給与所得がある場合の仮想通貨にかかる税金とは?計算方法と注意点を解説!

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仮想通貨取引を行っている方の中には、会社員や公務員など、本業で給与の支給を受けている方も多いことでしょう。給与所得者の場合、通常は勤務先にて年末調整を行いますが、仮想通貨取引で利益を得ている場合は別途申告と納税が必要になることをご存じでしょうか。

この記事では、給与所得者が仮想通貨取引を行った場合の税金について、その計算方法と注意点をわかりやすく解説していきます。簡単に所得を計算できる方法についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 仮想通貨取引の所得(利益)は年末調整とは別に申告が必要 
    仮想通貨の利益は雑所得に区分される 
    年末調整では雑所得の申告ができない 
    確定申告が必要になるケースとは 
    住民税申告が必要になるケースとは
  2. 給与所得者が仮想通貨取引の税金計算を行う際の留意点 
    所得が大きいと税率が大きく上がる 
    損益通算はできない 
    繰越控除ができない 
    特別控除がない 
    確定申告を怠ると重いペナルティがある
  3. 仮想通貨取引で得た所得は自分で正確に計算する必要がある

仮想通貨取引の所得(利益)は年末調整とは別に申告が必要    

仮想通貨取引で利益を得た場合、年末調整とは別に税金の申告が必要になる場合があります。ここでは会社員などの給与所得者が仮想通貨取引を行った場合の税金について、基本事項をわかりやすく解説していきます。          

仮想通貨の利益は雑所得に区分される

所得税法と地方税法によって定められている通り、日本に居住する人が収入を得た場合、その所得額に応じて「所得税」と「住民税」を支払う必要があります。

所得とは収入から必要経費を差し引いた利益のことであり、仮想通貨取引で得た利益も所得として認識されるため、これらの税金を納める必要があるのです。

所得税法上、所得は次の10種類に分類されます。

1. 利子所得 
2. 配当所得 
3. 不動産所得
4. 事業所得
5. 給与所得
6. 退職所得
7. 山林所得 
8. 譲渡所得
9. 一時所得
10. 雑所得

1〜9に該当しない所得が「雑所得」とされますが、個人が副業として仮想通貨取引を行う場合の所得は通常「雑所得」に分類されます。

なお、所得区分に応じて税金の取扱いが異なりますので、ここから先は「雑所得」として申告することを前提に解説していきます。

年末調整では雑所得の申告ができない    

通常、給与所得者の税金処理は勤務先で年末調整を行うことによって完結します。これは、勤務先の企業や団体が、本人に代わって税金の申告や清算を行っているためです。簡単に言うと、年末調整とは会社員向けの簡易的な確定申告となっています。

こうした仕組みがあるため、多くの給与所得者は複雑な税金処理について意識をする必要がありません。

しかし、年末調整が対象としているのは「給与所得」であるため、その他の所得がある場合は年末調整では処理できないという点に注意が必要です。

そのため仮想通貨取引によって「雑所得」を得た場合は、年末調整とは別に、本人が改めて確定申告や住民税の申告を行う必要があるのです。

確定申告が必要になるケースとは

確定申告とは、1年間の所得を算出し、納付すべき税額を税務署に申告する手続きのことです。

通常、年末調整で税金処理が完結している場合は行う必要はありませんが、「給与所得」「退職所得」以外の所得が20万円を超える場合は、改めて確定申告が必要になります。

つまり、仮想通貨取引によって年間20万円超の雑所得を得た場合は、給与所得なども含めた全ての所得について確定申告を行う必要があるのです。

なお、確定申告を行った場合は同時に住民税の申告も行ったものと見なされますので、別途住民税の申告を行う必要はありません。

確定申告のやり方については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

住民税申告が必要になるケースとは

所得税では「給与所得」「退職所得」以外の所得が20万円以下の場合は確定申告が不要とされていますが、住民税にはこのような制度がありません。

そのため、仮想通貨取引によって年間20万円以下の雑所得を得た場合は、税務署への確定申告は不要ですが、お住まいの自治体の役所に住民税の申告を行う必要があります。住民税の申告についてはこちらの記事でも解説していますので、詳しく知りたい方はぜひ併せてご覧ください。    

給与所得者が仮想通貨取引の税金計算を行う際の留意点

仮想通貨による所得を申告する場合、具体的にどのような点に注意すればよいのでしょうか。

ここでは重要なポイントを5点ご紹介します。それぞれ見ていきましょう。

所得が大きいと税率が大きく上がる

「雑所得」は「給与所得」などと並んで総合課税の対象であるため、これらの所得を合算した総所得金額に応じて税率が決まることとなります。   
そして所得税は累進課税制度と呼ばれる仕組みを採用しており、課税所得の金額に応じて税率が高くなる仕組みになっています。

所得税の速算表(平成27年分以後)

課税される所得金額(1200px 630px).jpg  
引用:国税庁|No.2260 所得税の税率

このように所得税には5%~45%の幅があり、住民税を合わせると最大約55%もの課税を受ける場合もあります。仮想通貨の利益確定のタイミングなど、税金対策を考える上で重要な注意点と言えるでしょう。

損益通算はできない

給与所得者の副業が赤字だった場合、損失を給与所得などと相殺して課税所得を低く抑えることができる制度を損益通算と呼びます。

しかし雑所得については、他の所得との損益通算が認められていません。

そのため、仮想通貨取引で大きな赤字を抱えてしまったとしても、本業の給与所得から控除することはできず、税金が減ることはありませんので注意しましょう。

ただし、同じ雑所得の総合課税の対象であれば損益通算を行うことが可能です。

例えば、仮想通貨取引で50万円の利益を得て、海外FX取引で30万円の損失を被った場合、どちらも雑所得として申告する場合は通算して20万円の利益として認識することができます。

損益通算が可能な範囲を把握し、最適な内容で申告すると良いでしょう。仮想通貨の所得と損益通算ができる具体例についてはこちらをご覧ください。

繰越控除ができない

株式投資などでは、大きな損失が発生し、損益通算をしても損失が残ってしまう場合、最大3年間にわたって損失を繰り越すことができます。

こうした処理を繰越控除と呼びますが、「雑所得」では繰越控除を行うことが認められていません。

自身のポートフォリオを俯瞰して、年内にどこまで損益確定させるべきかなど、繰越控除ができないことを前提に検討をする必要があるでしょう。

特別控除がない

「雑所得」には特別控除がありません。

例えば「譲渡所得」や「一時所得」には最大50万円の特別控除があり、所得から差し引いて計算することができるため、納税額が安くなる効果があります。

しかし、仮想通貨取引などの「雑所得」ではこうした控除が使えないという点に注意が必要です。

確定申告を怠ると重いペナルティがある

個人の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの所得を計算して、翌年の3月15日までに行う必要があります。

前述の各注意点などを意識しながら仮想通貨取引の所得を自分で計算し、給与所得などとあわせて申告する作業は、非常に煩雑で大きな負担に感じる方も多いことでしょう。

しかし、正確な申告と納税は国民の義務であるため、確定申告を怠ると追徴課税などの重いペナルティを課せられてしまう場合があります。

追徴課税にはさまざまな種類があり、納税額を事実より少なく申告した場合の過少申告加算税、期限までに確定申告をしなかった場合の無申告加算税、期日から実際に納税するまでの間の延滞税など、内容に応じてペナルティが定められています。

仮想通貨取引で利益を得た場合は、必ず正確な所得を把握し、必要な申告を怠らないようにしましょう。

仮想通貨取引で得た所得は自分で正確に計算する必要がある    

仮想通貨取引による所得は、その金額に応じて申告の種類や要否が異なります。

正しい申告方法を確認するため、そして正確な内容で申告を行うためには、仮想通貨取引による利益を自分で正確に計算することが必要不可欠なのです。

しかし反復的に多数の取引を行っている場合、1年間の取引を全て記録し、それぞれの取引の損益を計算する作業は非常に煩雑で負担が大きいため、確定申告の時期が近づいてから慌てて苦労をしてしまう人も少なくないことでしょう。そのような方には、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」がおすすめです。

「クリプタクト」であれば、仮想通貨の取引履歴をアップロードすることで、煩雑な損益計算を簡単に自動化することが可能です。

多くの国内・海外仮想通貨取引所やウォレットサービスとのAPI連携にも対応しているため、リアルタイムで損益状況を把握してポートフォリオに反映することもできます。

「クリプタクト」は無料からお試しできるプランも用意されていますので、確定申告への備えを検討している方はぜひお試しください。