仮想通貨取引をしている方であれば、少ない元手で一攫千金のチャンスを夢見る方もいるでしょう。
一方で、利益が出たら納税の必要があり、大金を稼ぐほど税金の負担は大きくなるため、もし「億り人」になったらいくら税金を払うことになるのか疑問に思っている方も多いことでしょう。
そこで、この記事ではビットコインなどの仮想通貨取引で「億り人」になった場合の納税とその注意点について、税金対策も交えながら必要な知識を分かりやすく解説していきます。
税金計算を簡単に済ませる方法もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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仮想通貨で「億り人」なのに税金地獄に陥る原因とは
「億り人(おくりびと)」とは、仮想通貨などの投資や投機によって億単位の資産を築いた投資家を指す言葉です。
特に仮想通貨の分野では、2017年から2018年の初頭にかけて起こったビットコインブームなどを皮切りに仮想通貨相場全体が激しい高騰や下落を繰り返しており、多くの「億り人(おくりびと)」が誕生しています。
fintactより直近5年間のビットコイン相場を抜粋
その一方で、適切な税金対策を怠ったことで多額の納税に苦しむ結果となった人もおり、メディアでは「税金地獄」などと報じられることもあります。
「億り人」が「税金地獄」に陥る原因には主に次のような点が挙げられます。
● あらかじめ納税資金を確保していない
● 仮想通貨の税金は複雑なうえ税率が高い
それぞれ見ていきましょう。
あらかじめ納税資金を確保していない
ビットコインなどの仮想通貨取引による利益のように給与所得以外の所得を得た場合は、その税金は給料から天引きされないため、自分で申告と納税する必要があります。
確定申告や納税の期限は通常、翌年の3月15日頃に設定されていますので、それまでの間は納税のための資金を手元に残しておかなければなりません。
しかし、サラリーマンなど税金が給料から天引きされる生活に慣れている人にとっては、納税資金を確保するという行為はあまり馴染みがないものです。
そのため、 納税に必要な資金を確保せずにうっかり使ってしまい(別の取引を行って失ってしまうなど)、納税の時期になってから多額の税金支払いに気が付くというケースが発生することがあります。
一時的な相場高騰で大金を稼いだ場合、翌年も同じように稼げるとは限りません。
税金支払いのためのお金が足りなくなってしまうことで、「億り人」から一転して「税金地獄」に陥ってしまう事例は決して少なくはないのです。
仮想通貨の税金は複雑なうえ税率が高い
仮想通貨取引の税金は、仕組みが複雑で税率も高くなる傾向があります。
例えば投資手段として似ている株式投資と比較した場合、株式投資には源泉分離課税の仕組みがあるため税金を証券会社が天引きしてもらうことができますが、仮想通貨にはそのような仕組みはなく、自分で確定申告をする必要があります。
また、株式投資の税率は約20%に固定されているのに対し、仮想通貨取引の税率は他の所得と合算したうえで約15%から最大約55%の幅があります。
株式投資の経験がある人や、そうした人から聞きかじった知識に基づいて仮想通貨の税金を誤解していると、大きな失敗を招く恐れもあります。
そうしたことがないように、仮想通貨取引の税金の仕組みと税率について正しく理解しておくことが大切です。
特に、仮想通貨の税金は、仮想通貨から仮想通貨への交換や、仮想通貨でのステーキング報酬など、課税対象となる利益が発生し、税金が発生するものの、日本円は増加しないといった取引があります。その場合であっても税金として日本円を準備しておかなければならないので、留意が必要です。
仮想通貨取引の税金の仕組みと税率
仮想通貨取引で利益を得た場合、その所得に応じて「所得税」や「住民税」を納める必要があります。
所得とは収入から必要経費などを差し引いて残った利益のことです。
ここでは、「所得税」と「住民税」それぞれの仕組みと税率についてご説明します。
所得税について
仮想通貨取引によって得られる所得は通常、「雑所得」または「事業所得」に区分されます。
これらの所得は「総合課税」の対象となっており、給与所得や不動産所得など他の所得と合算した所得額に応じて所得税が課せられることになります。
なお、「所得税」では累進課税制度が採用されており、所得金額が増えるほど税率が高くなる仕組みとなっています。
所得税の税率表
(引用元:国税庁|No.2260所得税の税率)
上記のように、所得税の税率は課税所得に応じて5%~45%の幅があります。
課税所得とは仮想通貨取引による「雑所得」「事業所得」と「給与所得」「不動産所得」などを合計した後、適用できる所得控除などを差し引いたあとの金額のことです。
このような仕組みであるため、仮想通貨取引による税金を確定するためには自分で全ての所得を把握したうえで確定申告を行う必要があるのです。
なお、仮想通貨取引による所得が一定水準を下回る場合は、確定申告を行わなくて良いケースもあります。
詳細はこちらの記事でもご紹介していますので、併せてご確認ください。
課税所得の多寡によって所得税の税額が大きく影響を受けることになるという点は、節税対策を考える上で重要なポイントとなりますので、しっかりと押さえておきましょう。
住民税について
「住民税」は居住している自治体に応じて細かい仕組みが異なりますが、概ね税率10%程度の「所得割」と、約5,000円程度の「均等割」で構成されていることが一般的です。
確定申告を行った場合は住民税の申告も同時に行ったものと見なされるため、通常は別途申告をする必要はありません。
ただし、納税自体は所得税とは別に行う必要がありますので、忘れないように注意しましょう。
1億円稼いだら所得税・住民税はいくら?
では、実際に1億円稼いだら(課税所得が1億円の場合)、所得税と住民税はいくらになるのでしょうか?
なお、以下の例ではその他の控除がない前提での計算事例です。
所得税
1億円×45%-控除額479万6000円
=所得税4020万4000円
住民税
1億円×10%-均等割り5,000円
=住民税9,995,000円
いかがでしょうか。なんと、1億円を仮想通貨で稼いだ場合は、ざっくりと所得税4000万円に住民税1000万円程度がかかることになるので、合計で約5000万円を税金として納税しなければならないこととなります。半分が税金になるために、しっかりと納税できるように現金を保有しておく必要があります。
仮想通貨取引で得た利益に対する税金を払わないとどうなる?
ビットコインなどの仮想通貨取引によって多額の利益を得た場合、期限までに正確な内容で確定申告を行い、納税をしなければなりません。
もし、期限までに確定申告や納税を行わなかった場合は、追徴課税などのペナルティを受けることになります。
特に無申告加算税のペナルティは重く、本来納めるべき納税額の15%~20%が上乗せで課税されることになります。
また、実際より少ない所得で申告・納税した場合は、過少申告加算税と呼ばれるペナルティもあります。
「億り人」の場合は元々の課税額も大きいため、少しの不注意が多額の追徴課税に繋がる恐れがあるのです。
確定申告や納税を怠った場合のリスクについては、こちらの記事もぜひご確認ください。
仮想通貨の利益の節税方法・税金対策はある?
仮想通貨の利益の節税や税金対策を行うためには、課税所得額をできる限り低く抑える工夫が必要になります。
ここでは、代表的な3つの方法についてご紹介します。
● 各種の税控除を活用する
● 取引にかかる経費を計上して利益を減らす
● 含み損益を把握して課税所得額を抑えるよう取引する
それぞれ見ていきましょう。
各種の税控除を活用する
税金の申告にあたっては、さまざまな税控除を利用することで所得全体を減らすことが認められています。
所得控除としては「基礎控除」、「給与所得控除」、「社会保険料控除」、「医療保険料控除」などがサラリーマンにも身近な控除として知られていますが、仮想通貨取引で事業規模の収入(年間300万円を超えるケースなど)がある場合は、事業所得として青色申告を行うことで「青色申告控除」を適用できる可能性もあるでしょう。
こうした節税術についてはこちらの記事で税理士による解説を掲載していますので、ぜひご覧ください。
取引にかかる経費を計上して利益を減らす
所得とは収入から必要経費などを差し引いて残った利益のことですので、経費を計上することで所得を抑えることができます。
例えば、仮想通貨取引においては次のようなものが必要経費と考えられます。
● 仮想通貨取引所に支払った売買手数料
● 売買の際にかかったトランザクション手数料(ガス代)
● 電気代・通信費
● スマートフォン・パソコン購入費 など
(ただし、仮想通貨売買に直接必要な支出と認められる部分に限る)
特に、売買取引にかかった手数料などは経費として認められる可能性が高いため、しっかりと把握して漏れなく計上するとよいでしょう。
経費計上についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、詳細を確認したい方は併せてご覧ください。
取引所への支払手数料については国内取引所が発行する「年間取引報告書」を確認する方法があります。
とはいえ、「年間取引報告書」は必ずしも全ての取引所が発行してくれるものではありません。海外取引所やDEX(分散型取引所)なども含めて多数の取引所を利用している場合は、手数料を確認・集計するだけでも一苦労となることでしょう。
仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、登録した取引所への支払い手数料を自動集計して表示してくれるため、効率的に節税対策を行うことができます。
含み損益を把握して課税所得額を抑えるように取引する
仮想通貨取引の利益は、他の損失と相殺することができます。
これを「損益通算」と呼び、所得をコントロールする有効な節税手法となっています。
例えば、ビットコイン取引で1億円の利益を得た場合、そのままでは所得も1億円増えて多額の税金が発生することになってしまいます。しかし、もし別の仮想通貨取引で8,000万円の損失が発生していれば通算して所得は2,000万円に抑えることができます。
所得が下がることで、所得×税率=税金となっているために、税金も抑えることができます。
この方法を応用し、常に自身のポートフォリオにおける含み損益を把握しておくことで、課税所得が多くなりそうな時は含み損のある銘柄を敢えて損切りをするなどの対策を行い、税金を大幅に圧縮することができるのです。
もちろん、この方法を行うには確定損益や含み損を正確に把握できていることが前提となります。
手作業でこのような状況を正確に把握するのは大変ですが、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」では、確定損益や含み損益を自動的に計算されてサマリー画面に一覧表示されます。
節税に向けた戦略的な投資をサポートしてくれる、非常に心強いツールであると言えるでしょう。
なお、仮想通貨による所得を「雑所得」として計上している場合は、同じ雑所得同士でしか損益通算ができませんので注意しましょう。
まとめ
この記事では、多額の所得を得た場合に正しい知識に基づいた税金対策を行わないと「億り人」から一転、「税金地獄」に陥る危険性があることについて解説しました。
一方で、税金や確定申告について理解し、自身の取引による確定損益や含み損益をしっかり把握しておけば、そうしたリスクを回避できるとともに大幅な節税も可能になります。
とはいえ、反復的に行う多数の取引を管理して、いちいち正確な計算を行う作業は非常に手間がかかるため、面倒に感じてしまう投資家の方が多いかもしれません。
そのような場合に便利なのが、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」です。
「クリプタクト」であれば、国内外90カ所以上の仮想通貨取引所からの取引履歴取得に対応しており、ガイドに沿って簡単な操作を行うだけで面倒な損益計算を自動的に処理できます。
また、経費として計上可能な売買手数料の集計や、確定損益・含み損益なども自動的に計算されてサマリー画面に一覧表示されるため戦略的な投資を強力にサポートしてくれます。
また、損益計算の方法には、計算が容易な代わりに単年での金額乖離が生じやすい「総平均法」と、損益把握が正確にできる代わりに計算が複雑な「移動平均法」がありますが、「クリプタクト」では設定画面で選択するだけでどちらの計算方法にも対応することが可能です。
「クリプタクト」には、基本的な機能を無料で利用できるプランも用意されています。
正確な納税と最適な節税を、手軽で効率的な作業で目指したい方は、ぜひこの機会に「クリプタクト」をお試しください。