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スキャルピングとは、数秒から数分程度の極端に短い時間に、何度も売買を繰り返して利益を積み重ねるトレード手法のことをさします。一般的にFX取引において活用されることが多い手法ですが、価格変動が激しい仮想通貨取引においても活用できる手法です。

この記事では、今後スキャルピングを活用して仮想通貨取引をしてみたい方に向けて、仮想通貨のスキャルピングの概要、メリット・デメリット、効果的な手法や注意点について解説します。

目次

  1. 仮想通貨スキャルピングとは?
  2. 仮想通貨スキャルピングのメリット
  3. 仮想通貨スキャルピングのデメリット
  4. 仮想通貨スキャルピングをするときに効果的な手法
  5. 仮想通貨スキャルピングの注意点
  6. 仮想通貨のスキャルピングに関するQ&A
  7. まとめ

仮想通貨スキャルピングとは?

仮想通貨のスキャルピングとは、その他金融取引におけるスキャルピング同様、非常に短い時間(数秒から数分)で仮想通貨を買って売ることを繰り返す手法のことを指します。この手法の目的は、市場の小さな価格変動から少しずつ利益を得ることです。一度に大きな利益はありませんが、これを何度も繰り返すことで利益を得ることができます。なお、スキャルピングのスキャルプ(scalp)には「頭皮を剥ぐ」という意味があります。この戦略は、薄い利幅を追求しわずかな利益を積み重ねるイメージがあるため、薄い皮を何枚も剥ぐようなイメージからこの名前が付けられたと言われています。

仮想通貨スキャルピングのメリット

上述のとおりスキャルピングは非常に短い時間枠での取引が特徴で、一日に何十回、何百回と取引することが一般的です。     
この手法での取引におけるメリットは以下の通りです。

1. 短時間で利益を得ることができる可能性がある 

一回あたりの利益は小さいですが、その小さな利益を何度も積み重ねることで、一日の終わりには大きな利益につながることがあります。     
例えば1取引あたりの利益が5ドルであっても、一日に100回取引すれば、500ドルの利益となります。

2. 市場の大きな変動への影響が少ない 

長期間保有する戦略と比べ、短期間で取引を閉じるため、市場の大きな変動に対して影響を受けにくい場合があります。     
たとえば、ある日の夜、重要なニュースが発表され市場が大きく下落したとしても、スキャルピングトレーダーはその時点で取引を既に閉じているため、大きな損失を回避できる可能性があります。

3. 取引の機会が多い 

短期間での取引が多いため、取引の機会自体も多く、自分の戦略に合ったチャンスを見つけやすいです。     
たとえば、長期投資では月に数回の良い機会を見つけるのが一般的ですが、スキャルピングでは一日に数十回の良い機会を見つけることが可能です。

仮想通貨スキャルピングのデメリット

上述のようなメリットがある一方、押さえておくべきデメリットは以下の通りです。

1.高いトレードスキルが必要

スキャルピングは市場の細かい動きを捉える必要があるため、テクニカル分析やチャートの読み取りなど、高い技術が求められます。チャートのパターンを誤解すると、利益を上げるどころか損失を拡大する可能性があるため、十分な練習と経験が必要です。また、取引に当たっては損失をどのくらい許容するか、事前に計画を立てておく必要があります。

2.取引コストが高い

何度も取引を行う戦略のため、それに伴って取引コストも多く発生し、それが利益を圧迫することがあります。取引手数料が1取引あたり1ドルであっても、一日に100回取引すると、100ドルのコストが発生します。取引コスト以上の利益を残さなければ、収支をプラスにすることはできません。

3. 取引に多くの時間がとられる

スキャルピングでは一日に数十回の良い機会を見つけ取引を行うため、結果的に拘束時間が長くなります。それゆえ精神的なストレスがかかりますし、連続して損失を出すと、感情的になり冷静な判断ができなくなることがあるため、メンタル管理も必要になります。

仮想通貨スキャルピングをするときに効果的な手法

仮想通貨スキャルピングには様々な手法が存在しますが、ここでは3つの主要な手法を紹介します。

1. トレンドフォロー型スキャルピング 

概要: 市場のトレンドに沿って取引を行う方法です。
方法: 上昇トレンドではサポート(価格が下落してもなかなか割り込めないと見られる水平線、またはやや傾斜した線)やトレンドライン(価格の動きが一定の方向性を持って進んでいることを示す線)に沿って買いエントリーを、下降トレンドではレジスタンスに沿って売りエントリーを行います。
トレンドが継続する限り、小さな価格変動を利用して短期間で利益を積み重ねることを目指します。

   
具体例:例えば、チャートの安値同士を結んだ時に右肩上がりのサポートラインを引ける場合は、買いスタートのチャンスと見ることができます。サポートライン付近の押し目(買い時)を見極めて買い注文を出し、価格が上昇したら売却する取引を繰り返します。価格下落によりサポートラインを割り込んだ場合は損切りのサインとなります。
 一方、チャートの高値同士を結び右肩下がりのレジスタンスラインが引ける場合は、売りスタートのチャンスと見ることができます。レジスタンスライン付近の戻り目(売り時)を見極めて売り注文を出し、価格が下落したら買う取引を繰り返します。こちらも、想定以上に価格が上昇してレジスタンスラインを超えた場合は損切りのサインです。 
使用する指標: 移動平均線などのトレンドを判断する指標を使用します。

このように、トレンドフォローは市場のトレンドに順張りする手法であるため、初心者にも比較的なじみやすいスキャルピングと言えるでしょう。

2.レンジ型スキャルピング 

概要: 市場が一定の範囲内で動くと予想して取引を行う方法です。     
方法: レンジ相場(価格が一定の範囲内で変動する状況)のときに有効な手法です。価格がサポートとレジスタンスの間で往復するパターンを利用して、範囲の底で買い、範囲の天井で売りのエントリーを行います。価格が範囲内で変動する特性を利用し、小幅な利益を積み重ねることを目指します。 


具体例:  トレンドラインとレジスタンスラインの2本が並行の状態になると、レンジ相場と見ることができます。レンジ相場が継続している限りは安値買いと高値売りを繰り返すことで利益を期待することができますが、レンジブレイク(レンジの上値か下値を突破すること)して方向感が決まるとその後は価格が大きく変動しやすいことから、含み損が膨らむ恐れがあります。 そのためレンジを少し抜けた水準で、損切りの注文を出しておくことが一般的です。
使用する指標: ボリンジャーバンドなどのボラティリティー指標を使用します。

3.自動化型スキャルピング

概要: アルゴリズムを使用して自動で取引を行う方法です。     
方法: 自動プログラムやアルゴリズムを使用して自動的に取引を行う手法です。自動化されたトレードボットがチャートパターンや指標の変動を分析し、事前に設定された条件に基づいてエントリーや出口を行います。自動化によって人の感情やミスが排除され、迅速な取引が可能ですが、適切な設定とテストが必要です。 
常にチャートに張り付いて取引判断をする必要がない分、かかる手間は減りますが、完全に放置しておくと想定以上に損失が膨らんでいたという事態もあり得ます。

任せっきりで必ず稼げるというものではないという点には注意が必要でしょう。 
  
これらの手法は、トレンドや相場状況に応じて選択するのがおすすめです。

仮想通貨スキャルピングの注意点

1.リスク管理の徹底するようにする(素早く損切の判断を行う)

損失を確定させずにポジションを持ち続けると損失が拡大してしまうかもしれません。一度の取引でのリスクを全資産の1-2%程度に抑えるなど、明確なルールを設定しましょう。

2.手数料の安い取引所を利用する

スキャルピングでは多くの取引を行う場合、都度の手数料の低い取引所を利用することが重要です。スキャルピングは一日で何万回も取引を行うケースもあるため、できるだけ都度手数料が低くなるものを選ぶようにしましょう。

3.流動性の大きい通貨で行う

流動性の高い市場では大量の取引が行われるため、スキャルピングで稼ぎやすくなります。また流動性が高ければ資産の値動きが比較的小さくなるため、価格の急激な変動や価格操作のリスクが低減されるといわれています。

4.所得を得たら税金支払いの支払いが必要

スキャルピングの手法を用いて仮想通貨取引で得た所得も課税対象です。仮想通貨の損益計算は移動平均法と総平均法の二つがありますが、事前に申請をしない限りは個人の場合、総平均法での計算が求められます。    
端的に言うと、総平均法とは、期間内全体(1月1日~12月31日)の購入金額を購入した通貨の数量で割った平均額を単価とし損益を計算する方法です。 実はこの計算方法については誤った認識をしている方が多く、実際の実現損益額がご自身の認識よりも多かったということはよくあるようです。総平均法の計算方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

大量に取引を繰り返すスキャルビングの手法においては総平均法が期間内の平均取得単価を用いて計算する手法のため、有用な方法といえます。    
ただし、レバレッジ取引が行える海外取引所などで取引を行っていた場合、確定申告においては円貨での時価を計算する必要があるため、日々変化する円のレートを都度書き残しておく必要が出てきます。

損益計算ツールの「クリプタクトを使えば、法定通貨、仮想通貨の価格を1分単位で取得しているため、外貨しか取り扱いのない海外取引所で取引していたとしても、取引履歴をアップロードまたはAPI連携させるだけでその時のレートで損益を自動計算してくれます。

また、計算ミスによる過少申告など、正確に計算しなかったゆえにペナルティが課されることのないように注意しましょう。なお、確定申告におけるペナルティについては以下の記事で詳しく紹介しています。

仮想通貨のスキャルピングに関するQ&A

ここでは仮想通貨のスキャルピングに関してよくある質問に対して回答していきます。

仮想通貨取引所ではスキャルピングは禁止されているの?

実際に国内の主要仮想通貨取引所ではスキャルピングを禁止しているケースは少なく、公式ブログなどでスキャルピング取引のやり方について解説している取引所もあります。

しかし、一部の仮想通貨取引所でスキャルピング取引が禁止されているケースがあるのも事実です。

本来、取引手数料から収益を得ているはずの仮想通貨取引所が、取引量が増えるスキャルピング取引を禁止するのは何故でしょうか。

それは、スキャルピングによって大量の取引が繰り返されることによって、サーバーへの負荷が高くなる恐れがあるためです。

また、仮想通貨FX取引などを扱っている場合、取引所側のカバー取引が間に合わないと取引所に損失が発生する恐れもあります。

そのため、規約で禁止されている取引所でスキャルピング取引を行うと、口座凍結などのペナルティを課せられる場合もあるため注意が必要です。

利用したい取引所がスキャルピングを禁止していないか、事前に確認しておくようにしましょう。

仮想通貨のスキャルピングは手数料がかかる?

スキャルピング取引は一度に得られる利益が少ないため、利益を得るためにトレードを何度も繰り返す必要があります。

その度に取引手数料がかかることになりますので、長期投資と比べて取引手数料は大幅に高くなると考えておいた方が良いでしょう。

そのため、スキャルピング取引を行う場合は、できるだけ「取引手数料」が安い取引所を利用するのがおすすめです。

仮想通貨取引所別の取引手数料比較およびその他手数料に関してはこちらの記事でも紹介しています。

仮想通貨のスキャルピングのインジケーターって何?

インジケーターとは相場分析を可視化してくれる指標のことで、「テクニカル指標」や、単に「テクニカル」などとも呼ばれます。

適切なインジケーターを活用することで、根拠のある相場予測を行えるようになるため、スキャルピングを行う際には非常に重要なツールとなります。

インジケーターは数多くの種類が存在しますが、全てを使わなければいけないわけではありません。

本稿でもご紹介したトレンドラインやボリンジャーバンドなどは特に有名なインジケーターであり、参照しているトレーダーが多いため予測通りの値動きになりやすいという特徴があります。

まずは基本的なインジケーターに慣れてから、少しずつ専門的なインジケーターについて学習していくと良いでしょう。 
 

まとめ

スキャルピングでは市場の細かい動きを捉える必要があるため、テクニカル分析やチャートの読み取りなどの高い技術が求められます。また、取引コストも多く発生し、利益を圧迫することがあるため、取引コスト以上の利益を上げる計画が必要です。

しかし、一回あたりの利益は小さいものの、その小さな利益を何度も積み重ねることで大きな利益につながることもあるため、リスク範囲内で相場を監視しながら市況の変動一つひとつを楽しむことができる人向きの手法といえるでしょう。