仮想通貨取引は確定申告が必要か不要かを解説.webp

近年、仮想通貨(暗号資産)を取引する方が増加し、その取引における税務処理について関心が高まっています。
しかし、仮想通貨の所得に対し確定申告が必要かどうか、どのような取引で損益認識されるのかや損益計算の方法については、よくわかっていないという方も多いことでしょう。

そこでこの記事では、仮想通貨取引における確定申告の必要性の判断方法、所得が発生するタイミング、税額や損益計算方法、そして申告し忘れた場合のリスクについて詳しく解説します。

目次

  1. 仮想通貨(暗号資産)取引の所得がいくらから確定申告が必要?
  2. 仮想通貨(暗号資産)取引で所得が発生するタイミング
  3. 仮想通貨(暗号資産)の課税方式は総合課税
  4. 「損益通算」と「繰越控除」ができない点に注意
  5. 仮想通貨(暗号資産)の税額計算方法
  6. 仮想通貨(暗号資産)取引の所得を申告し忘れたら
  7. 仮想通貨の確定申告を簡単に終えるための損益計算ツール

仮想通貨(暗号資産)取引の所得がいくらから確定申告が必要?

仮想通貨の所得に対する確定申告の必要性は、取引により発生した所得(利益)が一定額以上かどうかによって決まります。  

サラリーマンの副業なら20万円超、個人事業主や主婦・学生など給与所得が無い人の場合は、48万円超で確定申告が必要となります。  

なお、上記はひとつの目安であり、たとえば以下の条件に当てはまるサラリーマンの方は確定申告が必要となり、仮想通貨の所得がこの金額以下でも所得として申告する必要があります。 

●給与収入が年間2,000万円を超える人   
●給与所得や退職所得以外の所得金額(仮想通貨による所得を含む)の合計額が20万円を超える人   
●2か所以上から給与をもらっている人   
●住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を初めて受ける人   
●雑損控除、医療費控除などを受ける人や、寄付控除の適用を受ける人(※ふるさと納税の場合は納付先が6自治体以上の場合)    
●配当控除の適用を受ける人

証券会社で行う株式投資では、特定口座内で生じる所得に対して源泉徴収することを選択した場合には、その特定口座における上場株式等の譲渡による所得について、原則確定申告が不要となっています。

ただし、仮想通貨においてはそのよう制度は現状ありません。上記に掲げる一定以上の利益が出れば確定申告が必須になりますので、留意が必要です。

仮想通貨(暗号資産)取引で所得が発生するタイミング

仮想通貨取引で所得が発生するタイミングには、いくつかの場面が含まれます。中には実際に「日本円」が手に入っていなくとも所得として計上しなければならないパターンも存在するため注意が必要です。    
なお、所得とは収入から必要経費を差し引いて残った利益のことです。経費とできる支出に関してはページ下部の関連記事でも紹介しています。併せてご覧ください。

ここではよくある取引で所得が発生するタイミングを紹介します。

①仮想通貨を売却した時 

仮想通貨の売却によって生じた利益は、所得として認識する必要があります。 


計算方法 

(売却単価 × 売却数量) - (取得単価 × 売却数量)  


あくまでも売却によって利益が確定した際に所得と見なされるため、保有している最中に含み益が出たとしても所得とは見なされません。 

②仮想通貨同士を交換した時 

仮想通貨Aと仮想通貨Bを交換するような、仮想通貨同士の交換取引においても所得が発生する場合があります。

これは、仮想通貨Aを一旦売却して日本円に換えてからその日本円で別の仮想通貨Bを購入したと見なされるためです。    
そのため仮想通貨Aについて、売却時の利益を所得額として認識する必要があるのです。 

計算方法

購入した仮想通貨Bの価額 - 売却した仮想通貨Aの取得時の価額  


このように、実際に日本円を手に入れていなくとも所得が発生する点に注意が必要です。 

③仮想通貨で支払いをした時 

商品やサービスに対する支払いに仮想通貨を用いた際も、所得が発生する場合があります。    
これは、仮想通貨同士を交換する時と考え方は同じです。仮想通貨での支払いは、仮想通貨を一旦売却して日本円に換えてから、その日本円で支払いを行ったと見なされるのです。 

計算方法 

商品やサービスの価額 - 支払った仮想通貨の取得時の価額 



支払うという行為と所得税が感覚的に結びつきづらく、見落とされやすいポイントとなっていますので、注意しましょう。 

④ステーキングやマイニング等の報酬を得た時 

ステーキングやマイニング等を行った報酬として仮想通貨を得た場合、取得したタイミングで、その時点の円換算額を所得として認識する必要があります。    
これは、取得した仮想通貨を売却・交換等の行為をする前であり、取得した時点で、日本円で納税義務が生じるので留意が必要です。

所得が発生するタイミングを正しく理解したうえで、必要な取引履歴を漏らさずクリプタクトに入力しておくようにしましょう。

仮想通貨(暗号資産)の課税方式は総合課税 

所得税は、その性質に応じて10種に分類されます。仮想通貨取引によって生じた利益は、原則として「雑所得」に区分されます。   

そして「雑所得」は「総合課税」の対象です。    
総合課税とは、給与所得や事業所得など他の所得と合算して課税される方式で、これにより所得税率も所得額に応じて変動します。    
具体的には、所得金額に応じて5%から45%までの累進税率が適用されるため、仮想通貨で得た利益が高額になると、高い税率が適用されることになります。

所得税率

所得税の税率と控除額早見表.webp

「損益通算」と「繰越控除」ができない点に注意 

損益通算とは、同一年分の利益と損失を相殺することです。

雑所得に区分される仮想通貨取引の損益は、他の所得(給与所得や事業所得など)と損益を相殺することができません。  
例えば仮想通貨取引で損失が出た場合、その損失を他の所得から差し引いて税金を減らすことはできません。それゆえ、仮想通貨が赤字だとしても給料や事業にかかる税金は減らないこととなります。

また、損失が出た場合にその損失を翌年以降に繰り越し、利益が出た年の税金を減らすことを「繰越控除」と言いますが、雑所得に区分される仮想通貨取引は、この「繰越控除」が認められていません。

仮想通貨(暗号資産)の税額計算方法 

仮想通貨を含む所得に対する所得税の計算方法は、「課税所得金額×税率-控除額」です。

具体的な税金の計算には、上述の所得税の速算表を使えば簡単に所得税の金額を計算することが可能です。

ただし、仮想通貨の所得は総合課税の対象となるため、ご自身で1年間に仮想通貨の売却取引時に生じた利益(または損失)である「実現損益」の算出し、そのうえで同じ総合課税の対象となる所得を足し合わせて課税所得金額を把握する必要があります。

仮想通貨の所得(実現損益)の計算方法 

実現損益の算出方法の基本は以下の通りです。 

実現損益=(売却価格―平均取得単価)×売却枚数 

取引回数が一回(その年以前を考慮しても)、仮想通貨の種類は一種類の場合は、その一回の取引における「売却価格―取得価格」が実現損益となりますが、多くの場合、取得が複数回で取引をするのが一般的です。

そして仮想通貨の場合は、銘柄ごとに計算をする必要があるため銘柄ごとに「平均取得単価」を用いる必要があります。 

平均取得単価の算出方法には、「移動平均法」と「総平均法」の2つがあります。

原則として「総平均法」が適用されますが、税務署に届け出することにより「移動平均法」を適用することができます。  
一度選択した計算方法は翌年以降も継続して使用し、少なくとも3年程度は変更できないというルールがありますので、注意が必要です。

平均取得単価算出方法は、「移動平均法」と「総平均法」 

移動平均法は、仮想通貨を取得するたびに平均単価を毎回計算して取得原価とする方法です。 価格変動の大きい仮想通貨ではこの方法が推奨されていますが、取得のたびに計算が必要となるため、相当な労力が必要となります。 

総平均法は、1年間の購入金額を平均して取得原価とする方法です。   

総平均法と移動平均法それぞれの具体的な計算方法について知りたい方はページ下部の関連記事で事例付きで解説しています。併せてご覧ください。

仮想通貨(暗号資産)取引の所得を申告し忘れたらどうなる?

仮想通貨取引による所得を申告し忘れると、税務署からの指摘を受け、延滞税や加算税が課される可能性があります。

延滞税は、申告が遅れた場合に追加で支払う税金であり、加算税は故意に申告をしなかった場合などに課されます。

また、税務署は仮想通貨取引所から提供される情報や取引履歴の追跡により、取引の有無を把握できるため、意図的に申告しなかった場合、ペナルティが重くなる可能性があるため注意が必要です。特に、仮想通貨は匿名性が高いと誤解されることが多いですが、安易な未申告はリスクが伴います。

申告漏れを防ぐためには、取引ごとの収支をしっかり記録し、税務申告の際に漏れがないよう確認することが重要です。税理士を雇うことも一案ですが、個人の方にとってはハードルの高いことかもしれません。また税理士を雇ったとしてもすべての取引履歴を集める作業はご自身で行う必要があります。

そこで多くの方が活用しているのが仮想通貨の損益計算ツールです。

仮想通貨の確定申告を簡単に終えるための損益計算ツール 

本記事では、仮想通貨の確定申告が必要かどうかの判断基準、所得が発生するタイミング、総合課税による税額計算方法、そして申告を忘れた場合のリスクについて解説しました。

税理士に依頼するとしても、実際に取引履歴を参考に利益を計算するのはなかなか骨が折れる作業であり、専門的な知識が無ければ難しいのでは?と感じる方も多いと思います。

国税庁では「暗号資産の計算書」を用意していますが、国税庁の計算書エクセルは簡易的な作りとなっており、取引は全て自分で手入力する必要があります。取引回数や取引銘柄数、利用取引所が増えると計算が複雑になるうえ、すべて日本円に直す作業はとても大変です。

そこでおすすめなのが、仮想通貨の損益計算ツール「クリプタクト」の活用です。    
クリプタクトを使えば、取引所からダウンロードした取引履歴をアップロードするだけで自動計算が可能です。総平均法と移動平均法の選択も簡単に行うことができます。 

クリプタクトの特長 

①国内外130カ所以上の取引所、23000以上の仮想通貨に対応            
②国内取引所、海外取引所、DEX、DeFi、NFT取引なども、無料のFreeプランで計算できる! 

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• 取引履歴をアップロードまたはAPI連携やウォレット接続で取引履歴を反映させるだけ!    
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• 取引履歴にある情報から取引を自動識別してくれるので損益認識されるタイミングも間違えない