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仮想通貨のドルコスト平均法とは?メリット・デメリットと税金計算を解説

仮想通貨コラム
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仮想通貨のドルコスト平均法を具体的に解説.webp

価格変動のある金融商品(株や仮想通貨など)を一定金額(ドルや円)で定期的に買い続ける投資手法として「ドルコスト平均法」があります。

この記事では「ドルコスト平均法」について解説するとともに、実際の相場に基づいたシミュレーション結果を交えて、「ドルコスト平均法」のメリット・デメリットをご紹介していきます。

また、仮想通貨投資の利益を最大化するためには、税金に対する正しい知識と備えが欠かせません。「ドルコスト平均法」における税金計算の対策についてもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. 仮想通貨のドルコスト平均法とは
  2. ドルコスト平均法のメリット   
    2.1. メリット① 価格変動リスクの低減   
    2.2. メリット② 心理的負担の軽減   
    2.3. メリット③ 小額からいつでもスタートできる   
    2.4. 実際にドルコスト平均法で運用した場合(シミュレーション)
  3. ドルコスト平均法のデメリット   
    3.1. デメリット① 上昇相場での機会損失   
    3.2. デメリット② 心手数料負担の増加   
    3.3. デメリット③ 税金計算の煩雑化
  4. まとめ

仮想通貨のドルコスト平均法とは

「ドルコスト平均法(Dollar-Cost Averaging、 DCA)」とは、一般的に価格変動のリスクを抑えつつ安定した成長を目指す方法として知られる投資方法で、古くから存在する定番の投資手法です。

近年では仮想通貨取引においても活用されています。

ドルコスト平均法を用いた仮想通貨投資の例としては、毎月1万円分のビットコインを購入するなどといった積立投資がこれにあたり、典型的な「ドルコスト平均法」による投資例と言えるでしょう。

ビットコインの価格が高い時には1万円で購入できる数量は少なくなり、逆に価格が低い時は購入できる数量が多くなります。

このように支払う金額を固定することで仮想通貨の購入価格が平均化され、リスク分散効果が期待できるといわれています。

ドルコスト平均法のメリット

ドルコスト平均法で投資をすることのメリットは、主に次のとおりです。

メリット① 価格変動リスクの低減

法定通貨ベースでの購入金額が一定であるため、仮想通貨の価格が高い時は購入数量が少なく、価格が低い時はより多くの数量を購入することになります。

これにより、短期的な価格変動による影響を吸収して購入価格が平均化されることになり、高値掴みを回避することができます。

メリット② 心理的負担の軽減

一括投資や短期売買を行う場合、常にチャートを分析しながら、買い時や売り時を判断する必要があるため、緊張を強いられます。

購入時期と金額が決まっている「ドルコスト平均法」であれば、こうしたタイミングを判断する必要がなく、ストレスの軽減に繋がります。

メリット③ 少額からいつでもスタートできる

一括投資を行う場合、取引への参入は価格が安いタイミングに行う必要があります。

一方、長期的な投資を前提とした「ドルコスト平均法」は短期的な価格変動を吸収してくれるため、投資を始めるタイミングを選ぶ必要がありません。

また、時間をかけて運用額を蓄積していくことができるため、手元にまとまった資金が無くても小額から始めることができます。

実際にドルコスト平均法で運用した場合(シミュレーション)

実際に「ドルコスト平均法」で運用した場合、どのような投資成果を得られるのでしょうか。実際のチャートに基づいてシミュレーションしてみましょう。

BTC(ビットコイン)価格推移(対日本円)  
フィンタクトより

上記は2024/6/20から過去3年のビットコイン価格を示したチャートで、青い棒線で示しているのが、2022年1月1日から2023年12月31日までの期間です。

2022年は約550万円で取引が始まりますが、段階的に暴落を続けて一時は210万円付近にまで下落しています。

しかしその後は上昇相場に転じて、2023年12月には640万円超えを記録した後、約600万円で年末を迎えました。

仮にこの期間に、「ドルコスト平均法」と「一括投資」それぞれの方法でビットコイン投資を行っていたとします。

「ドルコスト平均法」は、2022年1月から2023年12月まで毎月1日に1万円(合計24万円)をビットコインに積立投資したものとし、「一括投資」は2022年1月1日にビットコインを24万円分を購入したものとして考えてみましょう。

この場合、それぞれの平均取得価額は以下の図のようになります。

2022年1月1日に約550万円で24万円を「一括投資」した場合の平均取得価額は、そのまま約550万円です。

一方で、毎月1万円の積立投資を行った「ドルコスト平均法」の場合の平均取得価額は約360万円となります。

「ドルコスト平均法」は法定通貨(日本円)ベースで同額を投資するため、価格が高い時は購入量が少なくなり、逆に価格が低い時は購入が増えることになるため、平均取得価額を低く抑えられる傾向があるのです。

最終的に、2023年末(ビットコイン価格は約600万円)に売却した場合におけるそれぞれの投資成果は次の通りです。

どちらも同じ24万円の投資ですが、「一括投資」で購入できたビットコインが0.0436BTCであったのに対して、「ドルコスト平均法」では0.0664BTCを購入でき、より多くの投資成果を得ることができました。

このように同じ期間・同じ金額の投資でも、「ドルコスト平均法」と「一括投資」では結果が大きく異なることがお分かりいただけることでしょう。

なお、このシミュレーション結果はあくまでも2022年〜2023年のチャートを基にした一例であり、相場環境が異なれば「一括投資」の方が有利になる場合もあります。

また「ドルコスト平均法」でも投資成果が必ずプラスになるわけではない点にご留意ください。

ドルコスト平均法のデメリット

「ドルコスト平均法」にはメリットが存在する一方で、いくつかのデメリットも存在します。    
それぞれについて見ていきましょう。

上昇相場での機会損失

一般的に、上昇相場の局面では一括投資によって大きな利益を得られる可能性があるとされています。

一方で、「ドルコスト平均法」による投資の場合は短期的な相場変動に注目しないため、こうした取引機会を逃す可能性があると言えるでしょう。

手数料負担の増加

「ドルコスト平均法」による投資の場合、同じ投資金額でも一括投資と比較して取引回数が多くなります。

仮想通貨取引所では取引の都度、取引手数料が発生することが一般的であるため、「ドルコスト平均法」による投資は、一括投資と比較して手数料負担が増加する傾向にあるのです。

税金計算の煩雑化

取引回数が増加するということは、手数料の面だけでなく、税金計算の面でもデメリットとなる場合があります。

仮想通貨の税金計算を行うには1年間に行った取引に対してそれぞれの損益を算出することになりますが、そのために必要な取得単価の算定に際しては「移動平均法」または「総平均法」と呼ばれる方法を用いて、全ての購入取引を計算しなければなりません。

また、税金は日本円で計算する必要があるため、仮想通貨取引の損益計算はすべて日本円に換算しながら行う必要があり、件数が多いほど計算もより煩雑となってしまうのです。

複数の銘柄をドルコスト平均法で取引する場合など、年間の取引件数が多量になる場合は、専用の計算ツールを導入するなど、あらかじめ税金計算の負担を軽減する対策をしておくことをおすすめします。

まとめ

この記事では、実際に「ドルコスト平均法」を用いた仮想通貨投資のシミュレーションをご紹介するとともに、「ドルコスト平均法」に係る税金の計算方法や注意点について解説しました。

特別な知識や長時間のレート分析が不要なドルコスト平均法は、投資初心者の方でも取り組みやすい投資手法の一つですが、投資である以上、税金の管理は不可欠です。

税金は仮想通貨の投資成果を左右する大きな要素の一つでもあり、正しい理解と備えがなければ、最終的な利益を毀損してしまう恐れもあります。

例えば、長期的にドルコスト平均法による投資を行う場合はすぐに売却しない予定であることが多く、そうした中で「売却をしない年は税金計算が不要」と考えてしまいがちです。

しかし将来、売却をする際にはそれまでに行った全ての購入取引に遡って計算する必要がでてくるため、期間が長いほど取引履歴の収集が困難になります。

取得価格が全くわからない状況に陥ると売却額の95%を利益と見なして多額の税金が課される場合があるほか、不正確な税金計算は脱税と見なされ追徴課税などのペナルティを受ける原因となります。    

そのため、売却を予定しない年であっても正確に取引履歴を記録して管理しておくことが非常に大切なのです。

仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、画面の案内に沿って簡単な操作を行うだけで取引所のデータ等から取引履歴を取得して管理しておくことができます。

また、売却取引を実施した場合は、取引履歴に基づいて税務上の損益額が計算され、確定申告の「雑所得」欄等に転記して利用することが可能です。

「クリプタクト」を活用することで、簡単な操作だけで常に正確な取引履歴の記録・管理が実現できます。ぜひご活用ください。