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仮想通貨取引からの利益には、所得税や住民税の支払いが必要です。株式投資に適用される約20%の申告分離課税と比較すると、仮想通貨の税率は合計で50%を超えることもあります。このため、多くの人が「仮想通貨の税金は高い」と感じているかもしれません。

しかし、同じ仮想通貨取引でも個人事業主の「事業」として行うことで税金を抑えられる可能性があります。

この記事では、仮想通貨取引を個人事業主として行った場合の税金について、その税率や利用可能な控除、法人化を検討したいタイミングなどをわかりやすく解説していきます。

目次

  1. 仮想通貨投資で開業して個人事業主になれる?
  2. なぜ事業として行うと税金対策になるといわれているのか?
  3. 仮想通貨取引で開業した場合の税金対策
  4. 仮想通貨取引を個人で行った場合にできる税金対策

仮想通貨投資で開業して個人事業主になれる?

結論からいうと、個人事業主として仮想通貨投資で開業することは可能です。
ただし、以下の条件を満たしている場合のみ可能です。

仮想通貨取引を事業所得に計上する際の条件

・仮想通貨取引で年間300万円超の収入があること
・開業届・青色申告承認申請書などの書類を事前に税務署へ提出していること
・記帳・帳簿書類を保存していること
・事業としての社会通念上の概念を満たしていること

このうち、社会通念上の概念については、実質的な判断となっています。
具体的には、社会通念上の概念の判断基準として以下のような事項が検討されることとなります。

社会通念上の概念の検討事項事例

・営利性があるか
・有償性があるか
・継続性、反復性があるか
・自己の危険と計算における企画遂行性があるか
・費やした精神的あるいは肉体的労力があるか
・人的、物的資本があるか
・その他、取引目的、職歴、社会的地位、生活状況なども考慮し、その人にとって事業としてふさわしいか

なお、国税庁では「事業所得」として申告できる所得について、次のような判断基準を設けています。

※資産の譲渡は譲渡所得・その他所得   
(注)次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。   
①その所得の収入金額が僅少と認められる場合   
②その所得を得る活動に営利性が認められない場合   
引用:国税庁|「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

上記の表では、「収入金額」と「記帳・帳簿書類の保存有無」が判断軸とされていますが、中でも特に「記帳・帳簿書類の保存」が重要な要素となっていることが伺えます。
つまり、「記帳・帳簿書類の保存」を行っていれば概ね事業所得であると考えられ、「記帳・帳簿書類の保存」をしていない場合は、年間収入が300万円を超えているか否かで事業所得にできる可能性の有無が決まる形になっているのです。

さらに、事業として認められるかについての実質的な判断として、社会通念上の概念を満たしているかどうかの判断がされる仕組みになっています。
こちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

仮想通貨を事業所得にする際の最新税務ルール|専門税理士が徹底解説

なお、会社員の方や別の事業で個人事業主として事業をされている方が仮想通貨取引で利益を得た場合、その利益は原則として「雑所得」に分類され、総合課税の対象となります。

これは、会社員や個人事業主の収入が本業の収入と判断され、社会通念上の概念を満たすことが原則として難しいと判断されるためです。

なぜ「事業」として行うと税金対策になるといわれているのか?

個人として「雑所得」とする場合も「事業所得」とする場合も具体的な税率自体は、同じです。どちらも累進課税が適用されるため、所得の金額に応じて段階的に税率が上がる方式です。ではどうして仮想通貨取引を事業として扱うことが税金対策につながるか、気になる方も多いと思います。

そこで、ここでは「雑所得」と「事業所得」の違いと、その税制上のメリットを簡単に説明します。

「雑所得」だとできない損益通算や繰越控除が可能に

仮想通貨の利益を「雑所得」で申告している場合、損益通算や繰越控除を利用できません。損益通算とは、他の所得との利益と損失を相殺する仕組みです。たとえば、仮想通貨取引で赤字が出た場合、その損失を他の所得から差し引いて、課税される金額を減らすことができません。

また、繰越控除も「雑所得」では適用されません。繰越控除は、今年の損失を翌年以降の利益と相殺することで、長期的な税金の負担を軽減できる仕組みですが、雑所得ではこれができないのです。

一方、「事業所得」として仮想通貨取引を申告すると、損益通算が可能になり、他の所得と相殺することができます。さらに、繰越控除も利用できるため、今年の損失を翌年以降の利益と相殺することで、長期的な税金対策にもつながります。

青色申告でさらに税制上の優遇を受けることができる

もし仮想通貨取引を事業として扱い、「青色申告」を選択すると、さらに税制上の優遇を受けることが可能です。青色申告を行うことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。

仮想通貨取引で開業した場合の税金対策

もし個人事業主として仮想通貨取引にて開業した場合にできる税金対策について紹介します。

経費を正確に算出して収入から差し引く

仮想通貨取引による利益が「雑所得」「事業所得」のどちらであろうとも、経費を漏らさず正確に計上することは、最も手軽に始められる節税方法のひとつです。
所得税は収入から経費などを引いた課税所得に対して税率を掛けて算出されるため、所得を低く抑えることが重要となります。
ただし、仮想通貨取引において経費に該当するのは、仮想通貨の売買などに際して直接要した費用となります。

仮想通貨取引における経費の例  

・仮想通貨の取引手数料  
・仮想通貨の送金手数料  
・電気代や通信費  
・パソコン代 etc…

なお、電気代や通信費など、仮想通貨取引以外の用途と共用している場合は按分計算が必要です。個人事業主として自宅で仮想通貨取引を行う場合などは、特に注意するようにしましょう。

また、パソコン代については10万円以上の場合は減価償却の対象となるため、一括で経費計上することができません。ただし、青色申告書を提出して少額減価償却資産の特例を受けることができる場合は、30万円以上が減価償却の対象となります。仮想通貨取引における経費計上についてはページ下部の関連記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

事業所得について青色申告を行う

確定申告の際に青色申告を選択することで、税制面でさまざまな優遇措置を受けることができます。

青色申告とは、開業届を提出していて一定の条件を満たした人が選択できる申告方式のことです。最大65万円の青色申告特別控除が受けられるため、課税所得を大幅に圧縮することができるほか、最大3年間に渡って赤字を繰り越すことができるようになり、利益が不安定な仮想通貨取引においては長期的な視点で非常に有効な節税手段となります。

比較表(pafin作成)

また、仮想通貨取引による利益を事業所得として計上することで、雑所得よりも経費の範囲が相対的に増えるため、経費計上できる費用が増える点もメリットと言えるでしょう。

なお、青色申告は白色申告の場合と比べて確定申告の内容が複雑になるほか、記帳や帳簿書類の保存などの要件が厳しくなる点はデメリットとなります。会計ソフトなどを導入し、仮想通貨取引の税金計算などの管理負担を可能な限り軽減させる工夫をすることが重要でしょう。  現在の主要な会計ソフトは基本的に複式簿記に対応しているため、会計ソフトを導入し、会計ソフトにしっかりと入力すればそれだけで概ね青色申告の要件を満たすこととなります。

法人化を検討する

仮想通貨取引で一定以上の所得を得ている場合は、「法人成り」すなわち事業の法人化を視野に入れてみるのも一つの方法です。
個人の場合は仮想通貨取引の利益に対して5%~45%の所得税及び10%の住民税がかかりますが、法人の場合は所得税の代わりに25%~33%程度の法人税等を支払うこととなります。

つまり、仮想通貨の利益の規模によっては、個人の所得税及び住民税よりも法人の法人税等の方が安くなる可能性があるのです。さらに法人化することで、社会保険料や福利厚生費など、経費として計上できる範囲が個人事業主よりも広がります。

ただし、法人は設立時に登記などの費用が必要になるほか、経理や決算事務などが個人事業主よりも複雑になるというデメリットもあります。

また、法人が仮想通貨取引を行う場合は、原則として、保有する全ての仮想通貨について期末に時価評価を行い、簿価の洗替処理をします。含み益は課税対象として処理されるために、仮想通貨を保有しているだけでも税金が発生する可能性があります。

このような管理作業を全て手作業で行うのは大変大きな負担となりますので、仮想通貨の管理に長けた会計ツールを導入することで、事務作業を効率化することも併せて検討してみると良いでしょう。 

なお、法人化による仮想通貨取引の節税については、ページ下部の関連記事でも長所と短所などについて詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

個人事業主が仮想通貨取引の利益にかかる税金を抑えるには?

上述のとおり、経費を計上することや含み損益を把握して適切な売買をすることなどがあげられます。
以下の記事で詳しく紹介していますので併せてご覧ください。

仮想通貨の税金地獄の抜け道?税理士による節税術7選

仮想通貨の税金対策ならクリプタクトがおすすめ!

この記事では、仮想通貨取引にかかる税金を安くするための対策について解説してきました。

特に仮想通貨取引を事業として行うことで、個人事業主または法人として大きな節税につながる可能性があります。
ただし、仮想通貨取引の税金を申告する際には、年間の取引履歴を全て漏らさず把握し、正確な損益計算に基づいて税額を算出する必要があります。

ただでさえ手作業で行うのは負担が大きい作業ですが、さらに青色申告や法人決算などの負担も重なる場合は、出来る限り仮想通貨の計算作業を自動化して、作業負担を軽減することが欠かせません。

仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、確定申告に必要な仮想通貨取引の損益計算を簡単に自動化することが可能です。
実現損益と年度損益も同時に見比べることができるため、最適な税金対策を検討するうえで必要な情報にいつでもアクセスすることができます。

※実現損益の表示は有料プランでのみ可能です。

また、法人化した際に必要となる年度末評価損益の加算に関する機能もが備わっているため、法人における仮想通貨の期末会計処理もサポートすることができます。

※法人評価損益機能はProプラン以上で可能です。

これらの計算に必要な仮想通貨の取引履歴は、国内外における多数の仮想通貨取引所とのAPI連携や、ブロックチェーンからの取引履歴取得機能により、DeFi取引を含めて幅広い対象を手間をかけずに収集できます。

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