しながら所得計算を行う必要があり、非常に複雑で難易度の高い作業となってしまうのです。
国税庁の計算書エクセルはあくまでも取引の少ない初心者向きであるため、このような複雑な計算に用いるには限界があるという点に注意が必要でしょう。
なお、DeFiなども含めて幅広い仮想通貨取引を日常的に行っている場合は、無料で利用できる「defitact」を活用することで、複数の銘柄やネットワークの仮想通貨・NFTを一元管理をすることが可能です。
自分のブロックチェーン取引を見える化することから始めたい場合は、ぜひ「defitact」にウォレットを連携してみてください。
仮想通貨の損益計算には「クリプタクト」がおすすめ
仮想通貨の大量・複雑な取引履歴の損益計算をするなら、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」がおすすめです。
取引所を跨いだ売買は各取引のデータを取得して計算する必要があるほか、海外のサービスを利用している場合は「年間取引報告書」がないケースも多いなど、仮想通貨の損益計算は想定よりも複雑になるケースが多く存在します。
「クリプタクト」であれば、国内外90カ所以上の取引所やウォレットサービスからの取引履歴データ取得に対応しているため、いちいち手作業で全ての取引を入力する必要がありません。
19,000種類以上の仮想通貨や主要な法定通貨の時価データも1分ごとに取得しているため、面倒な円貨換算作業も自動で行われます。加えて、取引所とAPI連携を行えば、以降は取引データのダウンロードやアップロードすら行わずに自動で損益算出が可能となります。
このように「クリプタクト」を活用することで、手作業であれば複雑で時間のかかる仮想通貨の損益計算を、手間をかけずに行うことができるようになるのです。
また、税務に関することですので、効率性だけでなく正確性も重要な要素となります。税金の申告を間違えると、本来よりも多くの税金を支払ってしまったり、もしくは過少申告による追徴課税などのペナルティを受けてしまうリスクがあるだけでなく、一度申告を誤るとその影響が翌年以降の申告にも影響することになります。
こうした課題を解決し今後も安心して仮想通貨取引を行いたい方は、ぜひこの機会に「クリプタクト」の活用をご検討ください。