仮想通貨を少しずつ利確する場合の税金対策.webp

仮想通貨の利益を確定させる際、一度に大きく売却すると税金が高くなってしまうのではないかと不安に思う方も多いでしょう。

特に、仮想通貨の利益は総合課税の対象となるため、利確のタイミングによって税負担が大きく変わります。

そこで有効なのが「少しずつ利確する」方法です。一度に全額を利確するのではなく、タイミングを分けたり、年を跨いだりして分割して利確するという方法です。税金の負担を抑えながら利益を確定できる可能性がある一方で、管理の手間や申告の複雑さなどのデメリットもあります。

この記事では、仮想通貨を少しずつ利確するメリットとデメリット、税金対策のポイントについて分かりやすく解説していきます。

目次

  1. 仮想通貨を少しずつ利確するメリット
  2. 仮想通貨を少しずつ利確するデメリット
  3. 仮想通貨を少しずつ利確する際の注意点

仮想通貨を少しずつ利確するメリット

仮想通貨を一度に利確せず、少しずつ利確することでどのようなメリットがあるのでしょうか。  
それぞれ見ていきましょう。

税金を安く抑えられる

仮想通貨を少しずつ利確することで、税金を安く抑えられる場合があります。

仮想通貨の利益は課税対象となり、10ある所得のなかで「雑所得」に分類されます。雑所得は「総合課税」と呼ばれる仕組みの対象となっています。

「総合課税」では雑所得に加えて給与所得や不動産所得などを合算し、その金額に応じて段階的に税率が上がる「累進課税」と呼ばれる仕組みが採用されています。

こうした仕組みによって、仮想通貨取引で大きく利確をすると税率が上がる場合があるため、同じ金額の利確をする場合であっても年末と翌年初に分けるだけで税金が大幅に安くなる可能性があるのです。

課税所得と税率の早見表

所得税の税率と控除額早見表.webp 
参考:国税庁|No.2260 所得税の税率

なお、雑所得では他の所得と損益通算ができず、損失の繰越控除も適用されません。

雑所得の損益はその年の雑所得の中で調整する必要がありますので、計画的に少しずつ利確することで、損益の最適化もしやすくなります。

損益の最適化とは、含み益や含み損を抱えている際に利確(利益を確定する取引) や 損切り(損失を確定する取引) を適切なタイミングで行い、その年の課税所得を調整することです。

少しずつ利確する方法は、この損益最適化の手法の一つと言えるでしょう。

価格変動リスクを抑えられる

仮想通貨を少しずつ利確する方法は、リスク管理の観点でも大きな意味を持ちます。

仮想通貨はボラティリティ(価格変動)が大きい傾向にあるため、一度に全てを売却する前提で保有していると、価格が急落した場合に大きな損失を被ってしまう危険性があるためです。

一方で少しずつ利確した場合は、売却価格が平準化されるため価格変動リスクを低く抑えることにつながります。

リスクを抑えながら仮想通貨取引を行いたい場合は、少しずつ利確(売却タイミングの分散化)が有効な手段の一つと言えるでしょう。

キャッシュフローの安定化

キャッシュフローとは、入ってくるお金と出ていくお金の流れのことです。

仮想通貨を少しずつ利確することで、一度に利確する場合と比べて頻繁に現金が手に入ることになります。

この現金を新たな投資資金として活用すればポートフォリオのリバランスを行うことができますし、趣味や日常の支出に充てることで生活を豊かにすることにも使えます。

一度に大金を手にする場合と比べて、計画的に資金を確保できるため、資産運用の柔軟性が高まる点もメリットと言えるでしょう。

仮想通貨を少しずつ利確するデメリット

仮想通貨を少しずつ利確する方法には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。

売却タイミングによる機会損失の可能性

仮想通貨は価格変動が大きいため、売却タイミングを分散化することで価格変動リスクを抑えることができる点を、メリットとしてご紹介しました。

一方で、視点を変えると価格変動による利益も分散化することを意味しています。

特に短期間で急上昇する相場では、高値のタイミングで一度にまとめて売却した方が結果的に利益が大きくなるケースもあるでしょう。

少しずつ利確する方法が常に最善というわけではありませんので、メリット・デメリットを踏まえながら自身の投資戦略に応じて使い分けていくことが大切です。

記録管理や確定申告の手間が増える

仮想通貨を少しずつ利確すると、一度にまとめて売却する場合と比べて取引回数が増えることになり、取得価格や売却履歴の管理が煩雑になります。  
さらに、利益や損失をコントロールするためには、現在保有している仮想通貨の取得価額と時価がある程度分析できていないと実施することができません。

確定申告の際には、仮想通貨の損益を正確に把握して申告する必要があります。

そのためには1年間の取引を漏れなく記録管理し、取得価格を算出のうえ各取引の損益計算を行わなければなりません。

取引回数が多いと、こうした管理や計算を手作業で行うのは負担が大きくなってしまいます。

確定申告に向けた準備を効率化したい場合は、取引履歴の管理や計算を自動で行える会計ツールの活用を検討すると良いでしょう。

手数料負担が大きくなる可能性がある

仮想通貨の取引には、取引所の売買手数料、送金手数料、ブロックチェーンのネットワーク手数料(ガス代) などがかかることが一般的です。

売買手数料は、取引額に対して0.1%などの割合で課金されるケースが多く、売却を小分けにしてもほとんど変わらないかもしれません。

しかし、送金手数料やブロックチェーンのネットワーク手数料(ガス代)は、取引金額ではなく送金件数に応じて発生するケースが多いため、小分けに売却すると回数分の手数料が積み重なってしまいます。

そのため、一度にまとめて売却する場合と比べて、結果的に手数料の負担が増えてしまう可能性があるのです。

元の投資額が大きい場合は誤差の範囲に収まることもありますが、少額投資を行っている場合には特に注意が必要でしょう。

仮想通貨を少しずつ利確する際の注意点

ここまで、仮想通貨を少しずつ利確する方法には多くのメリットがあるものの、取引回数が増えることにより記録管理や確定申告の手間が増えてしまう点などのデメリットがあることをご紹介してきました。

特に確定申告に向けて損益計算を行うには、「総平均法」または「移動平均法」に基づいて各取引の損益を計算する必要があるため、手作業で計算を行う場合は取引回数が多いほど大きな負担となります。

こうした仮想通貨の税金計算を効率化するには、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」の活用がおすすめです。

「クリプタクト」であれば、国内外130種類以上の取引所・ウォレットサービス・ブロックチェーンなどからの取引履歴の取り込みに対応しているため、取引回数が多い場合も手間をかけずに漏れのない記録管理が可能です。

また、設定で「総平均法」または「移動平均法」を選択でき、日本の税制に基づいて損益計算が行われるため、算出される実現損益額はそのまま雑所得として確定申告に利用することが可能です。

さらに、実現損益額だけでなく含み損益額も表示されるため、年末の調整取引(損益の最適化)を行う際の重要な指標としても活用できます。

こうした機能は無料のFreeプランでご利用いただけますので、ぜひこの機会にお試しください。