手数料を抑えながらイーサリアムベースのDAppsを使いたいとの理由で近年利用者が増えているのが、アービトラム(Arbitrum)です。
アービトラムはイーサリアムのレイヤー2ソリューションとして高い処理能力と低コストを実現しているネットワークです。
しかし、実際の使い方がわからずに困っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、アービトラムの基本情報からウォレットへの移動手順、送金時の注意点まで、画像つきで初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
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アービトラムの基本情報
アービトラム(Arbitrum)は、イーサリアム上の取引を低コストで高速に実行するために設計された「レイヤー2ソリューション」です。
厳密にはDeFi(分散型金融)やNFT取引に適した「Arbitrum One」と、ブロックチェーンゲーム等に適した「Arbitrum Nova」という2種類のブロックチェーンが存在しますが、単にアービトラム(Arbitrum)と呼ばれる際には「Arbitrum One」を指していることが一般的です。
イーサリアムのレイヤー1ネットワーク(すなわち、イーサリアムの本体)は、設計された当初と比べて爆発的に利用者が増加したことによって、トランザクションの混雑や手数料(ガス代)の高騰といった、深刻なスケーラビリティ問題を抱えています。
この問題を解決するため、アービトラム(Arbitrum)はイーサリアムの処理の一部を外部にある独自のネットワーク(レイヤー2)上で行い、イーサリアム全体の負担を軽減する役割を果たしているのです。
また、アービトラム(Arbitrum)はEthereum Virtual Machine(EVM)と互換性が高いため、イーサリアム上で開発された多くのDApps(分散型アプリケーション)がアービトラム(Arbitrum)に容易に対応できるようになっています。
このため、アービトラム(Arbitrum)を活用することで、イーサリアム上のDAppsを低コストかつ快適に利用できるようになるのです。
仮想通貨のレイヤー2についてはページ下部の関連記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
アービトラムの使い方
それでは、アービトラム(Arbitrum)の使い方について見ていきましょう。
アービトラム(Arbitrum)のネットワーク上では多数のトークンが発行されていますが、中でも代表的な銘柄としてARBとETHがあります。
ARBはアービトラム(Arbitrum)のネットワークにおけるガバナンストークンとしての役割があり、国内外で多くの取引所が扱っています。
一方でETHはイーサリアムのネットワークを母体とする仮想通貨ですが、アービトラム(Arbitrum)上でも発行されており、トランザクション手数料などの支払いに使われます。
従って、アービトラム(Arbitrum)を使う場合は、主に使う銘柄の他に、手数料用にある程度のETHも購入しておく必要があるのです。
ここでは、ARBやETHなどのトークンを購入し、アービトラム(Arbitrum)のネットワーク上へ送金する手順を例に見ていきましょう。
STEP1. アービトラム(ARB)やイーサリアム(ETH)を購入
ARBやETHを購入するには、これらの銘柄の取り扱いがあり、アービトラム(Arbitrum)ネットワークへの送信にも対応した 仮想通貨取引所を利用する必要があります。
国内取引所であればbitbankなどが対応しているほか、2023年に日本市場へ進出したBinance Japanでも取り扱いがあります。
例えばbitbankの場合、スマホアプリを起動して最初の画面(販売所)に表示される銘柄一覧の中から「ARB」を選択することでARBを、「ETH」を選択することでETHを購入することができます。
また、画面下部の「取引所」をタップのうえ、取引ペア一覧の中から「ARB/JPY」や「ETH/JPY」を選択することでもARBやETHを購入することが可能です。
どちらも日本円でARBやETHを購入できるため、日本人の投資家にとっても身近な取引方法と言えるでしょう。
なお、bitbankの口座開設方法や取引方法についてはページ下部の関連記事でも解説していますので、確認したい方は併せてご覧ください。
STEP2. 購入した アービトラム(ARB)をウォレットに移動
購入したARBやETHをDApps(分散型アプリケーション)で利用したり、DEX(分散型取引所)などで取引するためには、ARBやETHを「Metamask」や「Trust Wallet」などのウォレットに移動する必要があります。
これらのウォレットはスマホやPCなどのデバイス上で仮想通貨を保管し、DApps(分散型アプリケーション)へ接続する機能を提供してくれます。
仮想通貨取引所の口座で保有しているだけではDApps(分散型アプリケーション)やDEX(分散型取引所)は利用できませんので、注意しましょう。
「MetaMask」や「Trust Wallet」などのウォレットを持っていない方は、ページ下部の関連の記事で導入方法を図解付きでわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ウォレットを導入したあとは、ネットワークの設定でアービトラム(Arbitrum)を追加しておきましょう。
<ネットワークの追加方法(MetaMaskの場合)>
MetaMaskのスマホアプリを開き、画面最上部のネットワークボタンをタップすると、「ネットワークの選択」が表示されます。一覧にArbitrum Oneが無い場合は、「ネットワークの追加」をタップしましょう。
人気のネットワーク一覧の中から「Arbitrum One」を見つけ、「追加」をタップしましょう。「確認」「ネットワークを切り替える」の順にタップすると、MetaMaskがアービトラム(Arbitrum)に接続されます。
画面上部のアドレス欄に、自分のアービトラム(Arbitrum)におけるウォレットアドレスが表示されます。
<ネットワークの追加方法(Trust Walletの場合)>
Trust Walletのスマホアプリを開き、画面右上のネットワークボタンをタップすると、「暗号資産の管理」が表示されます。一覧に多数の暗号資産が表示されていますので、検索欄に「arb」と入力して対象を絞りましょう。
「ETH Arbitrum」と「ARB Arbitrum」など、必要な銘柄を選択しましょう。
ホーム画面に戻り、検索画面下のアドレスボタン(四角が二つ重なっているマーク)をタップすると、各ネットワークにおける自分のウォレットアドレスが表示されます。
ウォレットアドレスはネットワークごとに異なります。検索欄に「arb」と入力し、アービトラム(Arbitrum)のアドレスを表示させましょう。
ウォレットの準備が出来たら、仮想通貨取引所からARBやETHをウォレットへ送金しましょう。
この際、ネットワークの選択やアドレスの入力を誤ると仮想通貨が正しく届かず、紛失してしまう恐れがあります。
必ず、ネットワーク欄でアービトラム(Arbitrum)を選択のうえ、コピー機能を活用するなどして正確なウォレットアドレスを記入しましょう。
(bitbankのARB出金画面の例)
STEP3. ウォレットを分散型アプリケーション(DApps)に接続
ウォレットをDApps(分散型アプリケーション)に接続することで、ウォレットに保管しているARBやETHをそのプロダクトで利用できるようになります。
アービトラム(Arbitrum)が使えるDAppsの例
● Sushiswap
● Opensea
● Aave
● Arbitrum Bridge など
ここでは、スマホを使ってSushiswapにMetaMaskを接続するケースを例に手順をご紹介します。
まずはブラウザを使って接続したいDAppsのサイト(Sushiswap)を開きます。
サイト上にある「Connect」のボタンをタップすると接続するウォレットの選択肢が表示されますので、MetaMaskをタップしましょう。
MetaMaskのアプリが起動し、ウォレットをサイトに接続するための承認が求められます。
画面の案内に沿って「接続」を承認すると、ウォレットとDAppsのサイト(Sushiswap)が接続状態になります。
Sushiswapのサイト上で、右上のウォレットの表示が変わっていることを確認しましょう。
なお、DApps(分散型アプリケーション)サイトとウォレットの接続方法は、サイトやウォレットの種類によって細かい違いがありますが、流れは上記と概ね同様です。
ウォレットを接続することによって、サイトがウォレットに対して送金リクエストなどを行えるようになりますので、必ず信用できるサイトにのみ接続するようにしましょう。
アービトラムの送金時の留意点
ウォレットを使ってアービトラム(Arbitrum)の送金や取引を行う際には、トランザクション手数料としてETHが必要です。ここで言うETHとは、イーサリアムメインネット上のETHとは別扱いの、アービトラム(Arbitrum)上のETHのことです。
bitbankなどのアービトラム(Arbitrum)に対応した取引所でETHを購入・送金することでアービトラム(Arbitrum)上のETHを用意することができますが、他にも方法があります。
例えば、イーサリアムメインネットからアービトラム(Arbitrum)上へETHを「ブリッジ」しておくという方法もその一つです。
「ブリッジ」とは、異なるネットワーク間で仮想通貨を交換したり移転させたりする機能のことです。
なお、アービトラム(Arbitrum)ではネイティブトークンとしてARBが発行されていますが、これはあくまでもガバナンストークンとして使われており、手数料の支払いには利用できません。この点は誤解されているケースがありますので、しっかりと認識しておきましょう。
また、前述したようにアービトラム(Arbitrum)には「Arbitrum One」と「Arbitrum Nova」の2種類が存在します。送金する際のネットワークを間違えるとトークンを喪失してしまいますので、注意が必要です。
アービトラムのウォレットへの追加方法・ブリッジのやり方
MetaMaskを利用する場合、アービトラム(Arbitrum)のネットワークに接続するだけでは残高一覧にARBの残高が表示されません。
この状態のままでもウォレットにARBを入金したり、DApps(分散型アプリケーション)に接続すること自体は可能ですが、MetaMaskの画面上でARBの残高を確認できないのはいささか不便というものです。
ARBをMetaMaskに表示させるためには、「トークンをインポート」する必要があります。
MetaMaskのスマホアプリを起動し、アービトラム(Arbitrum)のネットワークに接続した状態でトークンの一覧を表示し、画面下部にある「トークンをインポート」をタップします。
インポートするトークンの選択画面が表示されるので、検索欄に「arb」と入力し、Arbitrum(ARB)を選択したうえで、「次へ」をタップしましょう。
「このトークンをインポートしますか?」の文字とともに、アービトラム(Arbitrum)が表示されていることを確認し、「インポート」をタップします。
トークン一覧に「Arbitrum」が追加されていれば、インポートは完了です。
なお、MetaMaskには異なるネットワーク間で仮想通貨を移行する「ブリッジ」機能が搭載されています。
「ブリッジ」取引を行うには、画面下部中央の「↑↓」のボタンをタップし、「ブリッジ」を選択します。
ブリッジの入力画面が表示されるため、転送元のネットワークと通貨、転送先のネットワークと通貨をそれぞれ選択したうえで、転送したい数量を指定しましょう。
下記の画面は、イーサリアムメインネットのETHを、アービトラム(Arbitrum)のETHに「ブリッジ」する場合の入力例です。
「Switch to Ethereum」をタップすることで、取引の注文に進むことができます。
なお、「ブリッジ」はMetaMaskの機能以外でも、SushiSwapやArbitrum BridgeなどのDApps(分散型アプリケーション)にウォレットを接続することでも利用可能です。
Arbiscanの使い方・取引履歴の取得方法
Arbiscanは、アービトラム(Arbitrum)の取引履歴等を閲覧することができるブロックチェーンエクスプローラです。
アービトラム(Arbitrum)のブロックチェーン上で行った仮想通貨の取引やDApps取引など、さまざまなトランザクションの記録を閲覧し、ダウンロードすることが可能です。
特に、アービトラム(Arbitrum)を使った取引に関する税金の計算や申告などを手作業で行う際には、Arbiscanからダウンロードする取引履歴データを活用するケースが多いことでしょう。
Arbiscanで取引履歴を表示するには、Arbiscan.ioのサイトを開き、入力欄にウォレットアドレスを入力して検索ボタン(虫眼鏡マーク)をタップしましょう。
ページ中ごろにある「Transaction」(取引一覧)を選択した状態で、一覧表の右下にある「Download: CSV Export」をクリックすることで、取引履歴データをCSVファイル形式でダウンロードできます。
なお、Arbiscanの取引履歴は種類ごとにタブが別れて表示されていますので、ダウンロードする際は注意しましょう。
Arbiscanの主な取引種類
・Transactions
・InternalTxns
・ERC20 Token Txns
・ERC721 Token Txns
・ERC-1155 Token Txns
(該当する履歴がない場合は表示されません)
まとめ
この記事では、アービトラムの基本情報からARBの購入方法、ウォレットへの移動手順、送金時の注意点やArbiscanの使い方まで、初心者の方にも分かりやすく解説してきました。
アービトラム(Arbitrum)はDeFi(分散型金融)の利用にも適した利便性の高いネットワークですが、仮想通貨の取引を行った場合はその取引から生じた所得を計算して税金を納める必要があることを忘れてはいけません。
取引の損益計算を手作業で行う場合はArbiscanから取引履歴を取得する方法がありますが、取引の件数が多い場合は計算量が膨大になりすぎて、あまり現実的な方法とは言えません。
そこでおすすめなのが、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」を活用する方法です。
「クリプタクト」のDeFi機能であれば、ウォレットアドレスを登録するだけでアービトラム(Arbitrum)のブロックチェーン上から自動で取引履歴を収集し、システムが識別できる取引については識別から損益計算までを自動で行うことが可能です。
もちろん、アービトラム(Arbitrum)だけでなくイーサリアムやポリゴン、BNBチェーンなど幅広いネットワークに対応しているため、さまざまなネットワークを横断的に利用している場合も安心です。
汎用性の高いカスタムファイルによるデータ取込も可能なため、複雑なDeFi取引やNFT取引も含めて、仮想通貨取引全般をワンストップで管理できるのも大きなメリットと言えるでしょう。
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