仮想通貨の積み立て投資、税金の計算方法には注意.png

仮想通貨の積立投資は、購入するタイミングを分散させることで単価を平均化させ、価格変動のリスクを軽減させることができる投資手法です。

仮想通貨投資の初心者でも取り組みやすい手法である一方で、仮想通貨の税金計算については注意が必要です。

この記事では、仮想通貨積立投資を行う際に知っておきたい、仮想通貨取引をした場合の税金の基本から計算手法について、計算事例と注意点を交えてわかりやすく解説していきます。

 

目次

  1. 仮想通貨の税金に関する基本 
    仮想通貨の利益には所得税や住民税がかかる 
    税金の申告漏れ・未納には重いペナルティがある 
    損益の計算方法
  2. 注意が必要な取得価額算出方法 
    総平均法で計算する場合 
    移動平均法で計算する場合
  3. まとめ

仮想通貨の税金に関する基本

ここでは、仮想通貨取引に関する税金の基本として、押さえておきたい次の3点をご説明します。

● 仮想通貨の利益には所得税や住民税がかかる   
● 税金の申告漏れ・未納には重いペナルティがある   
● 仮想通貨に関する税金の計算方法

それぞれ見ていきましょう。

仮想通貨の利益には所得税や住民税がかかる

仮想通貨取引を行い一定額以上の利益を得た場合、所得に応じて所得税や住民税などの税金を支払う必要があります。

所得とは、利益から必要経費などを差し引いて残った利益のことです。

仮想通貨による所得は通常「雑所得」または「事業所得」に分類されますが、これらの所得区分は総合課税の対象となっているため、その他の所得と合算した金額に応じて所得税の税率が決まります。

例えば、会社員や公務員など給与所得がある人は、給与所得と仮想通貨による所得を合算した金額に基づいて税率を計算することになります。

所得税の税率は次の通りです。

課税される所得金額   
所得税率.png   
引用元:国税庁|No.2260 所得税の税率

一方、住民税は居住する自治体ごとに詳細が異なりますが、所得に対して概ね10%程度の税率が掛かる「所得割」と、およそ5,000円程度が一律課税される「均等割」で構成されています。

なお、これらの税金は確定申告を行うことで税額が確定します。

確定申告が必要になる条件など、詳細についてはこちらの記事でも解説していますので、詳しく確認したい方は併せてご覧ください。

税金の申告漏れ・未納には重いペナルティがある

正しい税額を申告し、期限までに納付しない場合は追徴課税を受けることになります。

追徴課税には、必要な確定申告を怠った場合に課税される「無申告加算税」や、事実よりも少ない所得・税額を申告した場合に適用される「過少申告加算税」、偽装や隠蔽などに課せられる「重加算税」などがあり、悪質であるほど課税額が増える仕組みです。

また、納税が遅れた期間に対する利息に相当するものとして「延滞税」もあります。

重いペナルティを避けるためにも、確定申告と納税は必ず正確な内容で期限内に行うようにしましょう。

損益の計算方法

「所得税」や「住民税」の税額は所得額に基づいて決まりますが、所得額を確定するためには仮想通貨取引による損益を把握する必要があります。

仮想通貨取引の損益は、次の計算式で求められます。

売却価額 - 取得価額 - 必要経費 = 損益

「売却価額」とは仮想通貨を売却して得た代金のことを指し、その仮想通貨を取得(購入)した際の金額が「取得価額」です。

また、「必要経費」には取引所に支払った手数料などが該当します。

サンプルケース

100万円で購入したビットコインを200万円で売却した。取引手数料として1万円を取引所へ支払った。

⇒ 売却価額(200万円) - 取得価額(100万円) - 必要経費(1万円) = 99万円の利益


このような計算を1年間に行った全ての取引に対して行い、結果を合算することで仮想通貨取引による年間所得を算出することができるのです。

注意が必要な取得価額算出方法  

積み立て投資は毎月一定額を積み立てていくため、一見計算が簡単そうに感じるかもしれませんが、仮想通貨の税金計算を行う際の購入単価(取得価額)の計算には2種類あり、どちらの計算方法を採用するかによって単年での取得価額が大きく変わる可能性があります。     

税金計算上の取得価額の計算方法

● 総平均法   
● 移動平均法

なお、計算方法の違いによる差異はタイミングのズレによるものであるため、長期的な所得額は一致することになります。

しかし、一度選択した計算方法は3年間は変更することができない決まりとなっており、それぞれの計算方法の特徴を把握しておくことは、単年度の税金を予測する上で重要です。(申請を行わない限り、個人の場合「総平均法」が採用されます)

それでは、それぞれの計算方法について見ていきましょう。

総平均法で計算する場合

総平均法とは、1年間に行ったその銘柄の取引を全て集めて平均取得単価を計算する方法です。

1年間に4BTCを下記の表の通り購入したケースで考えてみましょう。

日付購入数量購入価格
3月1日1BTC300万円
6月1日1BTC400万円
9月1日1BTC500万円
12月1日1BTC600万円
合計4BTC1,800万円


総平均法による取得価額は、1年間に購入した価格の合計額を数量の合計額で割ることで求めることができます。

1,800万円 ÷ 4BTC = 450万円(年間を通じて一律に適用)

このように総平均法には計算が容易であるというメリットがありますが、一方で売却するタイミングによっては実際の損益と税金計算上の損益に乖離が生じてしまう場合があります。

例えば、3月1日に購入した1BTCを8月10日に450万円で売却したとします。

300万円で購入したものを450万円で売却したわけですから、150万円の利益を得たと考えたくなりますが、前述のとおり総平均法に基づく1BTCあたりの取得価額は450万円です。

つまり、450万円で購入した1BTCを450万円で売却したことになり、この年の税金計算上の損益は0円ということになるのです。

このように、税金計算が経済的な実態と乖離する点が、総平均法のわかりにくさと言えます。

特に仮想通貨の相場が大幅な下落トレンドにある年の場合は、毎月の積立投資で1BTCあたりの取得価額が下落していくため、序盤に行った売却取引の税金計算上の利益が実態以上に大きくなり、納税額が増えてしまう場合もあります。

また、そもそも総平均法では年が終わるまでは取得価額が確定しないため、売却取引を行う際に利益やそれに伴う税金額を予測することが困難となります。

総平均法を採用しながら積立投資を行う場合は、こうした点を考慮しながら取引を行う必要があるでしょう。

移動平均法で計算する場合

移動平均法とは、その銘柄を購入・取得する都度、平均単価を見直していく計算方法です。

先程と同様、1年間に4BTCを購入したケースで考えてみましょう。

【購入のみを行った例】

日付数量購入価格BTC残高1BTCあたりの取得価額
3月1日1BTC購入300万円1BTC300万円
6月1日1BTC購入400万円2BTC350万円
9月1日1BTC購入500万円3BTC400万円
12月1日1BTC購入600万円4BTC450万円

上記の表のように、購入取引のたびに1BTCあたりの取得価額が算出されるため、時系列に沿った損益を算出できるという特徴があります。

例えば8月10日に1BTCを売却した場合、損益計算にはその時点の取得価額である350万円が適用されます。

【購入と売却を行った例】

日付数量購入価格BTC残高1BTCあたりの取得価額
3月1日1BTC購入300万円1BTC300万円
6月1日1BTC購入400万円2BTC350万円
8月1日1BTC売却-1BTC350万円
9月1日1BTC購入500万円2BTC425万円
12月1日1BTC購入600万円3BTC約483万円

仮に売却価格が450万円であった場合、移動平均法に基づく利益は100万円ということになります。(売却価額450万円 - 取得価額350万円)

このように、移動平均法には経済的な実態に即した税金計算ができるというメリットがあるのです。

また、取引時点でその取引の損益が確定するため、納税額への影響を事前に予想しやすい点も税務上の優位点と言えます。ただし、取引のたびに取得価額が変わるため、総平均法よりも計算が煩雑になる点には注意が必要でしょう。

なお、「総平均法」と「移動平均法」については、こちらの記事でもより詳しく解説しています。

まとめ

税金計算を行うためには、全ての購入取引に対して「総平均法」または「移動平均法」の計算を行って取得価額を算出し、全ての売却取引に対して利益の計算を行う必要があります。

さらに、税金計算は必ず日本円で行う必要があるため、ビットコインなどの仮想通貨建てで記録された取引を各時点の時価に基づいて日本円に換算する必要も生じます。

仮想通貨の積立投資を行う場合は定期的に購入取引が発生することになり、また任意のタイミングで積立投資とは別に短期売買などを行っていると、年間の取引回数が大量となるケースも珍しくはありません。

こうした煩雑な税金計算を手作業で行うのは、大きな負担と感じる方も多いことでしょう。

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