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中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは?

中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)とは、中央銀行が発行している通貨のことをさし、一般的に以下の3つの要件を満たすものとされています。

● デジタル化されていること
● 円などの法定通貨建てであること
● 中央銀行の債務として発行されること

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、銀行券と同様にどこでも誰でも使えるという汎用性があることや、ユーザー間で繰り返し譲渡できること、受け渡しをしたと同時に決済が完了する「決済完了性」があるといった特徴があります。

中央銀行がデジタル通貨を発行することについては国により対応が異なり、具体的に導入を検討している国もあれば、民間金融機関への影響などを考慮し導入に慎重な国もあります。

その一方で、既にデジタル化されている中央銀行の当座預金を、新技術を用いてより利便性の高いものにしようと多くの中央銀行で調査研究が進められています。日本銀行は欧州中央銀行(ECB)と共同で、分散型台帳技術に関する共同調査「プロジェクト・ステラ」を実施しています。

仮想通貨との違い

「デジタル通貨」であることから仮想通貨と混同されがちですが、中央銀行デジタル通貨(CBDC)と仮想通貨の大きな違いは法定通貨であるかどうかです。CBDCが国家の中央銀行により発行・管理され、国家が通貨の価値を保証するのに対し、一般的に仮想通貨には特定の発行元や管理者が存在しません。

各国におけるCBDCの状況

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は国により対応が異なりますが、他国への影響が大きいとされるアメリカや中国での状況を解説します。

アメリカにおける状況

2022年3月9日に、バイデン大統領が仮想通貨についての大統領令に署名しました。その大統領令の中で、各関係機関に対し「デジタルドル」の発行における課題を検証することを指示しています。また、法的な面からも検討が必要とのことから、「デジタルドル」の発行に関して議会の承認が必要かどうかについて調査するよう司法省にも指示を出しています。
これにより、アメリカでデジタルドルの発行が決定されたわけではありませんが、従来よりも前向きに導入を検討し始めたと捉えることができるでしょう。

これまでアメリカ政府は、デジタルドルの導入については慎重な姿勢を見せていました。主な理由として、銀行の経営悪化を招く可能性のあること、デジタルドルがマネロンなどの犯罪組織に利用されるリスクがあること、国民の間にデジタルドルの取引履歴がFRBに把握されることへの懸念があることなどが挙げられます。

しかし、デジタルドルの発行に消極的だったトランプ政権から、金融包括(すべての人が経済活動に必要な金融サービスを利用可能にする取り組み)を目指すバイデン政権に代わったことで、デジタルドル発行の有用性が論じられるようになりました。また、ステーブルコインの拡大により起こり得る諸問題を解決するためや、中国で発行されるデジタル人民元に対抗する必要性などが関係し、デジタルドルの導入に前向きになってきたという経緯があります。

中国における状況

中国におけるデジタル通貨「デジタル人民元」は、2022年2月に開催された北京オリンピックで外国人向けにもサービスが提供されたこともあり、各国で注目されているデジタル通貨です。2014年に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究チームが立ち上げられ、2016年にはデジタル通貨研究所が開設されました。2017年末には商業銀行と共同開発に臨みテストに着手。2020年には一部地域でパイロットテストが開始されました。

デジタル人民元は、スマートフォンにアプリをダウンロードしウォレットで残高を管理します。実証実験では、街中での買い物での決済や政府から補助金を支給する際に利用されています。また、実用化に向けた法整備も進められており、他国がデジタル通貨を導入する際に中国をモデルケースとして参考にする可能性もあります。

このように、中国はデジタル通貨の利便性を活用するだけでなく、中央銀行デジタル通貨(CBDC)において世界的なリーダーシップを発揮したいという思惑もあると考えられます。

日本におけるCBDCの状況

日本において中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入についての計画は、2022年10月現在まだなされていないのが現状です。しかし、諸外国での対応などを踏まえ、国内においても導入のニーズが高まった際には速やかに対応できるようにするとの考えはあります。

日本銀行の黒田東彦総裁は2019年12月に行われた講演で、現在国民が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入を求めているとは考えられないが将来的に必要になった際に的確に対応できるように技術面や法律面での調査研究をすすめている、と述べています。

また、政府は2020年7月に発表した骨太方針に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討を公式に盛り込むことを発表。日銀と足並みをそろえてアメリカや欧州と本格的に協議をすると公表しました。

同じく2020年7月、日銀は「デジタル通貨グループ」を新設し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入や、デジタル社会に対応するシステムの構築などの研究を行うこととしました。

そして、2021年度から3段階に分けて実証実験が行われることが決定。
2021年4月から1年間は「概念実証フェーズⅠ」としてCBDCの発行や送金、還収の基本機能の検証が行われました。そして、2022年4月からは「概念実証フェーズ2」として、CBDCの周辺機能の検証が行われています。

まとめ

中央銀行デジタル通貨とは「デジタル化されている」「法定通貨である」「中央御銀行の債務として発行されている」という3つの条件を満たしている通貨のことです。
中央銀行デジタル通貨についての取組みは各国により対応が異なっており、中国やアメリカでは導入に前向きな姿勢が見られます。
日本でも将来的な導入を見据えて、徐々に調査研究が進められています。

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