(更新日: )

ビットコイン(BTC)などの仮想通貨は有価証券なのか?両者の違いや認定のデメリットを解説

仮想通貨コラム
ブログ一覧に戻る
230511_tmb_a.jpg

仮想通貨が社会に浸透してくるに従い、その有用性が認められるようになってきたこともあり、仮想通貨を有価証券とするべきという議論が、日本のみならず世界各国で行われています。

仮想通貨は有価証券にあたるのでしょうか。もしそうだとすると、今度どのような影響がでるのでしょうか。最新の動向と合わせて解説していきます。

目次

  1. そもそも有価証券とは?
  2. 仮想通貨が有価証券に適用されると何が問題で、どう変わるのか?
  3. 世界での動向は
  4. 日本での動向は
  5. 仮想通貨と有価証券をめぐる最新情勢
  6. まとめ

そもそも有価証券とは?

有価証券とは、国債や地方債、株券、投資信託などそれ自体が財産的価値を有している証券(証書)のことをいいます。

印紙税法上、小切手や手形なども有価証券に含まれますが、預金証書や収入印紙などは有価証券に含まれません。有価証券は、譲渡によりその財産的権利を簡単に移転させることができるという特徴を有しています。

なお、金融商品取引法の 第二条 一項に具体的な有価証券が掲げられていますが、それ以外にも投資家を保護することを目的として「みなし有価証券」と定義されているものもあり、仮想通貨のそのひとつと捉えるのが妥当という意見もあります。

仮想通貨が有価証券に適用されると何が問題で、どう変わるのか?

まず、仮想通貨が有価証券に該当すると判断されると、さまざまな規制が強化されこれまでのように柔軟性のある取引が制限されることが考えられます。

また、「ICO(イニシャルコインオファリング) 」という、企業などが独自の仮想通貨を発行して資金調達を行う方法がありますが、仮想通貨が有価証券に該当すると取引が当局の監視下に置かれることとなり、資金調達がしづらくなる可能性があります。

さらに、現在仮想通貨は仮想通貨取引所で取引されており、24時間365日いつでも取引可能で、この点が仮想通貨取引のメリットのひとつとされています。しかし、仮想通貨が有価証券に該当すると取引の場は証券取引所となり、決められた時間内での取引に制限され、利益を得る機会が減ってしまうことも考えられます。

世界での動向は?

仮想通貨を有価証券として認めるかの論争はこれまで世界中でされていますが、どの国においてもまだ仮想通貨を有価証券として認めている国はありません。  


主な仮想通貨別に世界での見解をまとめてみました。

ビットコイン 

米国商品先物取引委員会(CFTC)(※)は、ビットコインがコモディティである以上、商品取引法に則った取引をする必要があると主張し、2017年7月にビットコインの先物取引を認可しました。このことにより、CFTCは「ビットコインはコモディティ(商品)である」と判断したと捉えられています。  

その後、2018年3月6日に米国連邦地方裁判所が「ビットコインなど仮想通貨はコモディティである」との判断を下しました。これにより、ビットコインなどの仮想通貨は商品取引法の支配下にあるべきと司法により認められたと解されています。

※CFTCとは、商品取引所に上場している商品や金利、金融派生商品(デリバティブ)などの先物取引市場を監督する機関のこと

イーサリアム/リップル

SEC委員長であるゲイリー・ゲンスラー氏は以前「ビットコインは有価証券の特徴を持っていない」と発言する一方で、「イーサリアムやリップルは大きく事情が異なり、特にリップルについては有価証券として認められる可能性がある。」と指摘しています。

しかし、米連邦地方裁判所は2023年7月、個人向けに販売されるリップルについては「有価証券ではない」との判決を出しました。
これは、これまで機関投資家向けに売り出されたものは「収益性の有無」および「勧誘・第三者の活躍の有無」の条件に該当することにより有価証券の可能性があると指摘されていましたが、個人向けはそういった要素がなかったとの判断が示されたためです。

ハウィーテスト.png

PoS系通貨

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)とは、コインをステークすることで取引の検証を行い新規ブロックを生成することができるコンセンサス・アルゴリズム(仕組み)のことです。この仕組みは、上記のイーサリアム(ETH)のほか、カルダノ(ADA)やソラナ(SOL)などで採用されています。

SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は、このシステムが「融資に非常に良く似ている」と指摘し、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用している仮想通貨は、すべて証券である可能性が高いとの認識を明らかにしています。また、仮想通貨は証券取引法の対象となりSECの支配下に置かれるべきとの見解を示しています。

日本での動向は?

現在の日本における仮想通貨の捉え方を確認しておきましょう。   

ウェブメディアのThe Blockによると、2021年3月独自の取材に対し金融庁が暗号資産リップル(XRP)を証券とは考えていないと回答したと報道しています。

ただし、米国をはじめ世界でも仮想通貨が有価証券か否かについての議論がされていることから、日本においても徐々に議論が起こることが考えられます。今後の動向に注目すべきといえるでしょう。

仮想通貨と有価証券をめぐる最新情勢

仮想通貨が有価証券に該当するかについては、上述のようにこれまでさまざまな場で議論されてきました。

では、仮想通貨と有価証券をめぐる最新の動きとしてどのようなことが起きているのでしょうか。

ここでは、2023年以降に動きがあったバイナンス USD(BUSD)についての話題を取り上げます。BUSDとは、米ドル(USD)と1:1の比率でその価格が連動するように設計されたステーブルコインのことです。このBUSDは大手暗号資産取引所であるバイナンスが、2019年からパクソスとの協力のもと発行しているもので、ステーブルコインの時価総額では、「USDT」と「USDC」に続く第3位のシェアを誇っています。

2023年2月13日、SECが「BUSDは有価証券であり、パクソスは連邦証券法に基づきBUSDの募集時に有価証券として登録すべきだった」と指摘したことを受け、パクソスはSECからBUSDの発行停止命令を受けた旨を発表しました。これに対しパクソス側は、「BUSDは連邦証券法に基づく有価証券には該当しないため、SECに同意することはない」と強く反発しました。

また、パクソスは2月13日にニューヨーク金融サービス局(NYDFS)からもBUSDの発行停止命令を受けていたことを明らかにし、2月21日でBUSDの新規発行を停止しバイナンスとの関係も解消すると発表しました。BUSDの新規発行は停止されますが、これまでに発行されたBUSDの償還や準備金の管理などは今後もパクソスが継続して担当する予定となっています。

まとめ


仮想通貨が有価証券に該当するかどうかは以前から議論が行われており、国や機関により見解はさまざまです。     
日本では、2023年3月時点において仮想通貨が有価証券にあたるという公式な見解は示されていませんが、各国の状況などにより今後どのように扱われるのか注視すべきでしょう。

仮想通貨の損益通算ツール「クリプタクト」が運営している当ブログでは、こうした仮想通貨取引をするうえで知っておきたい税金について解説する記事を定期的に公開しています。最新情報が知りたい方はクリプタクトに登録すると受け取れるメルマガの登録や公式Twitterアカウントをフォローしてみてください。