仮想通貨取引において、安定した投資成果を毎年あげるにはどのようなタイミングで利益確定(利確)をするべきかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
なお、「利確」をするタイミングによっては、投資の直接的な利益が変わるだけでなく、税金の金額も大きく左右される可能性があることには注意が必要です。
そこで、この記事では個人における仮想通貨の「利確」に対する税金面での注意点や、安定した成果をあげるためのポイントなどについてわかりやすく解説していきます。
目次 |
仮想通貨の「利確」における正しい理解の重要性
仮想通貨取引における「利確」は、税務上の損益認識を確定させる重要な意味を持ちます。
例えば、仮想通貨取引は「利確」をすることで利益が生じますが、1年間(1月~12月)の間に確定した利益が課税対象額となり、所得額に応じて15%~55%の税率(所得税及び住民税の合計)が掛けられて納税額が算出されます。
一方で、上昇相場でどんなに大きな含み益を抱えていようとも「利確」をしない限りは税務上の利益が生じないため、税金は発生しません。
また「利確」の対義語として「損切」という言葉が存在しますが、下落相場において含み損を抱えたまま「損切」をしない場合も、損益認識が確定しないため税務上の損失は発生しません。
「利確」や「損切」を行うことではじめて税務上の損益が発生することになるのです。
しかしここで注意が必要なのは、損益は全て日本円換算で計算する必要があるという点です。
例えば、購入時と比べて2倍に値上がりしたビットコインを売ってイーサリアムを買う、といった「利確」を行った場合、実際には日本円を取得していなくとも、日本円に時価換算して利益を認識する必要があります。
そして、仮にその後イーサリアムが半値に暴落してしまったとしても、一度発生した利益認識は消えません。含み損は課税の対象に計算されないのです。つまり、年間を通してみると実質的な利益はないにも関わらず、多額の利益認識と納税だけが残ってしまう可能性すらあるのです。
このように、仮想通貨取引では感覚的な利益認識と税務上の利益認識に齟齬が生じやすいため、「利確」の概念を正しく理解したうえで売買のタイミングを検討することが重要なのです。
なお、仮想通貨取引において利確と見なされるタイミングは複数ありますので、詳しく確認したい場合はこちらの記事も併せてご確認ください。
また、税務上の損益を計算する際は、取得単価について「総平均法」と「移動平均法」の2種類の計算方法が認められています。
計算方法は申告することで任意に選択することが可能ですが、個人の場合は申告しないと自動的に「総平均法」を選択したものと見なされます。
ただし、時系列を考慮する「移動平均法」と異なり、「総平均法」は単純に年間の平均原価を求める計算方法であるため、年間の相場推移や取引内容によっては、実際の利益と税務上の利益が大幅に乖離してしまう可能性がある点には注意が必要です。仮想通貨の2つの計算方法「総平均法」「移動平均法」について詳しくはこちらの記事も併せてご確認ください。
仮想通貨の税金は決して少額とは言えません。
しっかりと最終的な利益を手元に残すためには、個々の売買取引で成果を出すことはもちろん、「利確」に対する正しい知識を深め、税金面でも損をしないようにすることが重要です。
成果を税金で無駄にしない利確のポイント
仮想通貨取引の税金は、1年間(1月~12月)に発生した仮想通貨取引での損益を合算した所得に対して課税されます。
つまり、大きな利益を得ていても、同程度の損失があれば損益は相殺されて税金がかからないということになります。
しかし、仮想通貨取引において損失は翌年以降に繰り越せないため、今年の損失と利益を相殺をさせたいなら、年内に「利確」しておかなければなりません。
逆に、すでに今年は多額の利益を得ているが、来年は損失が生じそうだという場合は、あえて利確するタイミングを年明け以降にすることで、今年の税金を無駄に増やすことなく、来年の損失との相殺を図るという選択肢もあります。
このように損益の着地見込みを予測しつつ、「利確」と「損切」のタイミングを調整することで税金を管理することも、仮想通貨投資家にとって非常に重要なテクニックと言えるでしょう。
安定した成果を得るためには「取引ルール」も重要
ここまでは「利確」について税金面のタイミングを中心に解説してきましたが、もちろんトレードで売買益を上げるための取引タイミングも重要です。
しかし、価格変動の激しい仮想通貨取引で常に成果を上げる取引タイミングを見極めることは、プロの投資家でも難しいことです。
そのため初心者のうちは、個々の取引タイミングに集中しすぎるよりも、あらかじめ自分なりの取引ルールを設定しておくことが有効です。
よく知られているルール設定の主なポイントは以下の通りです。
● あらかじめ「損切」と「利確」の基準を決めておく ● 取引ルールは損失を抑えることを念頭に作成する ● PDCAを回してルールをブラッシュアップしていく |
それぞれについて見ていきましょう。
あらかじめ「損切」と「利確」の基準を決めておく
あらかじめ「損切」と「利確」を行うタイミングや条件を具体的に設定しておくことも重要です。
大きな利益や損失の可能性を目の当たりにすると、人間はどうしても冷静でいることが難しくなってしまうものです。
下落相場においては「いつか値が戻るかもしれない」と考え、また上昇相場においては「もっと上がるかもしれない」と期待してしまい、売買のタイミングを掴めないまま損失が拡大、もしくは利益を逃してしまう可能性があります。
このような感情的なバイアスを排除するため、「30%上がったら利確する」「10%下がったら損切する」といった基準を設定しておくことで、どのようなケースでも冷静に対応できるようになるのです。
取引ルールは損失を抑えることを念頭に作成する
取引ルールは自分の投資目的やリスク許容度に応じて自由に策定するものです。
しかし、慣れないうちは出来る限り損失を抑えることを念頭に置いたルール設定をおすすめします。
仮想通貨投資はボラティリティ(価格変動)が大きい投資分野であり、場合によっては取引価格が100分の1になるような暴落もあり得ます。
投資は元手がある限りは何度でも再チャレンジができますが、元手を失ってしまってはそこでおしまいです。
利確基準より損切基準の方を厳しく設定したり、ハイリスクハイリターン銘柄への投資バランスを一定範囲内に納めたりするなど、損失を抑えるルール作りを意識すると良いでしょう。
PDCAを回してルールをブラッシュアップしていく
取引ルールを決めることで冷静で安定した投資を行えるようになりますが、一方で取引ルール自体をより洗練されたものにするためには、一定間隔で見直しを行うことも大切です。
そのためには、利確に関するPDCAを回しながらルールをブラッシュアップしていく方法が有効です。
取引ルールのPDCA(例)
1. Plan(計画) a. 取引ルールを作成する 2. Do(実践) a. 取引ルールに基づいて取引を行う
a. 定期的に振り返る 4. Action(改善) a. 必要に応じて取引ルールを見直す一見すると面倒にも思えるサイクルですが、大勢の投資家が参加するマーケットで安定した成果を得るためには重要なプロセスと言えます。 |
なお、上記のPDCAの中で最も手間のかかる「投資のナレッジを記録する」作業ですが、通貨の価格推移や保有・売買履歴、投資への振り返りの記録などは、損益計算ツールを活用することで大幅に簡略化することが可能です。そのため、仮想通貨取引を行う方の中には、損益計算ツールを活用している方が多いのです。
損益計算ツールを使いこなして安定した利益を目指そう!
仮想通貨取引で安定した成果を出すためには、値動きや過去のナレッジから利確の妥当性を判断することが効果的です。
仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」には、自身のポートフォリオの履歴をチャート化する機能が搭載されており、通貨毎に保有・売買履歴・時価を反映したデータを時系列とともに表示することができます。
そのため、チャートを確認することで過去の売買タイミングが適切であったかを視覚的に確認することが可能です。
「クリプタクト」の取引履歴チャート画面
加えて、「フィンタクト」のアイデアブックを活用することで、簡単にナレッジの記録・確認が可能です。
「フィンタクト」は誰でも無料で使える金融情報プラットフォームで、仮想通貨を含めたさまざまな投資における投資判断をサポートする情報が提供されています。
そして、アイデアブックでは自身の投資経験や投資のアイデアを基軸通貨・投資対象と関連づけてメモに残すことができ、過去の自分のナレッジを振り返ったり、公開設定をされている他のユーザーのナレッジを参照したりすることができます。投資の妥当性を検証したり、今後の投資計画を立てたりするうえでも大変有効なツールと言えるでしょう。
仮想通貨の税金計算ならクリプタクト
この記事では、仮想通貨における「利確」を正しく理解し取引ルールを改善し続けることが、長期的な投資成果を上げつつ適切な税金対策を行ううえで、非常に重要であることをご紹介しました。
しかし、このようなPDCAサイクルや税金計算を全て手作業で行おうとすると、取引履歴の記録や管理、複雑な計算など、面倒な作業に貴重な時間を多く割く必要があります。
そこでおすすめなのが、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」です。
「クリプタクト」は国内外90カ所以上の仮想通貨取引所・ウォレットサービスからの取引履歴の取得に対応しているほか、19,000種類以上にもおよぶ仮想通貨銘柄の日本円換算の時価も自動取得しているため、取引データの取込操作を行うだけで、面倒な記録作業を大幅に軽減することができます。
また、取引データは税務上の損益計算だけでなく、履歴のチャート作成や、ポートフォリオ管理機能にも活用できるため、取引ルールの振り返りや、取引実績をリアルタイムに可視化できる点も大きなメリットと言えるでしょう。
クリプタクトのサマリー画面
仮想通貨による利益は同じ雑所得内であれば損益通算が認められるため、利益が出すぎている場合はあえて含み損のある銘柄を年末に売却して損失を計上し、年始に買い戻すといった戦略も考えられます。
クリプタクトによって、このような戦略も迅速に検討できるようになります。
なお、マイニングやステーキングなどを行っている場合は、報酬としてビットコインやアルトコインを受け取った時点で「利確」を行ったものとして取得価額を利益認識しなければなりません。
自動的に生成される大量の取引の損益計算は、自動的に計算できるツールに任せることで、自分にしかできない重要な投資判断に時間を割くこともできるのです。
「クリプタクト」には無料でお試しいただけるプランも用意されています。安定した仮想通貨投資を支えるツールを探している方は、ぜひこの機会にお試しください。