給与所得者の場合、仮想通貨取引を含めた副業として20万円を超える所得がある方は、課税対象となる所得金額に応じて税金を支払い、確定申告を行う必要があります。
なお、確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得から、それに対する所得税額を計算し申告する制度のことをいいます。
20万円以下の場合は原則として税金の支払いおよび確定申告は不要ですが、確定申告が必要なケースもあるため注意が必要です。
この記事では、仮想通貨取引による所得が20万円以下でも確定申告が必要なのか、必要となる具体的なケースや納税における注意点について解説します。
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仮想通貨で得た所得が20万円以下の場合でも確定申告が必要?
会社員などの給与所得者が副業で仮想通貨などの所得を得た場合、その所得額が年間に20万円以下であれば原則として確定申告を行う必要はありません。ここで言う所得には、仮想通貨取引で得た利益だけでなく、FX取引やアフィリエイト、メルカリなどで得た利益も含まれます。
仮想通貨や海外のFX取引などの副業で得た所得は、税法上「雑所得」に含まれ、所得の合計額を計算し申告する必要があります。雑所得は総合課税として給与所得や事業所得などと合算し、所得税の課税対象となります。課税所得金額に応じて5%〜45%の税率がかかり、課税所得金額が高額なほど税率も高くなる「超過累進税率」が採用されています。
「所得」とは単純な利益のことではなく、収入から必要経費を差し引いた金額です。仮想通貨取引における必要経費には、主に以下のものが挙げられます。
● 仮想通貨の取得費
● 取引手数料
● 出金手数料
など
これらの費用があれば、必要経費として収入から控除することが可能です。たとえ収入が20万円を超えていても必要経費を差し引いた所得が20万円以下になれば、確定申告を行なわなくても問題ないとされています。
仮想通貨取引における経費については、こちらの記事もあわせてご確認ください。
なお、学生や専業主婦、個人事業主など給与所得者以外の方の場合は、雑所得の合計額が48万円以下であれば確定申告は原則として不要です。
というのも、確定申告や年末調整の際にだれでも等しく適用される「基礎控除」の48万円(合計所得が2,400万円以下の場合)があるからです。仮想通貨取引の利益を含めた雑所得の合計額が48万円以下であれば、基礎控除48万円を差し引くと所得が0円になるため確定申告は不要となります。
給与所得者とそうでない方とでは確定申告が必要な上限額が異なるため注意しましょう。
ただし、仮想通貨で得た所得の金額(実現損益)の計算は間違えて認識している人が多く、弊社の調べによると7割以上の方が間違えていました。損益計算ツールの「クリプタクト」を使えば取引履歴をアップロードするだけで正確な損益計算を自動で行えます。もし間違った計算をしていたがゆえに税金が未払いだった場合、未納の所得税を支払うだけでなく、追徴課税の対象になる可能性もあります。未納の場合におこることについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
仮想通貨による所得が20万円以下でも確定申告が必要なケース
前章では、会社員などの給与所得者の場合、仮想通貨取引で得た所得を含む雑所得が年間20万円以下であれば確定申告は原則不要と解説しました。
しかし、たとえ仮想通貨取引での所得が20万円以下でも、確定申告が必要になるケースがあります。
たとえば、個人が住宅ローン控除などの各種控除を申告する場合や、年収2,000万円超の場合などです。
また、法人が仮想通貨取引で所得を得た場合については、金額にかかわらず確定申告を行う必要があります。それぞれ具体的に説明していきます。
●個人が各種控除を受ける場合
個人が確定申告するのは、仮想通貨などの雑所得が発生した場合だけではなく、さまざまな控除を受ける場合もあります。
会社員などは、勤務先で行う年末調整で基礎控除や配偶者控除などの基本的な控除は手続きをしてもらえますが、住宅ローン控除や医療費控除、ふるさと納税などは別途自身で確定申告を行う必要があるのです。これらを申告することで、控除されたお金が還付されます。
●高額給与所得者の場合
給与所得者の多くは、勤務先で行われる年末調整で税額の調整が完了しますが、給与収入が年間2,000万円を超える方は、年末調整の対象外となっているために確定申告が必要です。この場合は、仮想通貨取引で得た所得が仮に20万円以下であっても原則通り確定申告を行わなければなりません。
●法人の場合
仮想通貨取引は、個人だけでなく法人が行う場合もあります。個人に課せられる所得税よりも法人にかかる法人税の方が税率が低いことや「損益通算」や「赤字の繰越」が可能なこともあり、法人化する個人も少なくありません。
法人が仮想通貨取引により利益を得た場合、仮想通貨を含めた雑所得の金額にかかわらず確定申告は必要です。所得税のように「合計所得金額が〇円以下であれば確定申告不要」という決まりはありません。
また、確定申告の時期は原則として各事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。税金の種類は、個人の場合は所得税と住民税の申告のみですが、法人の場合は法人税のほかにも地方法人税、地方事業税などがありそれぞれ納税する場所も違います。
法人化して仮想通貨取引を行った場合対象となる税制や税率について詳しくはこちらをご覧ください。
仮想通貨による所得が20万円以下だった場合の税金に関する注意点
仮想通貨取引による所得が20万円以下で、なおかつ他の雑所得と合計しても20万円以下であればその所得に対する税金の支払いおよび確定申告を行わなくても問題ありません。
しかし、これはあくまでも個人が納める税金のうち「所得税」の話であって、「住民税」はたとえ所得が20万円以下でも所得が発生していれば支払いの義務があり、住民税申告を行う必要があります。
ただし、会社で年末調整を行っている方や確定申告を行っていれば確定申告の内容がお住いの自治体に渡るため、住民税の申告は別途行う必要はありません。
住民税の申告は、所得税のようにインターネットを介して申告できるシステムが整備されている自治体は少なく、一般的に書類を入手して郵送または窓口に持参するなどの方法が取られていることが多いです。
申告書は自治体の公式サイトからダウンロードするか窓口に受け取りに行くなど自治体により対応が異なります。提出期限は、確定申告と同様に3月15日までとなっているため、該当する方は期日内に忘れずに申告しましょう。 住民税の手続きの方法はこちらの記事をご覧ください。
確定申告が必要なケースを理解して適切な納税を行いましょう
会社員などの給与所得者が仮想通貨取引などで年間20万円を超える所得を得た場合、確定申告を行う必要があります。逆にいえば20万円以下であれば原則として確定申告を行わずとも問題ないことになります。
しかし、たとえ20万円以下であっても各種控除を申告する場合や年収が2,000万円を超える場合は確定申告が必要です。もし所得税や住民税などの税金の支払いを適切に行わなかった場合、過少申告加算税や無申告加算税などのペナルティを課せられる可能性があります。
仮想通貨の確定申告や納税の必要性を確認するためには正確に損益計算を行うことが重要です。しかし、仮想通貨の税金の計算方法は複数あり取引量が多くなればなるほど煩雑になります。そこで、より簡単かつ正確に税金の計算をするため、損益計算ツールを活用するのがおすすめです。