多くの人が仮想通貨の売却による利益に税金がかかることは理解していますが、譲渡にも所得税や相続税、贈与税が発生する可能性があることはあまり知られていません。
この記事では、仮想通貨の譲渡時にかかる税金について、具体例と計算式を交えて分かりやすく説明します。
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仮想通貨の譲渡には税金がかかる?
仮想通貨を他の人に譲渡した場合、その行為によって所得が発生した際は、確定申告を行い、税金を納める必要があります。
「譲渡」とは有償か無償かを問わず所有する資産を移転させる一切の行為を指します。
そのため、仮想通貨取引所を介した売買や交換だけでなく、取引所を使わずに他の人へ直接送金した場合も課税対象となる点に注意が必要です。
もしも、こうした取引を加味せずに確定申告をしてしまうと、税務調査等で発覚した際に追徴課税による加算税などの重いペナルティを受ける可能性があります。
そのようなことが無いように、取引所外の譲渡取引においても損益計算は必ず忘れずに行うようにしましょう。
一方、前述した通り「譲渡」は資産を他の人へ移転させる行為を指しますので、自身の所有資産内で仮想通貨を移動させる場合は該当しません。
例えば、取引所から自分のウォレットへ送金する場合や、海外取引所から国内取引所の自分の口座間で送金する場合などは、「譲渡」による税金は発生しないということになります。
なお、仮想通貨の「譲渡」に関する税金は、その目的や対象によって「所得税」と「贈与税」に分類されます。
次の項からは、仮想通貨の「譲渡」とその税金について、具体的なケースに沿って見ていきましょう。
ケース1|利益を得る目的で友人や家族に仮想通貨を譲渡した
自分が保有している仮想通貨を、友人や家族に売却するために仮想通貨を送金した場合は、「所得税」が発生する可能性があります。
これは仮想通貨の売却や交換に該当する行為と考えられることから、対象の仮想通貨を取得した時の価値と譲渡した時の価値の差分を損益として認識する必要があるためです。
例
50万円で取得した1BTCを友人に100万円で譲渡した ⇒ 譲渡価額100万円 - 取得価額50万円 = 50万円が所得額 |
この考え方は、基本的に仮想通貨取引所を利用して取引した場合と違いはありません。
仮想通貨の売買を行った際は必ず損益計算を行い、加算すべき所得を確認するようにしましょう。
ケース2|友人や家族に仮想通貨を低額・無償で譲渡した
友人や家族に仮想通貨を市場価値よりも低額または無償で譲渡する場合は、内容に応じて譲渡された側が「所得税」「贈与税」「相続税」などを課せられる可能性があります。
それぞれのケースについて見てみましょう。
時価よりも大幅に安い金額で譲渡した場合
仮想通貨を時価よりも大幅に低い価格で売却する場合、譲渡された側は支払った対価と時価の差額のうち一部を、所得として申告する必要があります。
これは、譲渡された側が大幅に得をする取引の場合、実質的に贈与が行われているとみなされるためです。
具体的には、時価の70%相当額未満で売却された場合に、低額譲渡に該当するとされています。
このような取引が行われた場合、譲渡された側は「実質的に贈与されたと認められる金額」について、所得を算出する際の総収入金額に加算することとされています。
なお、「実質的に贈与されたと認められる金額」については、時価の70%相当額から実際に支払った対価を差し引いた差額とすることが認められています。
例
50万円で取得した1BTCを友人に50万円で譲渡した。譲渡時の時価は100万円であった。 ⇒ 時価100万円 × 70% = 70万円が実質的に贈与されたと認められる金額 |
上記のケースでは、譲渡した本人は、時価の70%である70万円で売却したとして計算され、20万円の所得が認識されます。この所得は課税対象となります。
さらに、譲渡された側は、時価100万円相当のビットコインを50万円で取得していることから、差額の50万円相当について贈与税がかかります。
結果として、譲渡する側、される側両方で税金が発生することとなります。
無償で譲渡した場合
親族等からの贈与や相続などによって仮想通貨を取得した場合は、受け取った側は贈与税または相続税が課税される可能性があります。
贈与とは、両者の合意のもとで自分の財産を無償で相手に与える行為のことを指し、個人から贈与を受けた場合は贈与税が課税されることが相続税法によって定められています。
なお、贈与税については1年間(1月~12月)に110万円の基礎控除が認められていることから、この範囲内に収まる場合は非課税となります。
例
年間110万円を超える仮想通貨を贈与された場合に贈与税がかかる可能性があると考えて良いでしょう。 父親から8ETHの贈与を受けた。贈与時におけるイーサリアムの時価は25万円であり、贈与額は200万円相当であった。 ⇒ 贈与額200万円 - 基礎控除110万円 = 90万円が贈与税の課税価格 |
この場合、父親には上記の低額譲渡が適用されることとなるため、時価の70%相当で売却したとして、時価25万円×8ETH×70%=140万円の所得金額を認識します。 この所得金額は所得税の対象となります。
そして、父親から贈与を受けた本人は上記の計算式の通り90万円の贈与税の課税価格を認識することとなります。
一方、相続とはある人(被相続人)が死亡した際に、その人の財産を特定の人(相続人)が引き継ぐことをいい、一定以上の財産を相続した場合は相続税の対象とされています。
仮想通貨は資金決済法において「対価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値」と規定されていることから、相続財産の一つとして扱われることになります。贈与や相続の課税関係は複雑ですので、困った際は税務署や税理士に相談してみると良いでしょう。
取引所を介さない送金は取引履歴に残らないため注意が必要!
仮想通貨の譲渡で発生した所得等に対しては税金を納める必要がありますが、所得計算を行うためには取引履歴を確保しておくことが重要となります。
一般的に仮想通貨取引所を介した送金の場合は取引履歴が分かりやすい形で残りますが、自身のウォレットから直接送金を行う場合などは、取引の内容を自分の責任で記録しておかなければなりません。
このような管理を手作業で行うのは面倒であるうえ、手作業で記録された取引履歴は手作業で計算せざるを得ないケースが多いため、これら一連のプロセスを効率的に処理してくれる会計ソフトを活用する人が多くなっています。
例えば、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、ウォレットアドレスとネットワークを指定することで、ブロックチェーンから自動的に取引履歴を取得してくれる機能があります。
また、特殊な取引を入力したい場合も「カスタムファイル」のフォーマットに必要事項を記入してアップロードすることで対応できます。
入力された取引は銘柄ごとに合算されて自動的に損益計算が行われるため、取引履歴の管理や税金計算の手間が大幅に軽減されるのです。
仮想通貨の税金計算にはクリプタクト
仮想通貨では今回ご紹介した譲渡取引のように、通常の売買取引でなくても税金計算を行わなければいけないタイミングが多く存在します。税金を正しく申告、納税することは納税者の義務とされているため、こうした計算を漏れなく正確に行えるようにしておかなければなりません。
仮想通貨による所得が大きい場合は税理士などの専門家に依頼する方法もありますが、高額な報酬など、相応に費用がかかることを覚悟する必要があります。そのため、多くの仮想通貨投資家は税金計算を自力で行う必要があり、作業負担や正確性の面で悩ましい問題と言えるでしょう。
そのような場合に頼りになるのが、損益計算ツールです。
仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、国内外90カ所以上の取引所からの取引履歴の取得に対応しているほか、ブロックチェーンからの取引履歴取得やカスタムファイル機能によって取引履歴を手間なく把握・取得することが可能です。
また、19,000銘柄以上の仮想通貨や主要法定通貨の時価の取得にも対応しているため、正確な日本円換算に基づく損益が自動的に計算されます。加えて、経費として計上できる取引所手数料も集計されており、年内のうちに損益状況を随時把握できるため、節税対策を検討する際のツールとしても有効です。
今回ご紹介した譲渡取引の他にも、DeFiやNFT、マイニングなど、特殊な取引も幅広くカバーしている「クリプタクト」は、仮想通貨の税金計算を一元管理したい方にぴったりのツールと言えるでしょう。
「クリプタクト」には無料でお試しいただけるプランも用意されています。 ご興味のある方は、ぜひこの機会に利用をご検討ください。