「メタバース」という言葉を耳にする機会が増えましたが、具体的にどのようなものを指すのかわからないという人もいるでしょう。この記事では、メタバースとはどのようなものなのか、歴史や現状、活用例、今後の展望などについて解説していきます。
メタバースとは?
「メタバース」とは、インターネット上に作られた仮想空間のことです。
「超越」を意味する「メタ」と、「世界」や「宇宙」といった意味を持つ「ユニバース」を合わせて作られた言葉です。1992年にアメリカのSF作家「Neal Stephenson(ニール・スティーブンスン)」が発表した「スノウ・クラッシュ」という小説中で初めて使われました。
メタバースでは、仮想空間内を自分の分身であるアバターを使ってさまざまな人とコミュニケーションをとることができます。また、それだけではなく買い物ができるサービスを展開している場合もあり、こうしたサービスではメタバース上にあるアイテムを 購入することも可能です。
インターネットの仮想空間でも物の売買が実現するのは、アイテムに所有者情報を記載し、ブロックチェーンで具現化された信憑性を証明できる「NFT」技術が使われているためです。このようにブロックチェーン技術によって、メタバースはより安全かつ便利に、そして収益も見込めるようになったため、さまざまな分野での活用事例が増えてきています。
メタバースの歴史と現状
メタバースという概念が発生してから現在に至るまで、どのような歴史があるのか解説していきます。
メタバース初期(1980~1990年代)
メタバースは当初、インターネット上に作られたものではなく、小説や映画などの中で用いられた概念でした。これは、アメリカの数学者・計算機科学者でありSF作家でもあるVernor Vinge(ヴィーナー・ヴィンジ)氏が1980年代に発表した「マイクロチップの魔術師」の中で見ることができます。この小説の中でメタバースの原型となる仮想空間が描かれています。そしてその後、前章でも触れたように、ニール・スティーブンスンが「スノウ・クラッシュ」の作中で初めて「メタバース」という言葉を使いました。
第1回メタバースの波(2000年代半ば)
「スノウ・クラッシュ」の影響を受けたアメリカのリンデンラボ社は、2003年に「セカンドライフ」というソフトウェアを発売しました。セカンドライフ内では3D空間を自由に行動し、ほかのユーザーとコミュケーションをとることができます。また、セカンドライフ内で利用できる「リンデンドル」という仮想通貨でほかのユーザーと売買することも可能でした。このような利用方法が可能なことから、「セカンドライフ」は世界初のメタバース空間だといわれています。
「セカンドライフ」はその後もユーザー数を増やし日本でも話題となりましたが、2007年に急激にユーザー数が減少しました。高性能なパソコンがあまり普及していなかったことや回線速度が不十分だったことなどが主な原因とされています。
第2回メタバースの波(2010年代~現在)
2010年半ばごろになると、家庭用パソコンやゲーム機器の品質が向上や普及が進んだことにより、メタバースが再注目されるようになりました。
さらに、2021年10月28日にFacebook社が社名を「Meta(メタ)」に変更したことを発表し、今後は「メタバースの構築に注力する」との考えを示したことで、一層メタバースが注目されるようになっています。
メタバースの主な活用事例
メタバースはユーザー間のコミュニケーションだけにとどまらず、多くの分野で導入されています。
エンタメ分野
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メタバースの可能性と今後の展望
メタバースは今後、ゲームやビジネスのほかにも医療分野や不動産分野など、さらにさまざまな分野で活用されることが期待されています。
たとえば、医療分野では「バーチャルホスピタル」で治療の疑似体験をすることや、引きこもりの人が対面することなくカウンセリングを受けられるようなスペースを作ること、医師や看護師の研修などに活用することなどが研究開発されています。
また、不動産分野ではメタバース内に賃貸物件を設置して、実店舗に来店しなくても内覧が可能となるような開発がすすめられています。ただし、すべてのメタバースで取引可能なわけではなく、2023年4月時点においてはごく一部のメタバースに限られているというのが現状です。
まとめ
メタバースとはインターネット上に作られた仮想空間のことで、身近なものとしてはゲームやライブイベントなどが挙げられます。今後は、ビジネスや医療、不動産といった分野にも活用の場が広がることが予想され、ますます身近なものになる可能性があります。
メタバースでのアイテムの取引には仮想通貨が使われますので、あらかじめ仮想通貨についての基本的な知識を得ておくと良いでしょう。
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