JPYCの特徴や将来性を解説.webp

JPYCは日本円と連動し、ブロックチェーン上で円建て決済ができるステーブルコインです。決済やWeb3連携も進み、2023年の法整備で利便性向上も期待されています。

この記事では、JPYCの種類や仕組み・特徴、購入方法やリスクなどについてわかりやすく解説していきます。

目次

  1. JPYCとは?
  2. JPYCの仕組みと特徴
  3. JPYCの価格動向
  4. JPYCの購入方法
  5. JPYCのリスクと注意点
  6. まとめ

JPYCとは?

まずはじめに、JPYCの概要について確認していきましょう。

日本円に連動したステーブルコイン

JPYCはJPYC株式会社が発行する日本円のステーブルコインです。

ステーブルコインとは、一般に法定通貨などと価値が連動するように設計された仮想通貨を指し、米ドルと連動するUSDTやUSDCなどが世界的に広く知られています。

JPYCは1枚の価格が常に1円になるように保たれているため、価格が大きく変動するビットコインなどとは異なり、日本円換算での価値が安定している点が特徴です。

言い換えるならば、ブロックチェーン上で使える価格が安定したデジタルマネーと捉えると分かりやすいでしょう。

JPYCを活用することで、実質的に日本円でWeb3(3.0)サービスを利用しているかのような体験を実現することが目指されているのです。

JPYC・JPYC Trust・JPYC Prepaidの3種類がある

JPYCについて正しく理解する上で、JPYCの種類について把握しておく必要があります。

現在、JPYCには以下の3種類が発行、または発行準備中となっています。

JPYCの種類

当初のJPYCは2021年に日本暗号資産市場株式会社(現・JPYC株式会社)によって、ERC20(イーサリアム互換)トークンとして発行されました。

この際、JPYCの法的な位置付けは暗号資産(仮想通貨)ではなく、「前払式支払手段」として位置付けられました。

「前払式支払手段」とはプリペイドカードのようにチャージして使う支払い手段のことで、当時は 法律でステーブルコインの位置付けが整備されていなかったため     このような形となったのです。

しかし、2023年の資金決済法改正によってステーブルコインが「電子決済手段等」として位置付けられたことで、改めてJPYC株式会社では自社が発行体となる「JPYC」と、提携する信託銀行が発行体となる「JPYC Trust」の発行に向けた準備が進められていま   す。

従って、一口にJPYCと言っても、厳密には3種類のステーブルコインが存在する点に注意が必要です。

この記事では、既に発行済みで利用されている「JPYC Prepaid(旧JPYC)」を軸としつつ、「JPYC」「JPYC Trust」についても補足しながらご紹介していきます。

JPYCの仕組みと特徴

JPYCはブロックチェーン上で発行されるトークンであるため、一般的な仮想通貨と同様にDEX(分散型取引所)などを通じて自由に売買することが可能です。

それでは、いったいどのようにステーブルコインとしての価格維持を実現しているのでしょうか。

その仕組みと特徴について深掘りしていきましょう。

価格を1円に保つ仕組み

JPYCは、日本円に連動したステーブルコインとして常に1JPYC = 1円の価値を維持することを目指して運営されています。      
         
例えば「JPYC Prepaid」の場合、発行体であるJPYC株式会社がJPYC Prepaidを常に1円で販売しているため、二次流通市場でも価格が大きく変動しにくい構造です。

また、JPYC株式会社の公式サイトでは「JPYC Prepaid」を1円としてギフト券の購入     などに利用できるサービスも提供されているため、二次流通市場の1円を大きく下回りにくくなっています。

なお、今後発行される予定の「JPYC」は1円での引き取り(償還)が保証される見込みであるほか、「JPYC Trust」は裏付け資産を信託銀行が保管することになるため、こうした点もペッグの安定性に寄与するものと考えられます。

対応ブロックチェーン

現状、「JPYC Prepaid」は以下のブロックチェーンで発行されています。

JPYC Prepaidの対応ブロックチェーン  
Ethereum Polygon Gnosis Shiden Avalanche Astar

また、今後発行が予定されている「JPYC」や「JPYC Trust」についてもEthereumをはじめとする複数チェーンへの対応が想定されています。

JPYCの種類別の特徴

現在、JPYCでは「JPYC Prepaid」が既に発行されており、実際にステーブルコインとして機能し、二次流通市場でも自由に取引することが可能です。

しかし「前払式支払手段」の制約により公式サービスでは日本円への償還ができず、また第三者間による二次流通や決済導入などは法律の規定がない、いわゆる「グレーゾーン」としての一面があります。      
         
一方で、電子決済手段版の「JPYC」は法的位置付けにより、流通や給与支払いなども可能と見られています。

また、「JPYC Trust」では信託銀行などが発行に関与することで、法人や機関投資家といったより厳格な運用基準を求めるユーザー層にも用途が広がっていく可能性があるでしょう。

JPYCの価格動向

それでは、「JPYC Prepaid」のこれまでの価格推移を見ていきましょう。

前述したように、「JPYC Prepaid」は価値が1円にペッグ(連動)されたステーブルコインであり、発行体の公式サイトでは常に1円で購入、または利用することが可能です。

しかし、DEX(分散型取引所)などの二次流通市場では他の仮想通貨と同様に自由な売買が可能であるため、需給バランスによって価格が変動することもあります。

実際のチャートによると、2025年4月9日現在の「JPYC Prepaid」価格は約0.9931円となっていました。

JPYCチャート(コインマーケットキャップ)

参考:CoinMarketCap

過去の推移を確認すると、0.96円〜1.01円程度の範囲で推移しています。現時点では、日常的な利用において大きな問題が生じるような価格乖離は発生していないと言って良いでしょう。

JPYCの購入方法

「JPYC Prepaid」は、発行体であるJPYC株式会社の公式サイトから1JPYC Prepaid=1円で購入することが可能です。          

また、「JPYC Prepaid」はDEX(分散型取引所)などの二次流通市場で購入することもできます。

例えば、Web3ウォレットのMetamaskでは、スワップ機能を使って仮想通貨を「JPYC Prepaid」に交換することが可能です。

ただし、二次流通市場の利用は自己責任となりますので注意しましょう。

JPYCのリスクと注意点

「JPYC Prepaid」は1円という価格を維持することを目指して設計・運用されていますが、その価格形成は発行体であるJPYC株式会社の信用に大きく依存しています。

発行体は民間企業ですので、経営不振に陥ったり、ペッグを維持する仕組みに問題が生じると、市場価格が1円から大きく乖離するDepeg状態(連動が崩れた状態)に陥るリスクも否定はできません。

また、JPYCは前述した名称変更に加えて、過去には「V1」「V2」といったバージョンの区分けも行っており、ネット上には表記揺れが多数残っています。過去の「JPYC V2」が現行の「JPYC Prepaid」となっていますので、JPYCを扱う際は注意しましょう。          

まとめ

法定通貨に価値が連動したステーブルコインは、価格変動リスクを抑えながらブロックチェーン上のさまざまなサービスを利用できるため、今後の発展が注目されています。      
中でも日本円と連動しているJPYCは、日本人にとって利用しやすい決済手段の選択肢となる可能性があります。

なお、日本円建てで発行される各種JPYCは、会計管理上も1円として処理することが可能です。(公式ページより

そのため通常の会計ソフトなどで収支を管理することも可能と考えられています。実際にはブロックチェーン上で発行・取引されるという仕組み上、一般の会計ソフトでは取引情報の効率的な収集が困難です。

また、JPYCの使用(送金や決済利用)に伴ってトランザクション手数料(ガス代)も仮想通貨で発生するため、それらをまとめて把握・管理するには仮想通貨用の計算ソフトの利用がおすすめです。

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