仮想通貨の税金は高すぎるって本当?課税の仕組みや確定申告の注意点
ブログ一覧に戻る仮想通貨取引をしている多くの方々が、日本における仮想通貨の利益に対してかかる税金の高さについて耳にしたことがあるでしょう。実際、仮想通貨の税金はどの程度かかるのでしょうか?また、何か対策方法は存在するのでしょうか?
そこでこの記事では、仮想通貨の高すぎる税金の仕組みとともに、税金をできるだけ抑える方法について、わかりやすく解説していきます。税金計算を簡単・正確に計算するための便利なツールについてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次 |
仮想通貨の高すぎる税金の仕組み
仮想通貨の税金が高すぎると言われる理由として、税率が最大55%にも及ぶ可能性がある仕組みになっていることが挙げられます。
株式投資の税率は一律で約20%とされていますので、それと比較すると仮想通貨の税金は非常に高くなる可能性があるのです。
なぜ仮想通貨の税金が最大55%にも及ぶことになるのか、その仕組みについて見ていきましょう。
個人投資家の場合、投資を通じて得た所得には所得税と住民税が課せられますが、仮想通貨取引による所得は通常「雑所得」と呼ばれる所得区分に分類されます。
「雑所得」は給与所得などと同様に「総合課税」と呼ばれる枠組みに属しており、それらの所得を合算した所得金額に対して所得税や住民税が課税されます。
そして、所得税の税率はこの所得金額が増えるほど高くなるように設計されているのです。こうした仕組みを「累進課税制度」と呼びます。
引用元:国税庁|No.2260 所得税の税率
上記の表は合計所得金額(1,000円未満の端数は切り捨て)に応じた所得税の一覧表です。
例えば、サラリーマンが個人の副業として仮想通貨取引を行っている場合、給与所得と仮想通貨取引による雑所得の合計が900万円未満であれば所得税率は23%ですが、900万円以上になると税率が33%に増えるという考え方です。
例
課税所得金額が1,000万円のAさんの所得税の概算。 ⇒課税所得10,000,000円×税率33% - 控除額1,536,000円= 1,764,000円 |
さらに、所得税に加えて住民税も支払う必要があります。
住民税は居住している自治体によって多少の違いがありますが、所得金額に対して概ね10%程度が課税されます。
これら二つの税金を合わせることで、最大55%という高い税率が発生し得る仕組みになっているのです。
もっと高い税金がかかる?!仮想通貨の注意点
ただでさえ高い仮想通貨の税金ですが、確定申告の対応を間違えるとさらに税金が高くなる恐れがあります。
必要な確定申告を漏らして税金を納めなかったり、あるいは必要な納税額を間違えて過少に申告してしまった場合、税務調査によって発覚した際に延滞税や加算税などの重いペナルティを税務署から課される可能性があるのです。
一時期、仮想通貨ブームによって多くの「億り人」(仮想通貨取引で億単位の利益を得た投資家を指す造語)が誕生した際には、不注意などによって多額のペナルティを受ける人も多く、話題となりました。
仮想通貨の税金には特有の複雑さがあるため、正しく理解しておくことが重要です。ここでは重要なポイントについて解説していきます。
課税のタイミングが複雑
仮想通貨取引では、利益が確定されて課税対象となるタイミングが多く存在します。
例えば、400万円で購入した1BTCを500万円で売却した場合、100万円の利益が確定するということは多くの方が違和感なく認識できることでしょう。
しかし、このような主観的な認識とは異なるタイミングで税務上の利益認識が発生するパターンも存在するため、見落としてしまわないように注意が必要です。
ここでは、誤認しやすい代表的なパターンを4つご紹介していきます。なお、そのほかの仮想通貨取引において課税が生じるタイミングについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、確認したい場合は併せてご覧ください。
①仮想通貨で仮想通貨を購入したとき
仮想通貨取引の初心者の方であれば、通常は日本円で仮想通貨を売買することが多いことでしょう。
しかし、仮想通貨取引に精通した投資家の方であれば、仮想通貨同士の売買が主要な取引方法となる場合も少なくありません。
仮想通貨Aを支払って仮想通貨Bを購入する取引は、税務上は次のような取引に分けることができます。
1. 仮想通貨Aを譲渡(売却)して譲渡価額(日本円換算)を得る
2. 上記の譲渡価額(日本円換算)を取得価額として仮想通貨Bを得る
例
500万円相当の1BTCを支払い、同じく500万円相当の10ETHを交換した。なお、1BTCは以前に400万円で購入したものであった。 ⇒ ビットコインの譲渡価額500万円 - (ビットコインの取得価額400万円) = 100万円の利益認識 |
このように、本人の主観的な認識としては仮想通貨同士を交換しただけであっても、税務上は仮想通貨Aを売却したことになるため、仮想通貨Aの取得原価と譲渡価額の差額で利益が生じる場合は、その分が所得として課税対象となるのです。
②仮想通貨を支払って商品等を購入したとき
仮想通貨は決済手段としても活用されているため、仮想通貨を支払って商品やサービス等を購入する場合もあります。
しかし、そのような場合であっても仮想通貨同士の取引と同様に、税務上は仮想通貨の譲渡(売却)が発生していると見なされる点に注意が必要です。
仮想通貨Aを支払って商品・サービスを購入する取引は、税務上は次のような取引に分けることができます。
1. 仮想通貨Aを譲渡(売却)して譲渡価額(日本円換算)を得る
2. 上記の譲渡価額(日本円換算)を対価として商品・サービスを購入する
例
450万円相当の1BTCを支払い、自動車を購入した。なお、1BTCは以前に350万円で購入したものであった。 ⇒ ビットコインの譲渡価額450万円 - (ビットコインの取得価額350万円) = 100万円の利益認識 |
このように、ビットコインを支払いに使用した場合であっても、その取得原価と譲渡時の時価の差額で利益が生じる場合は、その分が所得として課税対象になります。
このようなケースも、税金の計算から漏れないように注意しましょう。
③マイニングの対価として仮想通貨を得たとき
マイニングの報酬として仮想通貨を得た時にも注意が必要です。
マイニングやステーキング、レンディングなどによって仮想通貨を取得した場合、その時点における仮想通貨の時価(日本円換算)を利益として認識する必要があります。
例
ビットコインのマイニング報酬として0.01BTCを取得した。取得時のビットコイン価格は400万円であった。 ⇒ ビットコイン価格400万円 × 0.01BTC = 4万円の利益認識 |
(簡略化のため、ここでは経費の計上を省略して記載しています)
この際、たとえ仮想通貨を日本円に交換していなくても税金が発生する点に注意が必要です。
あくまでも取得した時点の時価(日本円換算)に基づいて所得が積み上がっていくため、仮に取得した仮想通貨を日本円に換金しないまま、翌年にその仮想通貨価格が暴落してしまった場合、仮想通貨を売却しても納税資金が足りないという状況が発生する可能性もあるのです。
税金の対策を全く考慮しないでいると、このようなリスクがあるという点をしっかりと押さえたうえで、年内に損益シミュレーションを実施するなど、損益と税金の着地点を意識した取引を行うことが大切です。
④エアドロップなどのキャンペーンで仮想通貨を得たとき
税務上の利益認識として、特に盲点となりやすいのが仮想通貨のエアドロップによって仮想通貨を得るパターンです。
仮想通貨の注目度を高めるなどの目的で、取引所などを通じて新しい仮想通貨をエアドロップ(無償配布)されることがあります。
このエアドロップについては、エアドロップ時点において価値がある仮想通貨を取得した場合は、獲得時点で利益を認識する必要があります。
こうしたケースでは、本人が意識していないうちに仮想通貨を取得する可能性があり、税金の申告漏れに繋がる恐れもあるのです。
このように、仮想通貨を保有しているだけでいつの間にか所得が発生してしまうパターンについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。興味のある方はぜひ併せてご覧ください。
損益の計算方法が複雑
仮想通貨の税金計算が難しい原因として、損益認識のタイミングが多いことに加えて、損益計算自体が複雑である点も挙げられます。
仮想通貨取引の損益における基本的な計算式は次のとおりです。
譲渡価額 - 取得価額 = 所得金額 (簡略化のため、ここでは経費の計上を省略して記載しています) |
考え方としてはシンプルですが、ここで問題となるのが取得価額の求め方です。
取得価額の計算方法については、「総平均法」と「移動平均法」と呼ばれる2つの方法が認められています。
総平均法
「総平均法」とは、1年間の取引全てを集めて平均取得単価を計算する方法です。
購入総額を購入数量で割って単純平均するだけで良いため、計算方法が比較的シンプルというメリットがあります。
一方で、1年間の全ての取引が終わってからでないと平均単価を算出できないため、期中の損益シミュレーションに不向きであるほか、平均単価による計算では実際の損益と計算上の
損益が乖離する場合がある点がデメリットとされています。
移動平均法
これに対して「移動平均法」は、取引のたびに平均取得単価を計算し直す方法です。
期中のどの時点においても正確な平均取得単価を算出できるため、期中においても正確な損益シミュレーションが可能であり、実際の損益を税務上の損益に反映することができます。
一方で、取引を行うたびに平均取得単価の計算が発生することになるため、計算が非常に煩雑になるというデメリットがあります。
通常、個人投資家の場合は自発的に計算方法を届け出ない限り「総平均法」が選択されたものと見なされます。
なお、「総平均法」と「移動平均法」の選び方などについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
どちらを選択するのが正解というものではありませんが、正確な確定申告や納税を行うためには、自分が選択している計算方法を把握したうえで、正しく取得価額を算出しなければなりません。
1年間の取引履歴を全て漏らすことなく計算に含める必要があるため、個人が手作業で行うにはとても煩雑な作業となっているのです。
仮想通貨の高すぎる税金をできるだけ抑える方法は?
さて、仮想通貨の非常に高い税金を可能な限り抑えるには、どのような方法があるのでしょうか。
①「事業所得」として確定申告を行う
一つの方法として、仮想通貨取引による所得を「雑所得」ではなく「事業所得」として確定申告を行う方法が挙げられます。
事業所得として申告することで、損益通算や繰越控除などを適用して課税所得を圧縮できるほか、確定申告を青色申告で行うことで最大65万円の特別控除を受けることができるのです。
これまで「事業所得」として申告するためには一定の要件があり、従来は仮想通貨取引で生計を立てているなどの高いハードルをクリアする必要がありました。
しかし2022年12月に国税庁から公表された指針によってその要件が大幅に緩和されており、次の条件を満たした場合に仮想通貨取引の利益を「事業所得」として申告できるとされています。
● 暗号資産(仮想通貨)取引の収入が年間で300万円を超えること
● 暗号資産(仮想通貨)取引に係る帳簿書類の保存があること
もし、あなたの仮想通貨取引の利益が300万円を超えているならば、「事業所得」として申告することが節税対策として有効な選択肢となる可能性があります。
「事業所得」の申告については、こちらの記事で税理士が分かりやすく解説していますので、確認したい場合はぜひご覧ください。
なお、上記の要件を満たしていない場合でも、税金を抑える方法はあります。
②損失を確定することで利益と相殺し、所得を圧縮
期中(年内)に損益シミュレーションを実施し、大きな利益がでている場合には、含み損などの損失を確定させることで利益を相殺し、所得を圧縮することができます。
前述したマイニングの事例のように、報酬として取得した仮想通貨が暴落している場合には、売却することで利益を適正な水準に抑えることも可能でしょう。
仮想通貨の税金を抑えるためには、仮想通貨の損益を正確に計算することが第一歩となるのです。
仮想通貨の税金を簡単・正確に計算するには?
追徴課税などのペナルティを避けるためにも、事業所得として申告するための帳簿書類を作成するためにも、そして期中の損益シミュレーションを行って節税対策を検討するためにも、仮想通貨の損益を正確に計算することが必要不可欠です。
しかし、1年間の取引を全て自分で計算するのは個人投資家にとって非常に負担が大きい作業となります。
取引履歴を全て収集するだけでも手間がかかりますが、仮想通貨同士の取引や海外取引所などを利用している場合は、各取引の金額をその時点のレートに基づいた日本円に換算するだけでも日が暮れる作業となることでしょう。
そのため、手計算ではなく専用の計算ツールを利用することで損益計算を自動化している投資家が多くなっています。
中でも、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、面倒な手間をほとんどかけることなく、自動で仮想通貨取引の損益計算ができるためおすすめです。
また、設定を変更することで「総平均法」と「移動平均法」のどちらにも対応できるため、手作業では困難な「移動平均法」による正確な損益シミュレーションも簡単にできるため二つの計算結果を比較することも簡単です。さらには年末に計算結果のよって取引をすることで節税対策の検討につなげることができるでしょう。
仮想通貨の税金について対策するなら、このような専門ツールの活用が非常に有効な選択肢と言えるでしょう。
仮想通貨の税金計算ならクリプタクト
申告分離課税として税率が約20%に固定されている株式投資と異なり、仮想通貨取引の税金は最大55%という高い税率が適用されています。そのため、仮想通貨取引の損益を正確に把握し、無駄のない正確な確定申告を行うことで、仮想通貨の税金をできる限り抑えていくことが重要と言えるでしょう。
仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」を活用することで、手作業では煩雑すぎる仮想通貨の損益計算を簡単な操作で自動化することが可能です。
作業負担の大幅な軽減になるだけでなく、こまめな損益シミュレーションをすることでより精度の高い節税対策にもつなげることができることでしょう。
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