
2025年にサービスが開始された「メルカリNFT」はNFTの売買をより手軽にできる一方で、初めての取引ゆえに売買にあたって発生する可能性のある税金の取り扱いについて不安を感じる方もいるかもしれません。
この記事では、メルカリNFTでNFTを売買した場合にかかる税金についてメルカリNFTの特徴を交えながらわかりやすく解説していきます。
メルカリNFTとは?
メルカリNFTとは、フリマアプリで有名なメルカリが提供するNFTオンラインマーケットです。
メルカリNFTは通常のメルカリと同様の支払い手段(メルカリポイント・メルペイ・カード払いなど)を使って日本円で売買することができるうえ、既存のメルカリアカウントでそのまま取引ができます。
またNFTプラットフォームとしては珍しいカストディ型の仕組みが採用されている点も大きな特徴です。カストディ型とは、購入したNFTをユーザー自身が保管するのではなく、サービス運営側が代わりに保管してくれる仕組みのことです。
ユーザーが自分でウォレットを用意する必要がないため、NFT取引に慣れていない初心者にも優しい設計となっています。
NFTマーケットプレイスの大手であるOpenSeaと連携しているため、OpenSeaで販売されているNFTがメルカリNFT上で簡単に購入でき、メルカリNFT内で二次流通できるという点も特徴と言えるでしょう。
将来的にはユーザーがオリジナルのNFTを発行できる機能や、自身のウォレットで管理する機能も追加予定とされており、今後の展開が注目されています。
メルカリNFTの税金がかかるタイミング
一般的にNFT取引を通じて得た利益は、所得税の課税対象となります。
多くのNFTマーケットプレイスでは、ユーザーが自身のウォレット上でNFTを保管する仕組みを採用していますが、メルカリNFTはメルカリのプラットフォーム内でNFTを管理する「カストディ型」の仕組みを採用しています。
この点がメルカリNFTの大きな特徴として注目されることが多いですが、税金計算の観点では、この仕組みの違いが課税ルールに影響を与えることはないと考えて良いでしょう。
NFTに関する税務上の取り扱いについては国税庁から考え方の基準となる資料が公開されていますが、NFTの取引における課税は「売買による利益」が基準となっており、どこで保管されているかは論点とされていません。
ここでは、メルカリNFTを通じた取引で課税所得が発生するタイミングについて見ていきましょう。
NFTを保有しているだけであれば税金はかからない
個人の場合、基本的にNFTの取引を通じて利益が確定したときに課税所得が発生したとみなされます。
そのため、NFTを購入したり保有しているだけであれば税金はかかりません。
メルカリNFTにおいても、NFTをコレクションとして購入しておくだけであれば、税金について心配する必要はないと言えるでしょう。
NFTの転売で利益を得たときに税金がかかる
NFT取引において課税所得が発生するタイミングとして、最もシンプルなものが転売による利益を得たときです。
メルカリNFTにおいても購入したNFTを二次流通として転売することが可能ですので、課税所得となる利益が発生することになります。
具体的には、NFTの購入価格と売却価格の差額で利益を得た場合は、その所得が課税対象となります。
一方、転売の結果が赤字であった場合には利益が発生していない(損失が発生している)ため、課税所得は発生しません。
将来的には課税タイミングが増える可能性も
記事執筆時点のメルカリNFTでは、NFTの購入と売却といった基本的な機能だけが提供されています。
しかし、一般的なNFTマーケットプレイスではユーザー自身が新たなNFTを作成して出品することもできるほか、NFTの無償配布やNFT同士の交換取引などもできる場合があります。
こうした取引は、場合によっては利益が生じたとみなされるケースもあるため注意が必要です。
例えば、無償で受け取ったNFTに時価がある場合はその時価の分だけ利益を得たものとして課税対象となります。
また、NFT同士の交換取引を行った場合も、交換したNFT同士の時価の差額で利益が生じた場合は課税対象となることも考えられます。
これらの取引は現時点のメルカリNFTでは行えませんが、新機能が追加されることで税金が発生するタイミングが増える可能性があります。
新しい機能が導入された際には、税制面の影響についても注意するようにしましょう。
メルカリNFTの税金計算方法
それでは、メルカリNFTを利用した場合の税金について、実際の損益計算をケーススタディ別に見ていきましょう。
例1
メルカリNFTでNFTを1万円で購入した。 1週間後にそのNFTを2万円で売却した。売却時に販売手数料として10%が売上から差し引かれた。 |
→ 譲渡価格2万円 - 取得原価1万円 - 経費(手数料)2千円 = 8千円の利益
このケースではメルカリNFTでNFTを転売することで利益を得ることができています。この取引で8千円の利益が発生し、課税所得に算入されることになります。
例2
メルカリNFTでNFTを1万円で購入した。 1ヶ月後に急にお金が必要になったため、購入時と同じ1万円で出品して売却した。 売却時に販売手数料として10%が売上から差し引かれた。 |
→ 譲渡価格1万円 - 取得原価1万円 - 経費(手数料)1,000円 = 1,000円の損失
一方このケースではメルカリNFTでNFTを転売しましたが、この取引で1,000円の損失が発生しています。
このように各取引ごとの損益を計算していき、それらを合算することで年間を通じたNFT取引の損益が算出されます。
NFTの転売による利益は通常「譲渡所得」に区分されるため、総合課税として他の所得と合わせて税金の金額が計算されます。
NFT取引にかかる税金の具体的な税率や税額計算方法については、下部に掲載している関連記事でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
メルカリNFTの節税方法・経費計上できる項目
前項まではメルカリNFTを使った取引によって、税金が発生する可能性があることについてご紹介してきました。
それでは、メルカリNFTによる税金を少しでも安く抑える方法はあるのでしょうか。ここでは代表的な2つの方法について見ていきましょう。
調整取引で課税所得を抑える
基本的に所得税の税額は課税所得に応じて決定されるため、課税所得を低く抑えるほど税額は安くなる傾向にあります。
NFTの転売によって得た利益は通常「譲渡所得」に区分されますが、譲渡所得は一定の条件下で他の損益と「損益通算」をすることが認められています。
例えば「大きな利益を得ているが、一方で利益が見込めない含み損も抱えている状態」の場合、年内に損失を確定させることで課税所得を圧縮することが可能です。
逆に「大きな損失を被っているが、大きな含み益も抱えている状態」であれば、年内にその利益を確定させることで、翌年に利益を得るよりも最終的な納税額が安くなる可能性があります。
このように、年内の損益状態を把握して調整取引を行うことで節税効果を狙うことができるのです。
なお、NFTの譲渡所得については損益通算が認められていますが、そのNFTが主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有していたものである場合は、他の所得との損益通算ができない(総合譲渡所得内の通算のみ可能)ため、注意しましょう。
経費を活用して課税所得を抑える
NFTの転売による譲渡所得を計算する際には、NFTの譲渡に要した費用を経費として差し引くことが認められています。
例えば1万円で購入したNFTを2万円で転売し、販売手数料として2,000円(10%)を差し引かれた場合、この取引による最終的な譲渡所得は8,000円ということになります。
現状、メルカリNFTでは出品手数料や購入手数料などは設定されていませんが、将来的に手数料体系が改訂されてこうした手数料が追加された場合は、これらの費用も経費として認められる可能性があるでしょう。
また、NFT取引を事業として行っている場合は上記以外にも間接的な一般管理費(事務所の家賃や光熱費等)が必要経費として認められる可能性もあります。
経費計上がどこまで認められるかについては、最終的には所轄の税務署の判断に委ねられます。確定申告で経費計上に悩む際は、税務署の相談窓口やお近くの税理士などに相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
メルカリNFTは、初心者にも優しいカストディ型のサービス設計を採用しており、これまでNFTに触れたことがない人でも簡単にNFT取引を始められる仕組みになっています。
しかしメルカリNFTの取引で利益を得た場合、その所得は通常のNFTプラットフォームでの取引と同様に課税対象となる点には留意が必要です。
正しい確定申告や適格な節税対策を行うためにも、NFT取引の損益計算を正確に行える環境を整えておくことが重要となるでしょう。
仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」を活用することで、こうしたNFT取引履歴の管理や損益計算を効率的かつ正確に実施することが可能になります。
NFT取引は日本円建ても仮想通貨建ても登録できますので、メルカリNFTをきっかけに海外のNFTプラットフォームを使い始めた場合も、まとめて管理・計算が可能です。
もちろん、メルカリでビットコインやイーサリアムを取引した場合の損益も自動計算できます。
これらの機能は全て無料のFreeプランでご利用いただけますので、ぜひこの機会にお試しください。