仮想通貨SUI(スイ)は、元Facebook社(現Meta社)のメンバーによって開発されたレイヤー1ブロックチェーン「Sui Network」のネイティブトークンです。
「Sui Network」は1秒間に12万件のトランザクションを処理できるとされ、その高速性を活かしてDeFi(分散型金融)、NFT、ゲームなどの分野での利用が検討されています。
とはいえ話題性だけで投資先を判断してしまってよいのかとお悩みの方は、仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」の情報から判断材料を集めてみることをおすすめします。
この記事では、仮想通貨SUI(スイ)のホワイトペーパーを参照しながら、その特徴や将来性について解説していきます。
仮想通貨SUI(スイ)とは?
仮想通貨SUI(スイ)は「Sui Network」におけるネイティブトークンです。
「Sui Network」はビットコインやイーサリアムなどと同じ、レイヤー1(基盤層)のブロックチェーンであり、スマートコントラクトに特化した独自のプログラミング言語「Sui Move」を採用していることで、DeFi(分散型金融)の開発に適したプラットフォームとして知られています。
また、PoS(Proof of Stake)に独自技術を加えたコンセンサスアルゴリズムによって、処理速度が非常に早いという特徴があり、今後の動向が注目されています。
仮想通貨SUI(スイ)はCoinbaseやBybitなどの海外主要取引所に上場されているほか、国内でもOK Coin JapanやBinance Japanなどで取引が可能です。
なお、この記事では混同を避けるため、仮想通貨としてのSUIを「仮想通貨SUI(スイ)」、ブロックチェーンとしてのSuiを「Sui Network」と表記して解説していきます。
仮想通貨SUI(スイ)の価格動向
まずは仮想通貨SUI(スイ)の足もとの価格を確認してみましょう。
チャートによると、2024年10月2日現在の価格は1SUIあたり約260円となっていました。
参考:CoinMarketCap(2024/10/2時点)
過去の1年の推移を見ると、2023年10月頃から上昇トレンドとなり、2024年3月末には一旦ピークを迎えて下落トレンドに転じていますが、8月には再び上昇に転じています。
2023年10月からの上昇トレンドは、ビットコインなどの主要通貨が伸びる形で仮想通貨市場全体を牽引していた時期とも重なりますが、11月上旬にはSui NetworkのTVLが初めて1億ドルを突破したことが発表されるなど、DeFi(分散型金融)におけるSui Networkの普及が進んだことも背景にあるものと考えられています。
また、2024年8月にはアメリカの金融大手Grayscale社がSUIを投資対象とする投資信託を立ち上げたことが報じられています。より幅広い投資家がSUIに投資することが可能になったことも、価格上昇の一因として考えられています。
仮想通貨SUI(スイ)の特徴
仮想通貨SUI(スイ)にはどのような特徴があるのでしょうか。
それぞれについて見ていきましょう。
開発目的(低レイテンシかつスケーラブルなブロックチェーン)
Sui Network(Sui Smart Contracts Platform)のホワイトペーパーでは、開発目的に関して次のように記載されています。
“Sui is a decentralized permissionless smart contract platform biased towards low-latency management of assets. (中略)It uses a Byzantine consistent broadcast protocol between authorities to ensure the safety of common operations on assets, ensuring lower latency and better scalability as compared to Byzantine agreement.”
引用:https://github.com/MystenLabs/sui/blob/main/doc/paper/sui.pdf INTRODUCTIONより
すなわち、Sui Networkは低レイテンシ(高速かつ低遅延)でスケーラブルな分散型スマートコントラクトプラットフォームを提供することを目指して開発されました。
近年、仮想通貨が社会に普及し、DeFi(分散型金融)やNFTなどブロックチェーンの用途も拡大するにつれて、ブロックチェーンの処理速度が大きな問題となっています。
ブロックチェーンの処理能力を示す目安のひとつとして、TPS(Transaction Per Second)という指標があります。
これは、1秒間の取引処理件数を示すものですが、世界初の仮想通貨であるビットコインではわずか7件であったのに対し、イーサリアムが15件、ポリゴンが7,000件、ソラナでは50,000件と処理能力が向上しています。
そのような中、Sui Networkでは1秒あたり120,000件という極めて高い処理能力が実現されており、今後更なる拡大が予想されるWeb3の需要を取り込むにあたって大きな優位性と見られています。
仮想通貨SUI(スイ)は、こうしたSui Networkにおけるネイティブトークンとして発行されているのです。
アルゴリズム(PoS:Proof of Stakeを採用)
Sui NetworkではコンセンサスアルゴリズムとしてPoS(Proof of Stake)方式が採用されていますが、独自技術である「Narwhal」と「Tusk」を組み合わせることで、低レイテンシかつ効率的なコンセンサス(合意形成)を実現しています。
「Narwhal」は日本語でイッカク(一本角を持った鯨)を意味し、「Tusk」はその角を意味します。
具体的には、「Narwhal」はトランザクションデータをメモリプールに蓄積し、高い信頼性を持ってデータ可用性を確保する役割を担っています。一方で、「Tusk」はその上で、データの順序づけを行い、リーダーレスのコンセンサスプロトコルに基づいて迅速かつ効率的な合意形成を進めます。
PoSが基礎にあるため、SUI(スイ)トークンをステーク(担保としてロック)することで、バリデーターはトランザクションの検証や新しいブロックの生成に参加し、報酬を得ることができます。バリデーターとしての参加は、ネットワークのセキュリティと運用において重要な役割を果たします。
このように、Sui Networkは従来のPoS方式に「Narwhal」と「Tusk」を加えることで、高い高速性と効率性を実現しているのが特徴です。
組織体制・セキュリティ(元Facebook社のメンバーが独立)
Sui Networkの開発および運営は、ブロックチェーン技術を専門とするMysten Labs社によって行われています。
Mysten Labs社は元Facebook社(現Meta社)において仮想通貨LibraやDiemのプロジェクトに関与していたメンバーが中心となり設立されました。こうした技術力やブロックチェーン開発ノウハウが、Sui Networkの設計と実装において大きな影響を及ぼしています。
例えば、Sui Networkのスマートコントラクトで活用されているプログラミング言語「Sui Move」は、Meta社が開発した「Move」をもとに発展したものです。
Sui Moveは資産管理に特化した設計が特徴であり、資産をオブジェクトという概念で扱い、さまざまな操作を行うことができます。デジタル資産の所有権や操作に最適化されており、ブロックチェーン上で動くプログラムの開発に適した言語となっているのです。
なお、Sui NetworkはコンセンサスアルゴリズムにPoSを採用しており、ブロックの検証や作成にSUI(スイ)をステークする必要があることから、改ざんなどの悪意ある行動を抑止する構造となっています。
仮想通貨SUI(スイ)の将来性
それでは、仮想通貨SUI(スイ)の将来性について考える上で、重要なポイントをそれぞれ見ていきましょう。
DeFi市場でどれだけ活躍できるか
仮想通貨SUI(スイ)の基盤であるSui Networkは、高スケーラビリティと低レイテンシを特徴とし、DeFi(分散型金融)市場での利用が注目されています。
DeFiアプリケーションでは大量の取引が行われるため、Sui Networkのこれらの特性が競争力に関連すると考えられています。
実際に、Sui Networkはローンチから1年足らずで、TVL(Total Value Locked:DeFiに預けられた仮想通貨の総量を示す指標)でトップ10にランクインしています。
Sui Networkの成長が続くことで、ネイティブトークンである仮想通貨SUI(スイ)に影響が及ぶ可能性も考えられます。
Sui NetworkでUSDCが発行
米ドルステーブルコインUSD Coin(USDC)の発行元であるCircle Internet Financial社は、USDCのネイティブ版トークンをSui Networkで発行する予定であることを発表しています。
これはSui Network上でドルベースの取引をしやすくなることを意味しており、DeFi(分散型金融)やその他のサービスの活用が広がることも想定されます。
今後もこのように影響力の大きいトークンがSui Networkに対応していけば、仮想通貨SUI(スイ)の価格動向にも影響がある可能性があるでしょう。
競合プロジェクトの動向にも注目
Sui Networkは優れた特徴を持つブロックチェーンですが、他の競合ブロックチェーンも進化を続けており、イーサリアムやソラナなどの主要ブロックチェーンの動向を注視することが重要です。
特に、DeFi(分散型金融)市場におけるイーサリアムのシェアは非常に大きく、TVLではSui Networkの100倍以上の規模を誇っています。さらに、Sui Networkと同じくMeta社の元社員が開発しているブロックチェーンプロジェクト「Aptos(APT)」も注目されています。
Aptos(APT)は現時点でSui Networkより規模が小さいものの、プログラミング言語にMoveを使用するなど共通点が多く、競合プロジェクトとして今後の動向が関心を集めています。
まとめ
この記事では仮想通貨SUI(スイ)とSui Networkの特徴と将来性について解説しました。
当サイトではこの他にも話題の銘柄や最新のトレンド、気になる仮想通貨の税金に関する解説記事などを紹介していきますので、最新記事の更新情報を知りたい方はぜひ公式X(旧Twitter)のアカウントをフォローしてみてください。
なお、仮想通貨投資を通じて一定以上の利益を得た場合は、その損益を正確に把握したうえで確定申告や納税を行う必要があります。
投資として売買取引を行った場合はもちろん、DeFi(分散型金融)やNFT、ブロックチェーンゲームなどで仮想通貨SUI(スイ)を使用した場合にも税務上の利益は発生します。
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