株式と仮想通貨は、いずれも投資を目的として取引されることが多い金融商品です。しかし、両者には基本的な性質や取引市場、配当の有無、価格変動の原因、かかる税金などさまざまな点において違いがあります。
ここでは、株式と仮想通貨の主な違いについて解説していきます。
そもそも株式とは何か?仮想通貨とは何か?
株式と仮想通貨はそもそもどういったものなのか、それぞれの定義を確認しておきましょう。
株式とは、株式会社が自社に出資をしてくれた人に対して発行する証券のことをいいます。企業が事業資金を確保する方法にはいくつかありますが、株式の発行もそのひとつです。企業は事業資金を広く確保するために株式を発行し、企業理念に賛同した人や将来性などを評価した人が株式を購入することで、資金を確保することができます。
企業にとっては、株式発行で得た資金は株主に返還する義務はないというメリットがある一方、株主は企業からの配当金などを受け取れることや経営に参加する権利を持てること、株主優待を受けられるといったメリットがあります。
一方、仮想通貨とは、インターネット上で取引できるデジタル通貨で、ブロックチェーンなどの分散台帳技術を用いて管理されています。主な仮想通貨として、ビットコインやイーサリアム、リップルなどがあります。
株式と仮想通貨の違い
株式と仮想通貨にはどのような違いがあるのでしょうか。取引市場の違い、配当の有無などいくつかの点において違いがありますので確認していきましょう。
取引市場の違い
株式と仮想通貨は取引される場も異なります。
株式の取引は「株式市場」で行われ、日本には「東京証券取引所(東証)」、「名古屋証券取引所(明証)」、「札幌証券取引所(札証)」、「福岡証券取引所(福証)」の4か所があります。
仮想通貨は、仮想通貨交換業者が運営する取引所や販売所で取引することが可能です。主な取引所(販売所)には「bitFlyer(ビットフライヤー)」や「DMMビットコイン」、「GMOコイン」などがあります。
配当の有無
株式と仮想通貨は配当の有無においても違いがあります。
株式では、一般的に企業で利益が出た際に株主に対し持ち株数に応じた配当金が分配されます。なお、企業によっては利益が出ても配当金が出ないところや、利益が出ていなくても配当金が出るところもあります。配当金は一般的に、年に1回または2回、本決算や中間決算の際に分配され、決算から2〜3か月後に支払われることが多いです。
一方、仮想通貨には基本的に配当金という概念はありません 。ただし、一部の仮想通貨には「ステーキング」というシステムがあり、対象となる仮想通貨を保有しブロックチェーン上のネットワークに参加すると、その対価として報酬を得ることが可能です。ステーキングというシステムにより、暗号資産においてもインカムゲイン(※)で利益を得られることが可能になったとされています。
※インカムゲイン:資産を保有することで得られる収入のこと
価格変動の原因
株式の価格変動は、売り手と買い手のバランスにより決まります。価格変動の原因としては、会社の業績や景気動向、金利水準、政治の動向、国際情勢、自然災害などがあります。中でも、特に投資家が考慮するのは会社の業績や将来性、社会経済の状況とされています。
仮想通貨の変動は、主に通貨の需要と供給によって左右されます。価格変動の原因としては、将来性や知名度、仮想通貨取引所への上場、仮想通貨のアップデート、バーン(Burn※)による供給量の減少などが挙げられます。
※バーン(Burn):すでに発行し市場に流通している仮想通貨の枚数を減らすこと。Burnは「消却」を意味する。
収益にかかる税金
株式も仮想通貨も取引で得た利益には税金がかかりますが、税金の種類が異なります。また、税制優遇措置においても対応が異なります。
株式投資により得られた利益(譲渡益や配当金など)には、基本的に所得税15%と住民税5%、2037年12月末までは、復興特別所得税も加算され合計で20.315%の税金が課されます。 原則として譲渡益や配当金は「申告分離課税」としてほかの所得と分けて税額を計算します。
仮想通貨で得られた利益は所得税の対象となり、原則として雑所得に区分されます。ただし、その年の仮想通貨による収入が300万円を超え、帳簿書類の保存がある場合は事業所得に区分される可能性もあります。
なお、株式投資ではNISAやiDeCoなど税制優遇措置が取られているものもあります が、仮想通貨にはそのような措置はありません(2023年3月現在)。
仮想通貨は税金に注意
仮想通貨で得た利益には所得税がかかり、原則として確定申告をする必要があります。
ただし、会社員など給与所得がある人で、給与所得と退職所得を除く所得の合計(仮想通貨を含む)が年間20万円以下の場合は確定申告は不要です。
また、個人事業主や自営業の場合は、仮想通貨での所得を含む各所得の合計額が所得控除(48万円)以下の場合は確定申告は不要です。
【参考】国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
まとめ
株式と仮想通貨はどちらも主に投資を目的として行われるものですが、取引市場や配当の有無、価格変動の原因などさまざまな面において違いがあります。中でも、税金に関する取扱いには大きな違いがあるため注意が必要です。
仮想通貨の取引をするにあたっては税金に関する基本的な知識が欠かせません。損益計算は複雑でわかりにくいという場合は、クリプタクトを検討してみてはいかがでしょうか。