eth-characteristic-forcast.jpg

イーサリアム(ETH)は、仮想通貨の中で2023年4月時点で時価総額2位(CoinMarketCap調べ)となっていて、ビットコインに次ぐ時価総額と知名度を誇っています。

「イーサリアム(ETH)に投資してみたいが、話題性や時価総額だけで判断してしまっていいのか」と不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」の情報から判断材料を集めてみる方法です。        

この記事では、投資する上での重要なイーサリアム(ETH)の特徴、将来性について仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」を参照しながら解説していきます。

目次

  1. そもそもホワイトペーパーとは?
  2. イーサリアム(ETH)の特徴
  3. イーサリアム(ETH)の将来性
  4. イーサリアム(ETH)の足元の価格状況
  5. まとめ

そもそもホワイトペーパーとは?

仮想通貨のホワイトペーパーとは、プロジェクト運営者などによって発行される仮想通貨の説明資料を指します。一般的に開発目的や技術的な特徴、今後のロードマップなどの詳細情報が記載されています。

その他の金融商品に投資をしている方はご存じかもしれませんが、金融商品の購入時には必ず目論見書に目を通しその対象についてしっかり把握することが重要です。

特に仮想通貨は裏付け資産が無い場合が多いため、ホワイトペーパーに記載されたプロジェクトの内容そのものがその仮想通貨の価値を裏付ける非常に重要な要素となります。

それでは、具体的にはホワイトペーパーのどの部分に注目すればよいのでしょうか。       
代表的なポイントとして次の点が挙げられます。

● 開発目的       
● アルゴリズム       
● 体制(セキュリティ対策を含む)       
● 発行上限       
● 目標

これらを把握することによってその通貨の特徴そして将来性について判断するのに役立ちます。

イーサリアム(ETH)の特徴

イーサリアム(ETH)は、主要な仮想通貨の一つとして広く認知されています。その特徴についてホワイトペーパーに沿って見ていきましょう。

開発目的

イーサリアムとは、ブロックチェーンに「スマートコントラクト」と呼ばれる機能を組み込んだ、分散型アプリケーションのプラットフォームのことを指します。

この「スマートコントラクト」という概念は1994 年にニック・ザボ(Nick Szabo)によって提唱されました。スマートコントラクトとは、トランザクションやビジネス機能が、仲介者なしに、かつ管理者による承認を必要とせずに自動的に安全なプロセスに基づいて行われる仕組みのことです。

彼は論文の中でスマートコントラクトの目的は以下であると述べています。

A smart contract is a computerized transaction protocol that executes the terms of a contract. The general objectives of smart contract design are to satisfy common contractual conditions (such as payment terms, liens, confidentiality, and even enforcement), minimize exceptions both malicious and accidental, and minimize the need for trusted intermediaries. Related economic goals include lowering fraud loss, arbitration and enforcement costs, and other transaction costs[1].  
References:[1] _The New Palgrave: Allocation, Information, and Markets_

引用:Smart Contracts Nick Szabo. 1994. 

つまり、支払い条件・先取特権・機密保持・執行などの一般的な契約条件を実行できる自動化されたトランザクション プロトコルによって、仲介者などの人手を必要としない契約プロセスを実現すること。それによって、「契約内容の改ざん」や「契約の不履行」などによる損失を防ぐとともに、取引期間の短縮化や人件費の削減など経済的なメリットを生むことにあると述べています。

イーサリアムのスマートコントラクトは、このビジョンをブロックチェーン上で実現したものです。

そして、ethereum.orgのYouTubeではイーサリアムを「ワールドコンピューター」と呼んでいます。      
これはイーサリアムがブロックチェーン技術上に構築されたアプリケーションであり、どこの国の規制を受けず、管理もされず、個々人がが安心して利用できるシステムであることから世界で使えるコンピューター、つまり「ワールドコンピューター」と表現しているのです。

このイーサリアムのプラットフォーム上で取引される暗号資産として「Ether(イーサ)」が位置付けられていますが、一般的にどちらもイーサリアムと呼ばれています。この記事では通貨としてのイーサリアムを「イーサリアム(ETH)」と表現しています。


アルゴリズム

イーサリアム(ETH)では当初、ビットコインと同じプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、PoW)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズム(新しいブロックを作る仕組み)を採用していました。

これは、多大な計算量を必要とする複雑な暗号問題を解いた者(マイナー)にブロックを生成する権利を与えるという仕組みですが、世界中で莫大な電力が消費されるため環境への負荷が問題視されています。

そこでイーサリアム(ETH)は計算量ではなく保有している通貨数に応じてブロックの生成権を与える、プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake、PoS)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムへのアップデートを計画し、2022年9月に移行を完了させました。

これにより環境に対する負荷の問題が解消されただけでなく、51%攻撃(悪意のマイナーが計算量の過半数を占めることでブロックチェーンを支配できる問題)も発生しにくくなったと考えられています。

プルーフ・オブ・ステークで51%攻撃を実行するには通貨量の過半数を保有する必要があり、実現性が極めて低いためです。


組織体制やセキュリティ対策の状況    

イーサリアム(ETH)は有志の人々によって支えられたオープンソースの仮想通貨であり、その発展を後押しするための強力なコミュニティによって自律的に運営される体制となっています。

その中心的な存在として、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)とethereum.orgが挙げられます。

イーサリアム財団は、ETHのICO(Initial Coin Offering、つまり暗号資産新規発行による資金調達)によって設立された非営利団体です。Devconと呼ばれるイーサリアム開発者たちの年次総会を主催しており、イーサリアムの各種開発プロジェクトへ財政支援などのサポートも行っています。

そしてethereum.orgはイーサリアム財団からの財政支援を受けて、イーサリアム(ETH)の広報や教育、開発支援などのサービスを提供しています。Webサイトは日本語にも対応していますので、イーサリアム(ETH)に関する正確で充実した情報源を探している場合は、まず最初に確認したいサイトと言えるでしょう。

将来性

発行上限

イーサリアム(ETH)の将来性を考える際に、論点としてあげられるのが「発行上限」です。イーサリアムには発行上限が設定されていません(すなわち半減期もない)   。         
世界初の仮想通貨であるビットコインは発行上限と半減期によって希少性を担保する考え方で作られていますが、それらが無いイーサリアム(ETH)では永遠に流通量が増え続けて価値が希釈していくのではないかとその将来性を心配する声もあります。

しかし、イーサリアム(ETH)のホワイトペーパーでは、仮想通貨は不注意や保有者の死亡などによって一定量が常に喪失されていくため、むしろ永続的に発行されるからこそ流通量が安定するとの考えが示されています。

ロードマップ

このように将来の持続可能性についても深く考慮されているイーサリアム(ETH)ですが、今後も更なるアップグレードが予定されており、ethereum.orgのWebサイトにはそのロードマップが公開されています。

例えば、イーサリアム(ETH)の普及によって生じたスケーラビリティ問題(利用者過多による送金遅延やコスト高騰)への対策として、シャーディングと呼ばれる技術の導入を含む大型アップデートが予定されています。これによって送金コストが最大40〜100倍引き下げられると言われています。

仮想通貨としてのイーサリアム(ETH)の利便性や許容量が改善されることで、価格にも好影響を与えることが期待されているのです。

関連ニュース

また、昨今のNFTブームの広がりやDeFi(分散型金融)の発展に際しては、イーサリアム(ETH)のブロックチェーンがその受け皿として人気を博しています。加えて、イーサリアムのブロックチェーンと相関性を持つERC-20規格に準拠した独自トークンを誰でも簡単に発行することができることも、イーサリアムの発展に大きく寄与していると言えるでしょう。

一方で、仮想通貨の影響力が高まるにつれてマネーロンダリングやテロ資金供与への対策強化が求められており、仮想通貨送金時の利用者確認を厳格化する「トラベルルール」の導入など、日本や世界各国で規制強化の動きも加速しています。

トラベルルールに関する記事はこちら

今後想定されるブロックチェーン関連分野全体の市場拡大のなかで、イーサリアム自体の大規模なアップデートや規制強化などの要因がイーサリアム(ETH)の価格にどのような影響を及ぼすかが注目されています。 

イーサリアム(ETH)の足元の価格状況

さて、足元の価格はどうなっているのでしょう?      
弊社が運用する金融情報プラットフォーム「フィンタクト」で開示されているチャートをみてると、記事作成時点の2023年7/7時点では、1ETH=267,208.36 円となっていました。ETH price.png

最新情報はこちらからご確認いただけます。

フィンタクトではそれぞれの通貨ページから関連するニュースやほかのユーザーの実績も確認できます。ご活用ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。イーサリアム(ETH)の特徴と将来性について理解を深められましたか?イーサリアム(ETH)は国内の主要取引所(bitFlyerやCoincheck、GMOコインなど)で取り扱われています。イーサリアム(ETH)を保有するか検討される際は、まずご自身が口座を持っている取引所がイーサリアム(ETH)を取り扱っているか確認してみましょう。そして、頻繁に取引を行う場合は手数料などを比較して取引所を選定するといいでしょう。

今後もその他通貨についても解説記事を紹介していきますので、最新記事の更新情報を知りたい方は仮想通貨の損益計算ツール「クリプタクト」のTwitterのアカウントをフォローしてみてください。