仮想通貨取引で少しでも多くの利益を得るためには、取引にかかるコストをできる限り抑えることが重要です。
中でも仮想通貨取引所に支払う手数料は、一つ一つの取引では小さい金額でも、積み重なると大きなコストとなっていくことがあります。仮想通貨取引所の手数料について吟味することは、長期的な投資成果を左右する重要な要素と言えるでしょう。
この記事では、仮想通貨取引の各種手数料についてご紹介するとともに、主要取引所の手数料比較していきます。
また、取引コストを安く抑えるコツや仮想通貨取引にあたって知っておきたい税金についても解説しています。
目次 |
仮想通貨にかかる手数料・コスト
仮想通貨取引所を利用する際には、いくつかの手数料、コストが発生します。
ここでは、代表的なものとして以下についてご紹介します。
● 取引所の取引手数料
● 販売所のスプレッド
● 日本円の入出金手数料
● 仮想通貨の送金手数料
● その他の手数料
なお、仮想通貨取引所の取引方式には「取引所方式」と「販売所方式」があります。
「取引所方式」とは仮想通貨取引所の仲介のもとユーザー同士で取引を行う方式のことで、「販売所方式」は仮想通貨取引所とユーザーの間で仮想通貨を取引する方式を指します。
取引所と販売所の違いはこちらの記事でも詳しく解説していますので、確認したい方は併せてご覧ください。
それでは、それぞれの手数料について見ていきましょう。
取引所の取引手数料
「取引所方式」とは、ユーザー同士の仮想通貨売買取引を 取引所が仲介する形で行う取引方式です。
この際、取引した金額(約定金額)に一定の手数料率を掛けた取引手数料がかかることが一般的です。
なお、取引所の取引手数料には次の2種類があります。
● Maker(メイカー)手数料
● Taker(テイカー)手数料
Maker(メイカー)とは、取引所の「板(いた)」に注文を載せるユーザーを指し、逆にその注文を選択して取引するユーザーをTaker(テイカー)と言います。
指定した条件にマッチングする注文が既に「板」に載っている場合は注文が成立し、自身はTakerとなります。
一方、マッチングしない場合は自身がMakerとなって「板」に注文が載り、マッチングする取引相手が現れるのを待つという流れです。
一般的に取引所の「板」により多くの注文が載っているほど流動性が豊富で利用しやすい取引所となるため、Maker手数料をTaker手数料よりも割安に設定してユーザーにMaker取引を促している取引所が多くなっています。
中には、Makerにマイナス手数料を設定している取引所もあり、そのような場合はMakerとして取引することで実質的に報酬を得ることができます。
なお、「板」とは取引所における売買注文状況を並べて表示しているもので、オーダーブック(Order Book)とも呼ばれています。
販売所のスプレッド
「販売所方式」では、ユーザーが仮想通貨取引所と直接売買取引を行います。
仮想通貨取引所が示す購入価格・売却価格で取引を行うだけであるため、仕組みが簡単で初めて取引をする人でもわかりやすい方法となっています。
また、取引相手が仮想通貨取引所そのものであるため、金額が大きい売買でも取引が成立しやすいという特徴もあります。
通常、販売所方式では取引手数料を無料としているケースが多くなっています。
ただし、販売所が設定する購入価格と売却価格には価格差(スプレッド)が設けられており、間接的に取引コストを負担する形となっています。
一般的には「取引所方式」の取引手数料と比較して、「販売所方式」のスプレッドの方が割高になる傾向があります。
日本円の入出金手数料
仮想通貨取引所によっては、日本円の入出金に際して手数料が発生する場合があります。
日本円で仮想通貨取引を行う場合、日本円の入出金手数料は取引の損益に影響を与える大きな要素となります。
仮想通貨取引所によって日本円の入出金手数料はまちまちで、金額や送金先の金融機関に応じて手数料が変わる場合があるほか、一律で無料としている仮想通貨取引所もあります。
仮想通貨の送金手数料
仮想通貨取引所では購入した仮想通貨を口座に保管しておくことができますが、必要に応じて別の仮想通貨ウォレットなどに送金することもできます。
この際に必要となるのが仮想通貨の送金手数料です。
ブロックチェーンの仕組み上、仮想通貨を送金する際には送金側がトランザクション手数料(ガス代)を負担する必要があります。
そのため、送金手数料を設定してユーザーから徴収している仮想通貨取引所が少なくないのです。
一方で、中にはサービスの一環として送金手数料を仮想通貨取引所側で負担し、ユーザーに対しては無料に設定しているケースもあります。
取引手数料や日本円の入出金手数料と比べて見落としてしまいがちですが、仮想通貨取引のコストを考えるうえで送金手数料の水準も大事な要素と言えるでしょう。
その他の手数料
上記以外にも、取引所によっては独自の手数料が設定されている場合があります。
例えば、登録手続きの際にかかる「口座開設手数料」のほか、残高や利用状況等に応じて「口座維持手数料」が設定されている場合もあります。
これらは稀なケースではありますが、仮想通貨取引所を選ぶ際にはそうした手数料の有無も確認するようにしましょう。
仮想通貨取引所の手数料比較
これまでご紹介した仮想通貨取引所の手数料は取引所によって違いがあります。
それゆえ、ご自身の取引状況に合わせて選ぶことが重要です。
ここでは日本円で取引できる仮想通貨取引所の各種手数料について紹介します。
※2024年3月7日時点の情報です
主要取引所における各種手数料一覧
*ビットコインの場合で比較
**別途ネットワーク費用が0.0005BTC以上発生します。
それぞれの取引所について紹介します。
bitFlyer(ビットフライヤー)
(参照元:bitflyer|手数料 一覧・税、FAQ)
仮想通貨の積立投資が利用できるほか、ポイントがビットコインとしてキャッシュバックされるクレジットカードや、Tポイントでビットコインを購入できるサービスなど、ユニークなサービスを展開しています。
取引手数料は直近30日の取引量に応じて変動するため、取引量の多い投資家にとって有利な仕組みとなっています。
なお、ウォレットアドレスではなくメールアドレスでビットコインを送金できる独自サービス「Bitwireβ」であれば、無料でビットコインを送信することも可能です。
Coincheck(コインチェック)
(参照元:Coincheck|手数料、取引所手数料)
日本円や仮想通貨の出金に手数料がかかりますが、BTCやLSK、MONAなど複数の銘柄で取引手数料が無料となっています。
なお、1度に数千万円以上の取引をするユーザー向けに優遇レートが適用される大口OTC取引を提供している点も特徴です。
過去には大規模なハッキング被害を受けたこともあるCoincheckですが、現在はオンライン証券事業で知られるマネックスグループの傘下に入り、経営とセキュリティの体制が強化されています。
DMM Bitcoin
(参照元:DMM Bitcoin|暗号資産(仮想通貨)取引の手数料について)
DMM Bitcoinは、インターネット事業大手のDMMグループが運営する仮想通貨取引所です。
取引所方式の取扱いはありませんが、販売所方式のほかに、独自の仕組みによってミッド価格(仲値)で取引できる「BitMatch注文」というサービスを提供しており、売り買いともに販売所方式よりも有利な価格で取引を行うことができます。
また、日本円や仮想通貨の入出金手数料が無料であるため、頻繁に資金を動かしたい方にとって魅力のある取引所と言えるでしょう。
GMOコイン
(参照元:GMOコイン|手数料、取引所、入出金・振替)
GMOコインは、GMOあおぞら銀行やGMOクリック証券などで知られるGMOグループが運営している仮想通貨取引所です。
取引所方式と販売所方式の両方を提供しており、特に取引所方式ではビットコインをはじめさまざまな銘柄でMaker手数料がマイナスに設定されていることが特徴として挙げられます。
これは、Makerとして取引をすれば取引手数料がかからないばかりか、逆に報酬が貰えることを意味しています。
また、日本円や仮想通貨の入出金を無料で行える点も強みと言えるでしょう。
Zaif(ザイフ)
(参照元:Zaif|手数料について)
Zaifは株式会社Zaifが運営する国内仮想通貨取引所です。
クレジットカードの利用でビットコインが貯まる「Zaifカード」や、仮想通貨を手軽にチップ(投げ銭)として送ることができる「チャットチップ」機能など、独自性の高いサービスを提供しています。
また、一部の銘柄は国内でZaifのみが取り扱っているなど、珍しいコインの取引ができる点も強みとなっています。
ビットコインをはじめ、さまざまな銘柄でMaker手数料が無料になっていることも取引しやすいポイントでしょう。
なお、Zaifでは口座維持手数料が設定されていますが、本人確認が未済のまま残高を保有しているケースが対象であるため、これから新規登録するユーザーは対象にはならないとされています。
仮想通貨の手数料を安くするコツ
仮想通貨取引の手数料を低く抑えるには、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは一般的な方法として次の4つをご紹介します。
● 販売所よりも取引所を使う
● MakerとTakerを使い分ける
● 入出金の頻度を減らす
● 利用目的や取引スタイルに応じて最適な仮想通貨取引所を使う
それぞれについて見ていきましょう。
販売所よりも取引所を使う
一般的に、「販売所方式」のスプレッドによる取引コストは、「取引所方式」の取引手数料よりも高くなる傾向があります。
これは、仮想通貨取引所を運営する側にとって、単にユーザー間の取引を仲介するだけで済む「取引所方式」と比較して、「販売所方式」では運営者自身が取引主体となってカバー取引などを行う必要があるためです。
その分の手間とリスクが、手数料として上乗せされていると考えるとイメージしやすいかもしれません。
もちろん、大口取引を確実に約定したい場合などは販売所方式の方が有利な点もありますので、用途に応じて使い分けるようにすると良いでしょう。
MakerとTakerを使い分ける
Maker手数料はTaker手数料と比較して同水準、もしくはより低い水準に設定されているケースが多くなっています。
これは、同じ取引を行うならMakerとして行った方がお得に取引ができることを意味しています。
もちろん、相場の急変時のような即座に取引したいシーンではTakerとして既存の注文から約定した方が良いケースもありますが、時間的に余裕がある状況であればMakerとして取引を行うように心掛けることで、取引コストの削減に繋がります。
入出金の頻度を減らす
日本円や仮想通貨の入出金頻度を減らすことで、仮想通貨取引所へ支払う手数料を減らすことができます。
国内取引所の場合、日本円の入出金に数百円ほどの手数料が設けられている場合が多いほか、仮想通貨の出金に際しては銘柄によって数千円の手数料がかかることも珍しくありません。
これらの手数料は小額取引であるほど相対的な負担が重くなるため、特に個人投資家にとっては非常に注意すべきポイントです。
できる限りまとめて入出金を行うなど、手数料を削減する工夫をするようにしましょう。
なお、個人のウォレットを使って送金する際には、手数料の安い(混雑していない)タイミングを狙うことで送金コストを削減する方法も有効です。
利用目的や取引スタイルに応じて最適な仮想通貨取引所を使う
仮想通貨取引所にはそれぞれ特徴や強みがあり、手数料体系も異なるため、特定の手数料だけを比較して一概に優劣を語ることはできません。
例えば時間的に余裕がある取引を行いたいならMaker手数料が安い取引所が魅力的ですが、短時間で即時に約定を繰り返すようなトレードをしたい場合はTaker手数料が安い取引所を選ぶ方が賢明かもしれません。
マイニング報酬を定期的に現金化したい場合など日本円の出金頻度が高いケースであれば、取引手数料よりも日本円の出金手数料の安さこそが重要という場合もあるでしょう。
あるいは、仮想通貨を支払いに使いたい場合は仮想通貨出金手数料を重視することも考えられます。
自分がどのような目的、どのような取引スタイルでその取引所を利用したいのかを整理することで重視すべき手数料が浮かび上がってきます。
場合によっては、用途に応じて仮想通貨取引所を使い分けることも有効でしょう。
総合的に見て、自分にとって最適な取引環境を模索してみましょう。
手数料以外にも仮想通貨取引をするにあたって忘れてはならないのが「税金」
この記事では、仮想通貨の手数料についてその種類や各取引所の比較、そして安く抑えるためのコツについてご紹介してきました。
長期的な投資成果を考える際にこうしたコストカットの積み重ねは重要な要素となりますが、仮想通貨取引をするにあたって忘れてはならないのが税金です。
仮想通貨の利益に対して課税される「所得税」や「住民税」の税率は合わせて15%〜最大55%に達する場合もあり、仮想通貨取引における最大のコストと言っても過言ではありません。
一方で、税金の仕組みを考慮して取引を行うことで、納税額を大幅に抑えることもできます。
仮想通貨の税金の仕組みや確定申告のやり方、そして効果的な節税方法などについては、こちらの記事でわかりやすく解説しています。
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