イーサリアム(ETH)やイーサリアム系のトークンをまとめて保管できるウォレット、MetaMask(メタマスク)。
PCやスマホに誰でも簡単に導入できる手軽さから世界的に人気を集めており、DeFi(ディファイ/ 分散型金融)やDApps(ダップス)を活用する際にはもはやスタンダードと言えるほど普及しています。近年ではウォレットとしての基本機能に加えて、スワップ(交換)やステーキングなどの機能も追加されたことから、仮想通貨取引における中心的なツールとして活用している方も多いことでしょう。
そんな便利なメタマスクですが、メタマスク内で仮想通貨の取引も行っている場合にはその収益にも税金がかかることに注意しておかなければなりません。
この記事では、メタマスクを利用することで発生する可能性のある税金について、またその計算方法や確定申告の仕方についても解説していきます。
課税対象となるメタマスクでの取引ケースとその計算方法
メタマスクにてスワップ(交換)やステーキングなどの取引を行い、取引に伴って利益が発生するとその所得(利益)は所得税や住民税の課税対象となります。どのようなケースで利益が発生したとみなされるのか、一つずつ見ていきましょう。
商品購入代金を送金するケース
例
AさんはNFTアートの購入代金として1ETHをメタマスクから支払いました。 1ETHは以前に20万円で取得していたものですが、今回の使用時点の時価は25万円になっていました。 |
このケースでは、「取得原価が20万円の1ETH」を「1ETHの時価が25万円の時」に支払いに使っています。これはすなわち、「1ETHを売却して得た25万円でNFTアートを購入した」ことと同義であるとみなされます。つまり、5万円(譲渡価格25万円 ー 譲渡原価20万円) の売買益(所得)が発生したと認識する必要があるのです。
仮想通貨のスワップを行うケース
例
Bさんはメタマスクの機能を使って、1ETHをUSDTにスワップ(交換)する取引を行いました。1ETHは以前に20万円で取得していたものですが、今回の交換時点の時価は30万円になっていました。 |
この取引は「1ETHを売却して得た30万円でUSDTを購入した」ことになるため、10万円(譲渡価額30万円 ー 譲渡原価20万円)の売買益が発生したものとみなされます。
体感としては同じ価値のものを交換しているだけのように感じられるスワップ取引ですが、取得時点の時価との差額によって売買益が発生している場合は所得となる点に注意が必要です。
ステーキングで報酬を得るケース
例
Cさんはステーキングによる報酬として、0.1ETHを受け取りました。獲得した時点のETHの時価は1ETH = 20万円でした。その後、受け取ったステーキング報酬はウォレットに保管したままで、売却や交換などはしていません。 |
ステーキングによる報酬は、受け取った時点でその時価が収入として課税対象になることとされています。このケースでは、ステーキング報酬を受け取った時点で2万円(ETHの時価20万円 × 0.1ETH)の収入があったものとみなされます。
よくある思い込みとして「ステーキング報酬で得た仮想通貨は日本円に交換した際に初めて収入になる」というものがありますが、これは大きな間違いです。この点を誤解していると、課税所得が発生していることに気が付かないまま申告と納税の時期を迎えてしまい、申告漏れや過少申告によって思わぬ追徴課税を受ける恐れもありますので注意しましょう。
メタマスクでの取引で発生した収益の確定申告方法
上記の例からもわかるように、メタマスクで取引を行った際は年間の収益を正確に把握して、必要に応じて確定申告を行う必要があります。それではどのように確定申告を行うのか順を追ってみていきましょう。
ステップ1. 確定申告の要否を確認する
所得税法では、メタマスクの利用に限らず一定以上の所得を得た場合は税務署へ確定申告を行う必要があるとされています。
会社員などの給与所得者は通常、勤務先で年末調整を行うことで税務署への申告が完了しますが、副業として仮想通貨取引などを行っている場合は、その副業による所得が20万円を超えると確定申告を行う必要があります。
また専業主婦や学生、個人事業主など、給与所得者以外の場合は原則として所得の合計額が48万円を超えると確定申告が必要になります。
ステップ2. メタマスクの取引履歴を参照
確定申告を行うには、1年間に行った全ての取引で発生した利益と損失を計算し、所得額を算出する必要があります。
メタマスクの取引履歴を参照する方法には「メタマスクのアクティビティを参照する方法」と「外部のブロックエクスプローラーを参照する方法」の2つがあります。
アクティビティはメタマスク内の機能として提供されており、メイン画面にある「アクティビティ」タグをクリックするだけで、簡単に取引履歴を閲覧することができます。また、大量の履歴を閲覧したい場合は外部のブロックエクスプローラーを参照する手段も有効です。
メタマスクのメイン画面上部にあるアカウント名をクリックすることで、ウォレットのアドレスをコピーすることができます。外部のブロックエクスプローラーサイトでウォレットのアドレスを入力することで、そのアドレスに紐づく取引履歴を参照することができます。
ステップ3. 計算方法を決め、確定申告を行う
取得原価の計算方法には総平均法と移動平均法の2種類があり、いずれかの方法を選択することができます。事前に届け出をしない場合は、個人の場合は総平均法、法人の場合は移動平均法が自動的に適用され、一度適用した計算方法は3年間は変更ができないルールがあるので注意です。
なお、仮想通貨取引による所得は、個人が副業として行っている場合は「雑所得(その他)」として申告するのが一般的です。実際に確定申告を行う際は、国税庁が提供している「確定申告書作成コーナー」や「e-tax」といったサービスを利用することにより、所得などの必要事項を入力していくだけで確定申告書を作成することができます。
まとめ
いかがでしたか。
メタマスクは保管・送金・スワップ・ステーキングなどを直感的な操作で行える非常に便利なウォレットですが、利用する際には税金の計算が不可欠です。
しかし、全ての取引履歴を管理して損益を計算するのは大変負担が大きい作業になります。そこで便利なのが、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」です。「クリプタクト」であれば、DeFiのウォレット連携機能を使い、ウォレットアドレスを登録するだけで、そのアドレスにかかる取引履歴を自動で取引履歴一覧に追加することができます。それゆえその他の取引と一緒に正確な損益計算を自動的に行うことが可能です。
無料で試せるプランも用意されていますので、仮想通貨の税金計算でお悩みの方はぜひご利用を検討してみてください。