2022年6月3日に改正資金決済法(正式名「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」)が成立しました。今回の改正は、資金決済法のほか「犯罪収益移転防止法」「銀行法」などの改正を含むものであり、主な改正内容は以下の3点です。
主な改正内容 ■電子決済手段等(ステーブルコイン)への対応 |
資金決済法とは?
資金決済法(正式名「資金決済に関する法律」)は、情報通信技術の発達や利用者からの多様化した需要に対応できるよう、2010年4月1日に施行された法律です。資金決済法は、資金決済におけるサービスが適切に行われることと、利用者保護を主な目的としています。
今回の改正は仮想通貨にどんな影響を与えるか?
では、今回の改正により仮想通貨にどんな影響があるのでしょうか。冒頭の主な改正内容のうち、1点目の「電子決済手段等(ステーブルコイン)への対応」について解説します。
ステーブルコインへの影響
ステーブルコインとは、価格の安定性を実現するために設計された仮想通貨のことをいいます。仮想通貨は、裏付けとなる資産が存在しないため、価格変動の波が激しいことが課題となっていました。そこで、仮想通貨を米ドルや金などの資産と連動させることで、決済手段として活用できるよう普及促進をはかるために設計されたのがステーブルコインです。
ステーブルコインにおいては、これまで適切な規制が設けられておらず、利用者保護の観点から不安視されることや、マネーロンダリングに利用される危険性があることなどが指摘されていました。
そこで改正資金決済法により、ステーブルコインの法的な位置付けを明らかにし、発行主体を限定するとともに、利用者保護のために仲介業者に対して様々な行為規制が設けられることになりました。
ステーブルコインに関係する改正ポイント ✔ 利用者の損失リスクを防ぐため、日本国内での発行体は銀行・資金移動業者・信託会社のみに限定されました。 ✔ ステーブルコインの取引業者等が登録制となりました。 ✔ 仲介業者には主に以下の規制が課されることとなりました。 ■情報の安全管理や利用者保護のために必要な措置を取ることが義務付けられます ✔ 犯罪などの疑わしい取引についてモニタリングを行うなど、これまでよりもマネーロンダリング対策が厳格化されます。 |
まとめ
2022年6月10日に成立した改正資金決済法では、ステーブルコインへの対応や銀行等による取引モニタリング、高額電子移転可能型前払式支払手段への対応という3つの柱がポイントとなっています。仮想通貨取引においても、ステーブルコインへの影響やマネーロンダリング対策などの影響があるため、改正内容について理解を深めておきましょう。
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