運動しながらビットコインを稼ぐ「Move to Earn」という革新的な概念は、STEPNというNFTゲームの流行によって広く知られるようになりました。同じく「Move to Earn」の概念で作られたサービスに、歩数に応じてビットコインが貯まる「BitWalk(ビットウォーク)」があります。
スマホアプリをダウンロードするだけで簡単に始められることから、ポイ活的な感覚でBitWalkを利用してビットコインをためているという方も多いかもしれません。
しかし、BitWalk(ビットウォーク)を利用してビットコインを獲得・運用する際には、税金が課される可能性がある点には留意が必要です。
この記事では、BitWalk(ビットウォーク)を通じて得られたビットコインについて、税金が発生するケースと、その計算方法をわかりやすく解説します。
目次 |
BitWalk(ビットウォーク)を利用して課税対象となるタイミングとは
歩数に応じてビットコインをもらえるBitWalk(ビットウォーク)ですが、どのようなタイミングで税金を意識する必要があるのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
ビットコインを取得しただけでは税金はかからない
BitWalkで稼いだビットコインは、いわゆる「ポイ活」の一種となっており、ポイントの獲得に該当すると見られています。
国税庁はタックスアンサーのページにて、ポイントの獲得については基本的には「確定申告の対象外」として明記しています。
ただし、「ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に発生したポイント」は課税の対象となるので留意が必要です。
通常の買い物で付与されたポイント | 非課税 |
臨時・偶発的に付与されたポイント | 一時所得として使用時に課税 |
参考:国税庁|No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い
BitWalkで獲得したビットコインもポイントの一種であり、臨時・偶発的に発生したポイントには該当しないことから課税対象外のものと考えることができます。そのため、獲得した時点では税金がかからないと考えられます。
一方で、仮想通貨業界でエアドロップといわれているような、キャンペーンなどを通じて価値のある仮想通貨を無償で取得する行為があります。このエアドロップは、取得時点でその価値相当の利益を認識し、税金が発生することとなります。
結果として、BitWalkでのビットコインの獲得については、ポイントの獲得として非課税になると見られていますが、得られるものがビットコインであるために仮想通貨のエアドロップと見られ課税対象の利益として見られる可能性があります。
こちらについては、明確な指針がないために最終的には所轄の税務署の判断に基づくことになります。実際に申告する際は税務署の相談窓口や税理士に確認するとよいでしょう。
後で税金計算に必要になる可能性がありますので、ビットコインの獲得履歴はしっかり記録しておくようにしましょう。
ビットコインを売却した時に税金がかかる
アプリ内の「Bitcoin通帳」に蓄積されたビットコインを出金後、このビットコインを売却した場合、その取引によって生じた利益は所得と見なされ課税対象となります。
個々の取引における利益の基本的な考え方は以下の通りです。
ビットコイン取引による利益の考え方
利益 = 譲渡価格 - 取得原価 |
取得原価とは、そのビットコインを取得した時点の原価のことです。
取得原価
取得原価 = 取得時の1BTCあたりの価格 × 取得した数量 |
一方で譲渡価格とは、実際に売却した際に得る価格です。
譲渡価格
譲渡価格 = 売却時の1BTCあたりの価格 × 売却した数量 |
例えば、10,000歩のウォーキングでスタンプを40個手に入れ、それを交換することで0.002mBTC(0.000002BTC)が付与されたとします。
交換日のビットコイン価格が500万円/BTCであった場合、この0.002mBTCの取得原価は10円ということになります。
その後、ビットコイン価格が1000万円/BTCになった際にこの0.002mBTCを売却した場合、譲渡価格は20円になります。
つまり、譲渡価格と取得原価の差額である10円がビットコイン売却による利益と見なされるのです。
逆に、相場が下落していて利益が出なかった(マイナスになった)場合は損失として扱われ、これ以外の利益を得ていなければ税金はかかりません。
この考え方は、ビットコインを別の仮想通貨に交換した場合や、ビットコインを使って商品・サービスを購入した場合も同様に適用されます。
なお、上記の例は売却利益の考え方を説明するために簡略化したサンプルケースです。
複数の取引がある場合、仮想通貨の損益計算においては総平均法、または移動平均法のいづれかの方法で計算し、年間の所得を計算する必要があります。総平均法、移動平均法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
取引による所得額次第では確定申告をしなくてよい場合もある
給与所得以外で支払うべき税金がある場合は確定申告が必要になるのが一般的です。
しかし、所得の金額が小さい場合は確定申告を行わなくても良いケースもあります。
例えば、サラリーマンなどの給与所得者が仮想通貨取引を行った場合の所得は通常「雑所得」に分類されますが、「雑所得」が年間20万円以下の場合は確定申告を行う必要はありません。
BitWalk(ビットウォーク)のスタンプ獲得やビットコインとの交換レートは、ビットコイン価格等に応じて変動しますが、平均すると1日10円相当のビットコインを入手している人が多いようです。
歩数に応じたビットコイン付与以外にも、ガチャやビットコインの価格予想、友達紹介などによってビットコインをもらえるサービスがありますが、これらを併用しても年間で20万円を超える心配はないでしょう。
ただし、BitWalk(ビットウォーク)の税金の取扱いについて明示的な指針が示されているわけではありません。
ゆえに、こちらも実際に確定申告を行う際は税務署の相談窓口や、税理士と相談しながら判断することをおすすめします。
BitWalk(ビットウォーク)のビットコイン運用をした場合にかかる税率
前項でもご紹介した通り、ビットコインを 運用して得た売却益は「所得税」のなかの「雑所得」に分類されます。
そして、仮想通貨取引による雑所得には、総合課税が適用され、給与所得など、他の所得と合算した課税所得に、所得税の税率をかけて所得税額を算出します。所得が大きくなればなるほど、税率も高くなる仕組み(累進課税)となり、最高で45%、住民税・復刻特別所得税を合わせると55%の税率となります。
所得税率
引用:国税庁|No.2260 所得税の税率
例えば、給与所得が500万円で、BitWalk(ビットウォーク)を含む仮想通貨取引で30万円の雑所得を得た場合は以下のような計算となります。
計算式
課税所得額×税率-控除額=所得税額 |
この計算式に当てはめてみると、
(500万円 + 30万円) × 20% - 427,500円 = 632,500円が所得税
なお、これは税金計算方法をイメージするための単純化したケースですので、実際には社会保険料控除や各人に応じたさまざまな控除を差し引いた額が最終的な納税額となる点にご留意ください。
仮想通貨に関する税金の仕組みや注意点については、これらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
まとめ
仮にBitWalk(ビットウォーク)単体で得られる金額が小さかったとしても、他の仮想通貨取引で大きな利益を得ている場合は合算して確定申告をしなければならず、申告漏れがあると追徴課税などの重いペナルティに繋がる恐れもあります。
1年間に行った仮想通貨取引についてはBitWalk(ビットウォーク)を含めて全て記録しておくようにしましょう。BitWalk(ビットウォーク)の取引履歴については、アプリ内の「ポイント通帳」から取得日と取得数量を確認することができます。
なお、確定申告を行う際には記録した取引履歴に対して、それぞれの時点における価格で日本円換算をしながら損益計算を行わなければなりません。
特にBitWalk(ビットウォーク)の場合、日々獲得するスタンプは夜に消失してしまうため、基本的に毎日ビットコインと交換することになり、1年分をまとめて計算するのは非常に面倒で手間がかかる作業となります。
そこで便利なのが、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」です。
「クリプタクト」であれば、 BitWalk(ビットウォーク)のビットコインについても、「ポイント通帳」の情報を元に日々の獲得量を「クリプタクト」に入力しておくことで、自動で取引のタイミングの円貨を算出し、損益計算を計算してくれます。また取引所などで仮想通貨取引をしていた場合にはそれらと合算して自動で年間の損益を計算してくれます。
BitWalk以外にも仮想通貨取引を行っている方やこれから行おうと考えている方は、ぜひこの機会に「クリプタクト」の活用をご検討ください。