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「仮想通貨投資には興味があるけれど、実際にお金を投資するのは怖い。」

このように考えている方でも、PayPayポイントを使って「疑似的に」ビットコイン運用を体験できるサービスが始まりました。

正式なサービス名称は、「PayPayのミニアプリで疑似運用体験ができるサービス、「ポイント運用」におけるビットコインコース」ですが、本記事においてはわかりやすさのため、公式プレスリリース内のバナー画像同様、「ビットコイン運用」という表現をしています。

ビットコインの価格変動に応じて運用しているPayPayポイントが増減するサービスですが、場合によっては利益に税金がかかる場合があることをご存じでしょうか。

この記事では、PayPayポイントのビットコイン運用についての概要と税金処理、そして損益計算の方法について税理士監修のもと、わかりやすく解説していきます。これからPayPayポイントでビットコイン運用を始めたい方は、ぜひチェックしておきましょう。

目次

  1. PayPayポイントのビットコイン運用とは?
  2. PayPayポイントのビットコイン運用の税金処理について
  3. PayPayポイントのビットコイン運用の損益計算方法
  4. まとめ

PayPayポイントのビットコイン運用とは?

PayPayポイントのビットコイン運用は、2025年1月13日に提供が開始されたサービスです。

日々の買い物や支払いを通じて貯まったPayPayポイントを使って疑似運用体験ができる「ポイント運用」サービスに、「ビットコインコース」が追加される形で提供が始まりました。

ユーザーは口座開設等の手続きを行うことなくPayPayポイントを運用することができ、預けたポイントはビットコインの現物相場の価格変動に連動して増減します。

あくまでもポイントを使った投資の疑似体験ができるサービスであるため、ユーザーが実際にビットコインの現物を保有するわけではありません。

とはいえ、価格変動に応じて増えたポイントは引き出して、1PayPayポイント = 1円として買い物や支払いに使うことができます。

実際のお金ではなくポイントを預けるため、初心者でも初期投資やリスクを抑えながら仮想通貨運用の仕組みを学べるサービスと言えるでしょう。

PayPayポイントのビットコイン運用の税金処理について

買い物や支払いを通じて貯まるPayPayポイントは、企業による値引きと同様のサービスと見なされるため、通常は税金がかかることはありません。

しかし、PayPayポイントのビットコイン運用でポイントが増加した場合は、上記のような値引きとは異なり「利益」であると見なされるため、税金がかかることになります。

詳しく見ていきましょう。

基本的には雑所得になると考えられる

ビットコインコースを含む「ポイント運用」サービスの運営元であるPPSCインベストメントサービス株式会社の公式サイトでは、「ポイント運用」で得た利益の税金について次のように記述されています。(ただし、「ビットコインコース」特定の内容との記載はありません)

ポイント運用で利益が出た場合、税金はかかりますか(確定申告は必要ですか)

当サービスでの利益は「雑所得」となります。  
※金融商品ではないため運用益は「譲渡所得」とはなりません。  
所得区分につきましては管轄の税務署によって回答が違う場合もございますので、具体的な内容につきましては、お住いの地域の税務署にご確認をお願い致します。

引用:PPSCインベストメントサービス|PayPayポイント運用のよくある質問

サービス提供側としては「雑所得」になると考えているものの、最終的な判断は管轄の税務署に委ねられるということになります。

なお、「雑所得」とは10種類ある所得区分の中の一つで、他の9種類の所得のどれにも該当しない所得が分類される所得区分です。

10種類の所得

サラリーマンが副業で仮想通貨取引を行った場合の利益も通常は「雑所得」に分類されますので、この点は仮想通貨取引と似ていると言えるかもしれません。

一時所得に該当する可能性もある

サービス提供側も言及しているように、PayPayポイントの「ポイント運用」による利益の所得区分については、税務署によって別の見解が示される可能性もあります。

その一つとして考えられるのが「一時所得」です。

「一時所得」とは労働対価や譲渡対価としての性質を有しない一時的な所得のことで、懸賞や福引きの賞金や競馬の払い戻し金、法人から贈与された一時的な金品などが該当します。

「ポイント運用」による利益は労働対価や資産の譲渡対価などではありませんので、こうした「一時所得」に該当する可能性も考えられるのです。

この場合、「一時所得」には最大50万円の特別控除が認められているため、ビットコイン運用で得た利益が50万円未満の場合は税金がかからないということも考えられます。

とはいえ、税金の取り扱いについてはケースバイケースで判断することになるため、実際にPayPayポイントのビットコイン運用で大きな利益を得た場合は、税理士や管轄の税務署に相談しながら取扱いを判断する必要があるでしょう。

PayPayポイントのビットコイン運用の損益計算方法

前項では、PayPayポイントの「ポイント運用」で得た利益に税金がかかる可能性があることについてご紹介しました。

それでは、実際にどのようなケースでどれほどの金額が課税対象(税金の計算対象)となるのでしょうか。具体的なサンプルケースに沿って、損益計算の方法を見ていきましょう。

ケース① ポイントが増えた場合

買い物を通じて貯めたPayPayポイント5,000ポイントを、「ポイント運用」の「ビットコインコース」に預け入れた。    
    
1ヶ月後、ビットコイン価格が20%上昇して運用ポイントが6,000ポイントに増えていたため、このうち1,000ポイントを引き出して買い物に使った。

このケースの場合、ビットコインの価格上昇と連動する形で運用中のポイントが1,000ポイント増加しています。

増加したポイントを使用した場合は経済的利益を得たものと見なされますので、商品購入代金の1,000円が「雑所得」または「一時所得」として課税対象となります。

ケース② ポイントが減った場合

買い物を通じて貯めたPayPayポイント5,000ポイントを、「ポイント運用」の「ビットコインコース」に預け入れた。    
      
1ヶ月後、ビットコイン価格が10%下落して運用ポイントが4,500ポイントに減っていたが、このうち1,000ポイントを引き出して買い物に使った。

このケースでは、ビットコインの価格下落と連動する形で、運用中のポイントが500ポイント減少してしまっています。

「ポイント運用」の利用によってポイントは増加していませんので、この場合は課税対象となる「雑所得」または「一時所得」は発生しません。

仮想通貨の損益計算との違い

本来、仮想通貨取引における損益計算は次のような計算式に基づいて行います。

計算式

売却価格(売却単価 × 数量) - 購入価格(取得単価 × 数量) = 利益(所得)

 

例えば単価1,000万円のビットコインを0.1枚購入し、それを単価1,500万円の時に売却すると以下のような計算になります。

売却価格(1,500万円 × 0.1枚) - 購入価格(1,000万円 × 0.1枚) = 50万円の利益

購入するたびに取得単価や数量を記録しておくことで、売却時の利益を算出できるのです。

一方で、PayPayポイントの「ポイント運用・ビットコインコース」はあくまでも仮想通貨投資を疑似体験するサービスであるため、上記のように実際に仮想通貨を購入しているわけではありません。

仮想通貨市場の価格変動とほぼ連動する形で運用ポイントが増減しているだけですので、厳密に上記の計算方法を適用することは困難です。

PayPayポイントのビットコイン運用による損益計算は、仮想通貨の損益計算とは分けて考える必要があるでしょう。

まとめ

この記事ではPayPayポイントのビットコイン運用についての概要と税金処理、そして損益計算についてわかりやすく解説してきました。

PayPayポイントのビットコイン運用は、PayPayポイントを「ビットコインコース」に預け入れ、タイミングを見て引き出すだけで利用できる極めてシンプルな設計となっています。

一方で、その仕組みはあくまでも仮想通貨投資の疑似体験を提供するものであり、税金の取り扱いや損益計算の面で、仮想通貨と異なる点には注意が必要でしょう。

実際に仮想通貨投資を行う場合は、購入時・売却時の単価や数量を漏らさずに管理して損益計算を行う必要があります。

そのため、取引を行う銘柄が多かったり取引頻度が高い場合は、確定申告前の計算作業が大変煩雑になってしまうものです。

そのような際には、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」の活用がおすすめです。

国内外130カ所以上にもおよぶ取引所等からの取引履歴データ取り込みに対応しているため、画面上の案内に沿って簡単な操作を行うだけで自動的に損益計算を完了させることができます。

こうした損益計算は無料のFreeプランで利用できます。

PayPayポイントのビットコイン運用をきっかけにこれから実際の仮想通貨運用をはじめる方は、ぜひこの機会にお試しください。