ブロックチェーンゲームは、ゲームを楽しみながら稼げるとされていることもあり、興味を持っている人もいるでしょう。遊びながら稼げれば楽に副収入が得られるというイメージもありますが、ブロックチェーンゲームを始める際には、その特徴を知るとともに税金についても理解しておく必要があります。
この記事では、ブロックチェーンゲームとはどういったものか、その特徴などを紹介するとともにブロックチェーンゲームから得た利益にかかる税金についても詳しく解説していきます。
ブロックチェーンゲームとは?
ブロックチェーンゲームとは、ブロックチェーン技術を利用したデジタルゲームのことを指します。
なお、ブロックチェーンとは暗号資産の基盤技術であり、ネットワーク上の端末同士を直接接続して、取引記録を分散的に処理・記録するデータベースのひとつとされています。
ブロックチェーンは、ブロックに記録された取引記録がチェーン状(鎖状)に連なっていることからこのように名づけられ、特定の管理者が存在せず利用者同士が取引記録を管理する仕組みとなっています。
ブロックチェーンゲームの特徴
ブロックチェーンゲームには、ブロックチェーンの特徴を活かした次のようなメリットがあります。
【不正な取引や改ざんを防止できる】
ブロックチェーンは取引記録を分散して管理しているため、不正な取引や取引記録の改ざんを防止することが可能です。というのも、仮に改ざんを行ったとしても、ほかの利用者が保管するデータと照らし合わせることですぐに改ざんが判明するためです。
ブロックチェーンゲームはこういったブロックチェーンの特徴を活かしているため、取引記録の改ざんなどの行為が起きにくくなっています。仮に不正な取引が起きた場合でも、利用者同士が監視しあっているので早期に不正に気づき排除することが可能です。
【入手したアイテムなどが資産になる】
スマートフォンやパソコンでプレイするこれまでのオンラインゲームでは、サービス終了後はセーブデータも終了するため、基本的にゲーム中で入手したアイテムやキャラクターを保有し続けることができませんでした。
しかし、ブロックチェーンゲームでは、取得したアイテムやキャラクターなどをほかのゲームで利用したり取引所で売買したりすることが可能です。つまり、入手したアイテムなどは自分の資産になるということです。
ブロックチェーンゲームに関わる課税の種類
ブロックチェーンゲームで利益を得た場合、原則としてその利益に対し税金が課されます。ブロックチェーンゲームにおいて利益が出るケースとして、主に以下のものが挙げられます。
ブロックチェーンゲームにおいて利益が発生する主なケース
●ゲームをプレイすることで報酬を得る
●NFTを転売する
国税庁は令和5年1月に「NFTに関する税務上の取扱いについて 」において、ブロックチェーンゲームに関わる税務上の取扱いについてガイドラインを明示しました。それを元に、ブロックチェーン取引上で発生する可能性のある税金について解説します。
※NFT(Non-Fungible Token)とは、イーサリアムなどのブロックチェーン上で構築された代替不可能な(唯一無二の)トークンのこと
ゲームで報酬を得た場合
ブロックチェーンゲームでプレイした際に、報酬として暗号資産を取得した場合、個人の場合は税金として所得税及び住民税原則として「所得税」がかかります。
「所得」とは、「収入など新しく得られる経済的価値」と所得税法で解釈されています。ブロックチェーンゲームで得た報酬は、「経済的価値のある資産を新たに得た」と判断されるため、課税対象となります。
ただし、取得した暗号資産がゲーム内の使用に限られる場合、つまり、ゲーム内以外の資産とは交換できない場合は、経済的価値のある資産とみなされず、税金はかかりません。
なお、ブロックチェーンゲームにおける報酬は「雑所得」に分類されます。
NFTを転売した場合
個人が、NFTを作成し第三者に販売(譲渡)した場合(一時流通)やNFTを転売した場合(二次流通)に得られた利益にも、所得税及び住民税がかかります。
ただし、ゲームで報酬を得る場合と異なり、購入したNFTを転売した場合は、譲渡所得の課税対象となります。なお、この転売収入は、営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡に該当する場合は、「雑所得」または「事業所得」に該当します。また、NFTを販売した場合、「デジタルアートの閲覧に関する権利」の譲渡に該当し、取引上得られた利益は「雑所得」または「事業所得」の課税対象となります。
なお、個人で作成したNFTを無償で贈与した場合は、課税の対象にはなりません。
NFTを贈与や相続で受け取った場合
第三者からNFTを贈与または相続で取得した場合、取引の実態等を考慮した結果、贈与税や相続税の対象になります。なお、その評価の方法は、相続税の評価通達に記載の評価方法に準じて評価する必要がありますが、基本的にはそのNFTと同様のNFTの市場での流通価格をベースに決まることになります。
ブロックチェーンゲームに関わる税金の計算方法
上記でお伝えしたように、ブロックチェーンゲームにおいて得られた報酬に対し、課税される税金は取引内容に応じて異なります。しかし、多くの利用者にとって課税される機会の多いものは、「ゲーム内で報酬を得たケース」と考えられます。
そこで、ブロックチェーンゲームでプレイすることで報酬を得た場合にかかる所得税(雑所得)の計算方法を解説します。
雑所得の計算式 雑所得=ブロックチェーンゲームでの収入①-ブロックチェーンゲームでの必要経費② |
①収入金額について
ブロックチェーンゲームの収入金額は、ブロックチェーンゲームで得たゲーム内通貨(トークン)の総額です。
ゲーム内通貨の評価は、原則としてゲーム内通貨を取得するごとに行いますが、月末または年末に一括評価を行うことも可能です。
②必要経費について
ブロックチェーンゲームの必要経費は、ゲームで報酬を得るために要した費用です。
この取得価格は、使用した通貨から算出します。
たとえば、ブロックチェーンゲーム内で2万円相当のイーサリアム(ETH)で購入したデジタルアートを、15万円相当に値上がりしたタイミングで売却したとします。その場合、15万円-2万円で13万円の利益が得られることになり、13万円が雑所得として課税対象となります。
「簡便法」で計算することもできる
ブロックチェーンゲームでは、ゲーム内通貨の取得や使用がひんぱんに行われることが多く、取引のたびに評価することは煩雑と考えられるため、年末に一括で評価する「簡便法」で雑所得金額を計算することも可能です。
簡便法での雑所得の計算方法1.ゲーム内通貨の所得金額=その年の12月31日に所有しているゲーム内通貨の総額-その年の1月1日に所有していたゲーム内通貨の総額-その年に購入したゲーム内通貨の総額 2.雑所得の金額=上記1で求めた、ゲーム内通貨の所得金額×暗号資産の換算レート(12月31日時点) |
なお、その年の途中でゲーム内通貨を暗号資産に交換した場合は、交換により取得した暗号資産の価額を雑所得に加算します。
ブロックチェーンゲームで得た報酬にかかわる確定申告
ブロックチェーンゲームで得た報酬については、確定申告が必要になる場合があります。
会社員の方は勤務先で年末調整を受けることが多いですが、雑所得は年末調整では対応できない所得です。そのため、別途確定申告を行うことになります。ただし、給与以外の副収入の合計所得金額(ブロックチェーンゲームでの所得を含む)が20万円以下の場合は、確定申告は不要です。
個人事業主の方などは年末調整がないため原則として確定申告を行うことになります。ただし、ブロックチェーンゲームの所得を含めた所得金額の合計が基礎控除(48万円) 以下であれば、所得税が発生しないため確定申告は不要です。
ブロックチェーンゲームの所得を「e-Tax」の「確定申告書作成コーナー」で作成する場合(「暗号資産の計算書」を使用する場合)の流れは以下の通りです。
作成手順
①「雑所得」の「業務・その他」の「入力する」をクリックします。
出典:【確定申告書等作成コーナー】 暗号資産の取引に係る収入がある場合
②(その他)所得の入力の「入力する」をクリックします。
出典:【確定申告書等作成コーナー】 暗号資産の取引に係る収入がある場合
③報酬者などの支払者名(※下図①)と収入金額および必要経費を入力します。(※下図②)なお、複数の取引所を利用している場合は、すべての取引所の合計数値を入力します。
その後、右下の「入力内容の確認」をクリックし、間違いがないか確認します。計算過程の資料は手元に保存しておきましょう。
出典:【確定申告書等作成コーナー】 暗号資産の取引に係る収入がある場合
まとめ
ブロックチェーンゲーム内で得た報酬には、原則として税金がかかります。
ゲームをプレイした際に得た報酬は所得税及び住民税の対象になり、一定の金額以上であれば確定申告をする必要があります。また、自作のキャラクターやアイテムなどのNFTを販売・転売した際にも税金の対象となります。
暗号資産の利益計算は自分で行うことも可能ですが、計算方法は非常に煩雑なので、取引量が多い場合手作業で行うのは大変です。
そのような場合は、クリプタクトの「損益計算サービス」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
仮想通貨の損益通算ツール「クリプタクト」であれば取引履歴を取得して正しい形で損益計算するのが困難かつ複雑なDeFi取引の自動識別にも対応し、損益計算の自動化が可能です。