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2022年4月19日に開催された参議院・財政金融委員会にて、自民党のふじすえ健三議員が、暗号資産(仮想通貨)の税制について質疑応答を行い、分離課税導入について提言した。

ふじすえ健三議員は、これまでにも暗号資産やブロックチェーン産業の発展と振興のために数々の精力的な活動で知られている議員である。
本年3月16日には暗号資産やNFTの分離課税導入について質疑応答し、諸官庁へ強く協力を呼びかけた。また、4月15日にはTwitterスペース上で自民党 平将明議員と暗号資産・NFT・Web3.0に関する対談を行い、暗号資産税制の改正について意見を述べている。

 

暗号資産の分離課税導入を提言

ふじすえ議員は、ロシア経済制裁のための改正外為法等についての質疑を終えた後、暗号資産の分離課税導入について質疑を展開。

現状日本では暗号資産は雑所得として課税され、累進税率が適用される。このことが大きな負担となっていることをまず指摘。
国内における暗号資産利用促進を促し、海外よりも国内における取引を増加させ、健全な暗号資産の管理を実現するために、分離課税移行の検討が必要であると主張。財務大臣の見解を尋ねた。

財務大臣は、暗号資産に分離課税を採用すべきという意見があることは承知しているが、給与・事業での所得の税率(最大55%)に対し、暗号資産の所得の税率が20%となることに対し国民の理解が得られるのか、暗号資産を株式のように家計が購入することを国として推奨するのが妥当なのか、等の課題について説明するとともに、今後丁寧な検討をしなければならない、と回答した。

ふじすえ議員はさらに、暗号資産はすでに国内でも500万人に保有されている状況に言及。
暗号資産保有者が、シンガポールなど税制優遇のある海外の国に移住するケースも実際に起きていて、他の国に比べると日本は法制度については先行して進めていたのに、「税制でずっと止まっている」と日本の現状を鋭く指摘した。

また、日本の未来のイノベーションのためにも税制改正は非常に重要であると強調。
GoogleやAmazonのような中央集権型の情報管理から、分散型管理に移る中で、「Web3.0」という新しいイノベーションを日本から生み出す大きなチャンスが到来していること、従って、暗号資産を一般的な外貨と同じ扱いとするのではなく、今後の将来的なポテンシャルや、経済・金融的な競争力の観点から、財務省や金融庁その他の役所も併せて議論を進めたい、と改めて強力に呼びかけた。

 

改正外為法と暗号資産交換業者の負担

ふじすえ議員は、改正外為法における暗号資産交換業者の確認義務についても質問。
暗号資産交換業者の事業規模や経営基盤を考慮しつつ、オペレーション上過度な負荷がかからないよう、うまく現場と連携して欲しい、と要望を述べた。

 

投資詐欺の救済措置とは

最後に、投資詐欺等に遭遇した場合の救済措置についてふじすえ議員から質疑が行われた。
ICO投資詐欺に遭遇した場合、暗号資産の交換タイミングにおいて課税が発生するが、投資資金の回収が不能になった場合でも税金は非免税債権。
このため、詐欺に遭った人が破産することもできず窮地に追い込まれている、という事例を説明(所得税法第72条では雑損控除は損害、盗難または横領により生じた損失を対象としている一方で、詐欺による損失は対象となっていないため)。
ふじすえ議員は、この問題の救済措置について国税庁に尋ねた。

国税庁は、ふじすえ議員の指摘の通り、雑損控除については災害または盗難もしくは横領により生じた損失を対象としており詐欺は入っていないことを説明。
一方で、雑所得の起因となる資産の損失については、所得税法第51条第4項において、その損失の生じた年分の雑所得の金額を限度として必要経費に算入することができ、その損失には、詐欺による損失というのも含まれる、と説明。
従って、ICO投資詐欺に遭遇した方については、個々の事実関係によるため一概にはいえないものの、例えば裁判などで、詐欺により暗号資産が騙し取られたといった事実が明らかとなり契約が取り消されたといった場合であれば、例えば税務上も暗号資産の交換によって売買益が発生したという取り扱いはしないということ、あるいは、当該暗号資産の損失を雑所得の金額の範囲内で必要経費に算入するといったこともできるのではないか、と回答した。

これに対しふじすえ議員は、是非被害に遭った方々の声を聞いて欲しい、と回答。
詐欺の認定に裁判が必要というのは非常にハードルが高いため、是非様々な制度的な工夫をして欲しい、と要望した。

最後に、ふじすえ議員は、「今回のように暗号資産についてG7で規制を検討することは、それだけ暗号資産が世界的に流通していることの証左。
そのような中で、我が国は、この国際的な経済・金融の中において暗号資産を育てていくという観点を是非持つべきである」と主張し、質疑を終えた。

暗号資産税制については、数年前から業界団体の一つであるJCBA(日本暗号資産ビジネス協会)も税制改正の要望書を提出している。
昨今のDeFiやNFTの人気により暗号資産利用者の増加はとどまるところを知らない。ふじすえ議員の主張するように、日本がイノベーションにおいて遅れを取らないためにも、周辺税制の整備は早急な課題である。
引き続き、ふじすえ議員を中心とした国会での積極的な議論が注目される。

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