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仮想通貨の取引で得た利益には税金がかかります。そして、その税率は最大で55%です。せっかく利益を出しても高額な税金を支払うことになるため、できるだけの対策をとりたいと考える方も多いことでしょう。

この記事では、仮想通貨の税金対策として検討すべき4つの方法を紹介します。

目次

  1. 仮想通貨にかかる税金の仕組み
  2. 仮想通貨の税金対策でできること①:必要経費を計上する
  3. 仮想通貨の税金対策でできること➁:損益通算する
  4. 仮想通貨の税金対策でできること③:個人事業主として事業所得の一部として青色申告を行う
  5. 仮想通貨の税金対策でできること④:法人を設立する
  6. 仮想通貨の利益には適切な税金対策をとりましょう

仮想通貨にかかる税金の仕組み

仮想通貨の取引において利益が出たとしても、すべての利益に対して課税されるわけではありません。

サラリーマンなどの給与所得者の場合、仮想通貨を含む副業で得た所得(利益から必要経費を差し引いた金額)が20万円を超える場合に課税対象となります。つまり、仮想通貨取引で利益を出していたとしても、所得が20万円以下であれば税金はかからないということです。   

では、具体的にどのような税金がどのくらいの税率でかかるのか解説します。   
仮想通貨の取引で得た所得にかかる税金は、主に「所得税」と「住民税」の2つがあります。

所得税は課税所得金額が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税」の仕組み を採用しています。それゆえ所得が大きくなるほど納める税金が多くなります。具体的な税率は所得金額によって以下のように決められており、5%から最大45%までに分かれています。

所得にかかる所得税率と控除額
所得税率.png ※千円未満の端数金額は切り捨て   
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

また、仮想通貨取引で得た利益には住民税もかかります。住民税は、前年の年収の10%を徴収する「所得割」と一律で決まった金額を徴収する「均等割」の2つで構成されています。所得割の税率や均等割の額は自治体により異なるため、具体的に税率等を知りたい場合は各自治体の公式サイトなどで確認しましょう。

所得税や住民税を抑えるには、課税所得を減らす(圧縮する)必要があります。課税所得を減らすにはいくつか方法がありますので次章から解説していきます。

仮想通貨の税金対策でできること①:必要経費を計上する 

 仮想通貨取引における税金対策で、まず検討することのひとつに「必要経費の計上」があります。所得税や住民税は、仮想通貨で得た収入から必要経費を差し引いた課税所得に対してかかるため、必要経費はもれなく経費計上することがポイントです。


必要経費としては主に以下のものが挙げられます。 

・仮想通貨の取引手数料  
・電気代・通信費   
・スマートフォン・パソコン代 など

仮想通貨の取引手数料を経費計上するには、取引履歴の記録が必要です。また、電気代や通信費、スマートフォン代金、パソコン代は、仮想通貨取引のために使用することが条件で、直接仮想通貨取引に関係ない支出は経費として認められません。   
仮想通貨投資以外にも利用しているのであれば、仮想通貨に利用した部分のみを合理的な基準で按分して計算することとなります。

なお、仮想通貨取引のために使用するパソコンで10万円を超える場合は、減価償却の対象になり耐用年数に応じた計上が必要になることがあります。

仮想通貨の税金対策でできること➁:損益通算する

損益通算とは、同一年における利益と損失を相殺し、利益を圧縮できる制度です。  
仮想通貨における所得は、給与所得や不動産所得などのほかの所得と損益通算することはできません。しかし、仮想通貨間であれば通算することが可能なため、課税所得を圧縮でき節税効果が期待できます。

たとえば、ビットコイン(BTC)で50万円の利益を出しイーサリアム(ETH)で40万円の損失を出した場合、損益通算すると利益は10万円に圧縮され(50万円-40万円)課税所得を抑えることができます。なお、この場合は所得が20万円以下なので、通常の会社員であれば確定申告をする必要もありません。

ただし、損益通算は年内に限り有効で、損失を翌年に繰り越すことができないことに注意しましょう。

含み損を売却し所得を圧縮する

 「含み損」を抱えている仮想通貨を保有している場合、その仮想通貨を売却し含み損を確定することで所得を圧縮し節税につなげることができます。含み損とは、仮想通貨を購入したときよりも時価が値下がりしている場合のその差額のことをいいます。  

含み損の売却による節税は年内(12月31日まで)に行う必要があります。仮に、保有し続けたい仮想通貨の場合は、年明けに再度購入すると良いでしょう。ただし、価格変動リスクがあったり、期間によっては売買が認められなかったりするケースもある点に注意が必要です。

含み損の計算方法 

含み損を計算する際は、次の3つの点を把握しておきましょう。 

●現在の実現損益   
●保有している通貨ごとの含み損益   
●予定している取引を行った場合に、1と2がどのように変化するのか

たとえば、以下のような仮想通貨の取引があった場合で確認してみましょう。

2022年1月31日に400万円で購入した1BTCを同年3月30日に500万円で売却し、100万円の利益を得ました。この取引だけで終了した場合、2022年は100万円の利益が出ることになります。

しかし、2021年12月1日に40万円で購入した1ETHを2022年12月30日に20万円で売却し20万円の損失を確定することで、2022年の利益を80万円(100万円-20万円)に圧縮することができるのです。 


損益通算例 

損益通算.png 
 

このケースは簡易的なものですが、複数の仮想通貨を保有している場合、取引の含み損益を確認して計算するのは非常に手間がかかります。そのため、損益計算ツールを利用して計算している人も多いです。その一つである、クリプタクトを利用すれば複数の取引所、複数の通貨の取引を自動かつ正確に損益計算ができます。

仮想通貨の税金対策でできること③:個人事業主として事業所得の一部として青色申告を行う

一般的に個人事業主として青色申告を行うと最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられます。  
 控除が適用されれば、その分課税所得が減るため支払う税額も抑えることが可能です。

また、所得税では赤字が出た場合は確定申告をする必要がありませんが、青色申告の場合は赤字の場合でも申告することで「繰越控除」や「損益通算」が適用されるというメリットがあります。

繰越控除とは、当年の損失を控除しきれない場合、翌年以降3年間にわたりその損失を繰り越して利益と相殺できる制度です。 
たとえば、当年の損失が50万円出た場合で、翌年の所得が80万円の黒字だった場合、翌年の課税所得を30万円(80万円-50万円)にできるということです。

損益通算とは、同一年における利益と損失を相殺できる制度のことをいいます。 
サラリーマンなどの給与所得者の場合、仮想通貨取引で損失が出ても給与所得と相殺することで、給与所得の所得税・住民税を抑えることが可能になります。

青色申告の手続きは、「所得税の青色申告承認申請書」と「個人事業の開業・廃業等届出書」に必要事項を記入し税務署に提出します。 
提出期限は青色申告をしようとする年の3月15日(その年の1月16日以後に新たに事業を開始する場合は、その事業開始日から2か月以内)までです。

仮想通貨の取引で得た収益は雑所得に分類されますが、個人事業主として登録し仮想通貨の取引が「事業所得」として認められれば上記のような「繰越控除」や「損益通算」を行うことができます。 
なお、サラリーマンが副業で仮想通貨の取引を行っている場合は営利性・反復性・事業性が事業所得としての判断において優先されるため、事業所得として認められにくいことに留意しましょう。

仮想通貨の税金対策でできること④:法人を設立する

仮想通貨取引で大きな利益が得られるようになってくると、法人を設立して法人税を納める方法も効果的です。法人とは「個人」と同様に法律上の権利を持ち義務を負う組織のことで、口座を開設できたり税金を支払う義務を負ったりします。

法人を設立するメリット   

個人が法人を設立するメリットには主に以下の点が挙げられます。  


● 所得が一定の金額以上であれば所得税より法人税の方が税率が低い   
● 赤字の繰越や損益通算ができる   
● 経費の種類が増える

法人税は、所得が一定の金額以上であれば所得税と比較して税率が低いというメリットがあります。前章でも触れたように所得税の税率は所得に応じて5%から45%のいずれかが適用されます。さらに、住民税が所得の10%かかりますので、合計で最大55%の税金が課せられます。

一方、法人税は下表のように資本金や所得に応じて一定税率となっており、最大でも23.2%です。法人住民税をプラスしても35%程度になることが多いです。

普通法人の法人税 法人税.png (適用除外事業者の場合:19%)   
出典:国税庁「No.5759 法人税の税率」   
上記のテーブルを見ていただいてわかるように、仮想通貨取引による所得が一定金額を超えると所得税に比べ法人税の税率のほうが低くなるのです。

そのほかのメリットとして、法人化すると赤字の繰越や他の所得との損益通算などもできるようになり、課税所得を抑えることができます。

また、法人化することで経費として計上できる項目の種類が増えるというメリットもあります。事務所の家賃や法人が契約者になっている生命保険料、セミナーなどへの旅費、役員報酬などさまざまな経費が経費計上可能です。

法人化の注意点


個人が法人を設立する際には、以下の点に注意が必要です。

● 毎年確定申告が必要   
● 事務処理が煩雑化する   
● 赤字であったとしても一定の法人税額がかかる

個人の場合は、赤字の場合や利益が少ない場合は確定申告をする必要はありませんが、法人は赤字や利益が少額な場合でも、毎年決算と確定申告が必要です。

また、経費に算入できる項目が増える一方、事務処理が煩雑化し手間も増えるのが一般的です。すべてを自分自身で処理することが難しくなるため、税理士などの専門家と契約することが多く、報酬の支払いも発生します。

さらに、法人の場合は、赤字であったとしても年間7万円の法人税(住民税の均等割り)がかかることとなります。上記の専門家報酬も加味すると、年間の運営コストは個人より多くかかることとなるのです。

仮想通貨の利益には適切な税金対策をとりましょう

仮想通貨での取引で大きな利益が得られるようになった際には、適切な税金対策をとることが大切です。たとえば、この記事で紹介した必要経費の計上や法人化などの方法のほかにも、ふるさと納税やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった一般的な節税対策も有効です。

仮想通貨取引で20万円以上の所得が発生した人は確定申告をする必要があります。また、医療費控除などで確定申告を行う人は、仮想通貨取引の所得が仮に20万円以下でも仮想通貨所得の申告も同時に行うことになります。

とはいえ、確定申告をしたことがない人にとってはどのように手続きを進めていけば良いのかわからないこともあるでしょう。

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